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2022年の回顧

2022年はあまりnoteを書きませんでした。ブログはサクサク書ける時期とあまり書けない時期があります。今年は書けないサイクルだったようです。

書きたいテーマがあって書き始めても、なかなか完成せずに下書きだけがたまっていきました。

来年はもう少しアップできたらいいなと思っています。上にあげた下書きのいくつかも形にしたいです。面白そうなのありますか?

2022年の研究活動

今年発表した文章は次の6本です。

1.「桃屋ののり平はCMの原点である」『悲劇喜劇』2022年1月号、早川書房。
2.「『水谷豊論』(太田省一著)書評」『読書人』3423号、読書人、2022年1月。
3.「昭和50年代を探して」赤川学・祐成保志編『社会の解読力<歴史編>』新曜社、2022年3月。
4.「論集『文化資源学』が生み出すもの」『文化資源学』20号、文化資源学会、2022年6月。
5.「『学校で地域を紡ぐ』(菊地暁・佐藤守弘編)書評」『文化資源学』20号、文化資源学会、2022年6月。
6.「昭和レトロとは何か」『調査月報』171号、日本政策金融公庫総合研究所、2022年12月。

CM史(1)、テレビ史(2)、戦後日本文化史(3)、文化資源学(4・5)、昭和レトロ研究(6)と、取り組んでいるすべての分野をアウトプットできたので、小粒な仕事ばかりですが満足度は高い一年でした。

最後の6番を提出したのが8月末で、そのあと、9月以降はひたすら2万字の原稿と格闘していました。こないだ無事に提出したので、来年のどこかで刊行されるはずです。

この原稿は、テレビアーカイブについての初めてのまとまった論考です。マスコミ学会を中心とするこれまでのテレビアーカイブの議論では、ほぼ公式の番組アーカイブだけが取り上げられてきましたが、私はこれに、一般視聴者による非公式のアーカイブと、CMアーカイブを接続させて、すべてを統合的に扱う枠組みを示しました。新鮮な議論になっていると信じています。お楽しみに。

来年は秋に編著の刊行もあります。あと、3冊目の単著(昭和50年代文化史)をかならず書き上げると心に誓っていますが、どうなることやら。がんばります。

2022年のメディア出演

ここ数年の昭和レトロブームで思わぬ出番が増えた私ですが、今年がピークだったのではないかと思います。

1.テレビ「おしょうバズTV いつの間にか消えたモノ大捜索!(取材協力)」テレビ朝日(2022/01/01)
2.新聞「サザエさん 世代超えた魅力」朝日新聞西部版(2022/02/02)
3.新聞「セピアな平成 若い感性刺激」京都新聞(2022/02/05)
4.ネット「未来命名会議 第6回 ファンタルジー」大丸松坂屋「F.I.N」(2022/02/11)
5.テレビ「Zのギモン 若者なぜ?レトロブーム」BSテレビ東京「日経ニュースプラス9」(2022/04/15)
6.新聞「昭和がナウい 若者 レトロのとりこ 復刻商品 大ヒット」読売新聞関西版(2022/04/28)
7.テレビ「Z世代が支える 昭和レトロブーム」福島テレビ「テレポートプラス」(2022/05/10)
8.テレビ「なぜか?懐かしさを感じ 若者に昭和レトロブーム」テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル(2022/05/19)
9.テレビ「Showa Nostalgia」NHK World「Japanology Plus」(2022/05/19)
10.雑誌「『懐かしい』がいま新鮮!令和時代の昭和レトロ」イオンクレジットサービス『mom』(2022/09/01)
11.テレビ「コレキテマンデー 若者を魅了!レトロブーム!」山陽放送「いまドキッ!」(2022/09/12)
12.新聞「若者に響くレトロ90′s サビ15秒、TikTokにピタリ エネルギッシュで自由な時代に憧れ」毎日新聞(2022/11/30)

12件のうち9件が5月までに集中していて、そこからガクンとペースが落ちました。昭和レトロブームは今夏までに落ち着いたと思います。リバイバルブームの照準はすでに平成初期に移行しました。

