猿のいる熱帯林

ジェフリー・コーン「PEに学ぶCEO選定基準」

プライベート・エクイティ・ファームのパートナー32名を対象とした、CEO選定基準に関する調査結果を紹介する記事。簡単に意訳・抄訳したい。結論は極めて常識的だが、自らの評価の仕方を反省するにはよい材料となるかも知れない。

パートナーが経験を積む中で、過大評価しがちだったと振り返るのは、前職における実績、同一産業・同一ドメインでの経験、アグレッシブさと執念・根気、IQ、自信とカリスマ性、学歴や職歴上のネームブランド

前職における実績については、それが本当にその個人の努力によりもたらされた成果であるのか、そもそも会社や事業が成長フェーズにあってのことであるのか、よくよく確認する必要がある。どういったタイプのチーム、部下を持って実績を上げてきたのかも注目すべきだ。異なる環境にうつり、全くタイプの異なる部下からなるチームを率いるに当たっては、変化適応能力やアンラーニング(学びほぐし)のスキルが求められる。その知的な柔軟さをもっているかどうか。

また、アグレッシブさ、執念、根気強さといった資質も過剰に評価されがちだ。弁の立つこと、容姿の優れていることが評価を誤らせることはよく知られている。カーライル・グループのブルック・コルバーンいわく「プレゼンテーションスキルや存在感といったものを以前よりは評価しないようになった。わかりやすい魅力に騙されてはいけない。実際、もっともすぐれたCEOの中には、非常に言葉遣いの穏やかな、内向的といっていいような気質のものさえいる」とのこと。

対して、過小評価されがちな重要な項目としては、自己認識と真正さ(オーセンティシティ)、共感、勇気とリスク許容、レジリエンス、急速な成長への適応能力があげられる。また、時に自ら腕まくりをして課題解決の現場に率先して降りていき、その必要がなくなった際にはすみやかに権限移譲をし、大局的な指針提示のみに仕事を限定する能力も求められる。ソフトスキルの重要性が、CEO選定経験を積む中で増していく。

共感の重要性を述べるくだりでは、過度な重視もまた危険であることが指摘される。過度に共感性の高いリーダーは、人事上の厳しい決断を避ける傾向にあり、そこそこの成果に妥協するきらいがある。

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