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18歳の姪と18歳だった時の僕、それから18歳の娘

姪は18歳になってすぐ親元を離れ生活していた。様々なトラブルが姪に起き、母(姪から見ると祖母)は心配し落ち込んでいた。僕もその時一緒に話を聞いていたが、落ち込むよりむしろ、その問題が自分には解決できないと判断して親に相談している時点で安心した。

姪と姪の親の関係は良好だと確信する。

姪は現在19歳。必要以上に心配する母(姪からすれば祖母)に元気つける為に僕が18歳の時の事を話した。(逃亡者の様なー

高校卒業後親元を離れ、偽名を名乗り男としてバイトをしていた。連絡をしない僕に苛立つ母。その間ホルモン注射の情報を得るために、いろんな病院、飲み屋に駆け回っていた。
5月、とある店で仲良くなった方々に親に話す事を約束してホルモン注射を受けることができる病院を教えてもらった。(この方々の名誉の為に書いておくがそう簡単には教えてくれなかった)

約束通り7月に母にカミングアウトした。もちろん受け入れられるわけなく拒否された。泣き喚れたのは覚えているが、何と言われたかももう覚えてない。それ以降親とは連絡取らなくなり、僕は勝手にホルモン注射を始めた。

「ホルモン注射を勝手に始めたりするよりいいやん?」とこの時の事を話した。

「そうだった!」と、母は笑っていた。

先日、僕の娘が一人暮らしを始めた。親が思うより子はちゃんとしているし、うるさく言う必要ないと思っていても、僕らはなんだかんだ口出ししてしまっている。

コンタクトの度数が合ってないから書い直さないとという娘。
「こっちで買って送ろうか?」と提案する妻に娘は「こっちで探すから大丈夫だよ!」と答えたようだ。もうすでに1人で歩こうとしている。

妻と自分達の親もこんな気持ちだったのかなと話をした。僕は後日なんとなく伝えておこうと「親不孝してたね、ゴメン」と母にあやまった。

すると母は「あの時はそらー心配した。でもあの時よりマシだけど今も心配よ。死ぬまで子供の心配してしまうのが親よ」と笑われ「あんたも親の気持ちわかってよかったやんか?」と諭された。

18歳の僕には想像できなかった人生を歩んできた。不自由なく暮らせる体と、誰にも迷惑をかけない戸籍と、誇れる仕事と、愛情深い妻と、我が道をゆく子どもたちがいる。

あの時(逃亡者の様なー)夢みた普通の未来を生きている。これって実はすごいことなんじゃないか?と思った。よくやった。よく頑張ってきた。あの時(僕は一度ー)諦めなかった事も褒めてあげたい。

思いがけず、子どもが巣立つ事で気付かされた。僕は幸せな人生を生きてる。


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