とはいえ昭和趣味はすたれたわけではなく、ほんとうに好きな人だけが愛好する段階に入ったというのが私の実感です。

12件のメディア出演の中でもっとも印象に残っているのは、4月15日のBSテレビ東京です。生まれて初めてのテレビのスタジオ生出演でした。

VTRの途中で席に案内され、不自然なほど真っ白な明るいライトに照らされて、ADさんの「あといっぷーん!!」「あとさんじゅうびょー!!」というアオるような声を聞いているうちに、血液が濁流のように全身をかけめぐり、水を飲む手が小刻みに震え、カウントダウンが始まる頃にはそのまま失神するんじゃないかというくらい意識が遠くなっていました。

われながらよく乗り切ったなと、よく最初の一言を絞り出せたなと、いま思い出しても冷や汗が出ます。始まって1分くらいで落ち着きを取り戻し、それ以降は余裕がありました。

その後、大学の先生がテレビに生出演しているのを見るたびに、わずかに声が震えているとか、顔の筋肉が動いていないとか、細かな緊張の表出に気づくようになり、共感しまくっています。

いい刺激になったので、またいつか生出演したいです。

NHKでピーター・バラカンさんと共演したのもいい想い出になりました。とても素敵な方でした。

2022年の教育活動

茨城大学に着任して16年目になりました。私は35歳で就職して、65歳で定年する予定なので、教員人生は30年。今年が折り返し地点です。

オンライン授業も慣れたもので、ライブ配信も事前収録も、だいぶテキパキとできるようになりました。今後も限られた科目でオンラインを継続することになっているので、オンラインのメリットをさらに引き出せるように工夫していきます。

一方で、演習系科目しか認められていなかった対面授業が、ようやく講義系科目でも解禁されて、前期の「メディア文化の社会学」で2年3か月ぶりに大教室の教壇に立ちました。

ほとんどの受講者がノートパソコンを開いています。これはコ口ナ前には見られない光景でした。

大学全体としてBYOD(Bring Your Own Device、自分のパソコンを教室に持ち込むこと)を実施していて、私もそれに合わせて、Microsoft Teamsで資料を共有しながらしゃべっています。スクリーンに映っているのと同じ画像を手元のパソコンで表示できますし、パワーポイントファイルも事前にアップしているので、受講者はノート機能でパワポに直接メモを取れます。

2019年まではレジュメを印刷して配っていました。受講者100人中、パソコンを開いてカタカタとメモしているのはわずか数人で、あとの90数人はみんな筆記用具で直接レジュメに書き込んでいた。レスポンスシート(授業の感想文)も手書きでした。

しかし、たった3年で教壇から見える景色は一変しました。そしてとにかく紙を使わなくなった。教育現場の大きな変化を肌で感じた一年でした。

この流れはもはや止められないし、止める必要もないので、資料の電子化はさらに進めていきます。一方で、戦後のメディア史を扱う「メディア史Ⅱ」では、雑誌、レコード、カセットテープなどの現物を大量に教室に持ち込み、受講者たちに実際に手に取ってもらい、じっくりと見たり聴いたりしてもらっています。

徹底した電子化と、徹底した現物資料主義。この両極端が、これからの教育のキーワードかもしれません。

2022年の趣味

去年の12月に始めたYouTubeチャンネル「コマソンレコードアーカイブ」が、無事に1周年を迎えました。

手持ちのコマソンレコードをデジタル化して、ジャケットを撮影した画像とあわせて動画をつくり、毎週2本ずつアップしています。こないだ投稿動画が100本に達したので、記念に初めての長尺動画を作ってみました。

"Soft Rock in Japanese Commercials"

ソフトロック味のある18曲をつないだ動画です。前からずっと作りたいと思っていて、ようやく実現しました。

ちょっとは世界的な需要があるかもと思い、すべての曲のキャプションを日本語と英語で併記しています。"Soft Rock"という言葉のこうした用法は日本だけらしいのですが、まあ、日本の古い音楽に興味のある外国人なら通じるかなと思って、そのまま使っています。

いざ作ってみると、この動画だけじゃなくて100本ぜんぶのキャプションに英語をつけたほうがいいような気がしてきました。少しずつ作業を始めていて、1か月くらいでつけ終わる予定です。

コマソンをつうじて世界とつながるのが2023年の目標です。

他に趣味といえば、本を読んだり、Amazon Primeで映画を観たりと、いつもどおりの1年間をすごしました。

2022年いちばん面白かった本
ジャガー『ジャガー自伝:みんな元気かぁ~~い?』(イースト・プレス)

2022年いちばん面白かった映画
「その場所に女ありて」(1962年東宝)

そんなわけで、2023年もよろしくお願いします!

(おわり)