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あぁ、どすこいどすこい!

 先日、両国駅構内にある江戸NORENで相撲甚句をききました。お昼の時間にたまたま通りかがって本当に幸運でした。 
 
 僕が耳にした甚句を書き起こせばこうでした。

  〽 
    アー兵庫芦屋の若武者は
    熱い心の風雲児
    幼い頃より夢に見た 
    相撲界へと入門し
    十八歳にて初土俵 
    努力に努力を積み重ね
    上がる番付楽しみに 
    押し出し無敵の土俵上

 文字にすると伝わりづらいのですが、声の響きですね。哀調というのでしょうか。「幼い頃より夢に見た」から目をつむって聞き入ってました。

  〽 
    二十歳を迎えた祝い年 
    二つの殊勲に敢闘賞
    幾多の金星つかみ取り 
    入幕彩る賞の波
    時に突いたりいなしたり 
    艱難辛苦を乗り越えて
    わずか二十六場所の 
    二十二歳の九州は
    小結飾る初優勝

 出世の早い力士のようです。力士の映像が「時に突いたりいなしたり」からまぶたに浮かんできます。突き押しを得意とする力士のようです。

   〽 
     その魂の雄叫びは 
     あまたの心震わせる
     武士道精神重んじて 
     平成結びの大関は
     ここに恵比寿の貴景勝

 唄われていたのは、貴景勝の甚句でした。両国駅で唄っていたのは、日本相撲甚句会の師範の方でしょうか。僕は甚句の声に<心(しん)>を感じてぐっと来ました。そうして翌週には両国国技館へ駆けつけていたのでした。

 令和五年の初場所は貴景勝の三度目の優勝で幕を閉じました。両国で甚句をきいていた僕は「甚句の心が土俵上に届いたのだ」とひそかに思うのでした。あぁ、どすこいどすこい! 

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