第36話 スパイの拷問
ギィィ…
重い鉄の扉が開き、髪を後ろに撫で付けたオールバックに、銀縁の四角いレンズのメガネをかけた細身の男が、暗い無機質な小部屋に入ってきた。
「ちょ、痛い痛い…」
男の後ろから、別の大柄な男に連れられて黒ずくめのスーツ姿の女も小部屋に入る。女は両手を後ろに括られていて、大柄な男がせっつくようにその身体を押す。女は苦痛に表情を歪めていた。
「痛い痛い痛いってば!」
女の剣幕に、大柄な男は手を離した。
「捕まってる側の分際だけど言わせて。あんた、ずっと私の足踏んでるから!このヒ