前夜祭


そう、そうしていればいいのだ
考えなくてもいい
必要とされることさえしていれば
そこそこの見返りは与えてやる

押し付けられた罪悪感と
何ものにもなれない無力感と
今見えるのは、
現実味のない虚構につくられた夢か
底なしの絶望か

僕に連なってきたこの血が
決して高貴であったことはないこの血が
それでもそれを拒むのだ
幼い頃、林の中で会話をした精霊たちが
今僕に
「進め」
と何度も語りかける

土が震えている
数千年、僕らの祖先の血と肉を食らい続けてきたこの大地が
「目を覚ませ」と唸り
魂を取り込み続けた空が
「翔べ」と歌う

何ものでもない
いや、忘れているだけなのだ
思い出せ
この空と地と自然と繋がり
そして自らの身体と魂に集約された歴史の重さを感じ

暗闇はいつもそこにある
しかし身をあらわにす
逃げ道はないが
夜明けへ向かう

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