報道規制は何をもたらすか

今、地方で開業医をやっている私には、ありとあらゆる面で日本という国が行き詰まっているという情報が入ってきます。東日本大震災の復興事業の結末然り、咳止めを始め医療保険で出せる薬がないということしかり、一般の保険医療ですらお金がなくて受けられない人が続出していること、地域医療が崩壊寸前であること等々。



ところが東京株式市場は好景気です。東京という所は,情報のやりとりで成り立っているのです。東京は、全国、全世界から集まる情報の売り買い、やりとりで社会が成立している。そして当然、東京株式市場もそうなのです。



ところが今、日本の足元の真実の情報が東京に入っていません。マスコミの自己規制、あるいは強制的な制限が大きい。SNSもガラクタ情報ばかりで、私が石巻で日々感じているような日本社会の実情は、ほとんど東京には伝わらない。それで株式市場も虚像に盈虚されて動いている面がかなりあると私は睨んでいます。



東日本大震災の復興事業が完成した。しかしニュースに流れるのは完成式典だけで、復興がなったはずの現地に人がいない、誰も戻っていないという現実は隠されている。



能登の震災もそう。日本のマスコミでは定点しか移さない。海外メディアを見て初めて、例えば輪島市は市そのものがすっかり津波で消えているという事が分かるのです。



そういう情報は、東京に集まってこない。統制された、都合が良い情報だけが東京に集まり、そうした虚像を元に株式市場が動いている。



私は多少メディアと接する機会があるのですが、東日本大震災の復興の現実ってこうですとか、地域医療の実態はこうですとか言う話は、どこも尻込みしてしまう。それは非常に大事なお話ではあるが、メディアが取り上げるのは難しい、となる。



隋の煬帝は、都合が悪い報告を嫌いました。その結果、中国全土を襲ったイナゴの害について役人は「イナゴは枯れ草を抱いて死にました」と煬帝に報告したそうです。実際には隋のほとんど全域でイナゴによって農産物が荒らされ放題だったのです。そして隋は煬帝と共に滅びました。



まるでソビエト時代のモスクワと同じです。違うのはモスクワにはアネクドートという口伝えの真実を伝えるルートがあったが、今の日本、あるいは東京にはそれがない、と言うことです。虚の情報を元にすれば、どんなAIでも間違った答えを出します。その結果が、今の虚ろな株式市場だけの好景気なのではないでしょうか?

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