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悔しいくらいにカッコいいトランス男性の友人

トランス男性の1人にかれこれ25年くらいの付き合いになるかもしれない友人がいる。

出会い方は忘れてしまったが、僕らは共にお金がない時代を過ごし、女性に振られてはなぐさめあい、夢を存分に語り合ってきた。いつも話題は尽きる事なく、例えば、僕らは毎年ランタンフェスティバル(長崎の中華街である春節を祝う祭り)に遊びに行ってたが、祭りを楽しむというより、それを理由にそこにある適当な店に入り朝から晩まで飲みながらしゃべり倒したりしていた。
ランタンフェスティバルに行った意味がないねーと帰りによく言ったもんだ。

あと、やっぱり僕らの遊びといえば、常にお金がない僕らはアウトドアをしていた。たくさんの缶ビールを持ってバーベキュー、川、海、どこでも遊べたらよかったんだ。

彼は大体僕の事を知っている。僕も彼の歴史を大体わかってるつもり。

30代に入り彼が結婚した。僕はその時付き合っていた大好きな彼女と別れ15キロ程痩せた。その後の僕の乱れた生活を心配してくれたが、彼自身も過酷な荒波に呑まれていた。

僕は自営業を始め、生活を立て直し、今の妻に出会い結婚した。仕事に家庭にそれぞれの10年ほどを過ごし、40代に入りここ数年またゆっくり呑みに行く日ができた。

僕らは登山も趣味で、その会わない間の話を登山中によくした。彼は大変な日々を過ごしたのち、会社を立ち上げた。彼の人柄と勉強熱心の成せた結果だ。

早朝に起きて勉強し、ジムで体を鍛え上げ仕事をこなす。見た目も渋くトランス男性としては高身長(170オーバー)取引先の方々との交流も大事にし、家族の事もよく考え大事にしている。ほんと悔しいけど外見も中身もカッコ良すぎる(この記事に出ている渡部篤郎と木村拓哉のハーフみたいな感じ)

そんな彼が「◯◯くん(僕の名前)お尻を考えよーや」と言った。
(お尻とは仕事の引退の事)

先日、そのテーマを掲げて呑みにでた。年齢も考えて呑み過ぎに気をつけようと思ったが、やっぱり呑みすぎた。彼との時間はいつもリミッターが外れてしまう。だから僕らの飲む場所は安い所で充分。むしろお酒が安くないと高額になりすぎる。

たまたまお互いトランスセクシャルだから出会った。たまたま同じ時期に、同じ地域で、同世代で、似た趣味で、また、彼も◯◯形成した仲間であり、その後の健康状態を共有できる人。彼といるとこうして苦楽を共有できる友人ができるのは奇跡なんだなと思わせる。

僕は生涯現役でいたいと考えている。彼は会社を誰かに譲るか、整理するかして引退したいと考えている。

どちらにしても2人の最後の意見は同じ。

「退屈な老後はナシやね」

仕事でも遊びでもなんでもいいから、何かをしてたいなぁ、と、そんな答えがでた。
僕にとっては登山の時と同じ様に最高のパートナーだと勝手に思っている。


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