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はじめて買ったCD

私が初めてCDを買ったのは中学生の頃。
それまではレコードかカセットテープを買う時代だった。昭和の遺物が語りますよ(自爆)。
自分で購入したCD第1号は、『風のオルゴール』という、清里ホール・オブ・ホールズ所蔵のアンティークオルゴールによるオペラ曲やクラシック曲が主に収録されていたものです。
現在、Amazon等で「風のオルゴール」と検索すると、なんか「ジブリやディズニー」のオルゴール「アレンジ」のCDが出てくるようですけど、それとは別物です。
今も昔も、オルゴールのCDは多数販売されております。しかしながら、大きく分けて2種類あるんです。オルゴール本体が奏でる曲を録音した「生演奏もの」と、オルゴールから録音したデータから各音階サンプリングし、そこから曲を組み上げた「合成もの」。私は生演奏の天然ものにこだわり、以降各地のオルゴールミュージアムを訪ねるたびにCDを購入して増やしていきました。

オルゴールと聞いて、宝石箱などに組み込まれた小さな機械を想像するばかりの人が、やはり多いんじゃないかと思います。
けれども、蓄音機が発明される前に大衆に音楽を届けた大型のオルゴールは音色も音量も豊かであり、意匠も凝っていて美しく、目でも耳でも楽しめる所謂一つの複合アート作品のようでもあります。

少し説明的な話をいたしますと。
金属板から作られた櫛歯くしばを弾いて音を出すタイプの、いわゆる皆が想像する「オルゴール」は、大きくシリンダーオルゴールとディスクオルゴールに分かれます。
歴史としてはシリンダーのほうが古く、しかし1本のシリンダーにピンを埋め込む形で楽譜を作るような仕組みですから、曲数を増やすには限界があり。そこから交換可能で曲数が増やしやすく、しかも大量生産もしやすいディスクオルゴールが登場してくる流れです。
ダンスオルガン・ストリートオルガン、リプロデューシングピアノと呼ばれる自動演奏楽器も、楽譜にあたるものが紙のブックやロールであり、それを交換することで多種の曲が演奏できるようになっています。

「生演奏の天然もの」オルゴールCDには、その構造ゆえに演奏中にディスクのきしみや回転音などの雑音が入ることもあります。
でも、それは仕方ないものであり、逆に言うとそれが天然の証でもあり。
今は閉館してしまった、東京の「オルゴールの小さな博物館」の館長さんが「オルゴールはその時その時が常に生演奏なのです」といったことを語っていらっしゃったのが今も印象深く胸に残っています。CDにすると、音の全ての要素は収録しきれず、切れてしまう箇所が出てしまう、とどこかで見た記憶があります。録音したものは、あくまで「再生」であって「生演奏」ではないのだ、と。だから、CDや動画投稿サイトなどで聴けるのは無論嬉しいのだけれども、やはり生で・直で見たい聴きたいと願うわけなのです。

幼い頃、小さな箱に収められた小さな機械から興味をもったオルゴール。
CDでアンティークオルゴールの深い世界を知り、各地のオルゴールミュージアムで直にその世界に触れ。更にダンスオルガン等の自動演奏楽器や、ゼンマイを動力とする繋がりで、からくり人形・オートマタ(西洋のからくり人形)へと、私の世界は広がっていきました。
それらに直接関わるような仕事は出来なかったけれども、今も大好きなのは変わりません。

閉館が続き、最盛期よりは数を減らしてしまってはいますが、それでも日本各地にオルゴールミュージアムがありますので、近くに行かれた際には立ち寄ってみていただきたい。
中でも、ザ・ミュージアムMATSUSHIMA(宮城県宮城郡松島町)と河口湖音楽と森の美術館(山梨県南都留郡富士河口湖町)はオルゴールの延長として超大型の自動演奏楽器・ダンスオルガンを所蔵しており、「所詮オルゴールだろ」と思ってるとビックリしますよ…いや真剣に。
ザ・ミュージアムMATSUSHIMA最大のダンスオルガン・ベルベックや河口湖音楽と森の美術館オルガンホールの世界最大級ダンスオルガン・モティエについては、公式アカウントや新聞等メディアのアカウントの他にも一般の方が録画しYouTubeに投稿しているケースもあり、それで迫力と音色の幅広さは多少感じることは出来るかと…。
自分、一般の方が投稿していたベルベックによる「ドナウ河のさざ波」が気に入って何度も視聴し続けていて、その後松島を訪ねる機会があり、ザ・ミュージアムMATSUSHIMAに入館しコンサートを聴く段となり、ベルベックから流れ出したのは「ドナウ河のさざ波」。前奏が始まってすぐ、思わず「あっ…」と声を上げてしまったし、曲が進むごとにあふれ出る涙でした。。
ダンスオルガンはブックと呼ばれる楽譜のようなものを変えることで複数の曲が演奏できるようになっており、有名な曲でもオルガン本体とブックが違えばアレンジも違うということが起こっている印象です(同じ「ドナウ河のさざ波」でも、松島のベルベックと河口湖の世界最大級モティエとでは前奏つか曲の入りがだいぶ違う)。

おわりに。
私は家族唯一の理系であり、絵や小説・エッセイをかきたらす性癖も他に類を見ず。自称も他称も「橋の下(から拾われてきた)」でした(何気に自爆)。
なので、オルゴールやからくりに対する興味関心は、周囲の意図で植え付けられたものではなく、自ら見付けて持って育てたものです。
何かが流行ると、すぐ子供に真似させよう植え付けようって親が多いようだけど…その辺ちょっと冷静に考えてほしいなとも思うものです。。

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