見出し画像

サンダース他「ソーシャル・セクターに才能ある若者を惹きよせるには」

"How the Social Sector Can Attract More Young Talent" 抄訳。「意味のある仕事を提供するだけでは十分ではない」との副題が気に入った。

いくらNPOや社会的企業が、事業の意義や使命感に訴えかけたところで、職業選択における給与の重要性がなくなることはない。深刻なスキル・ギャップが予期され、現に採用競争が激化しつつある中、ソーシャル・セクターのリーダーも、採用優位性を高めるための工夫に取り組む必要に駆られている。

優れたタレントを探しだすだけでなく、採用し、実際に適切な期間、継続して活躍してもらうために、組織は何をタレントに対して提供できるのだろうか?お金がすべてではないとしても、意義ややりがいのみでは不足がある。求められているものを知るためには、若年層が企業選びにおいて何を基準としているのかを知ることが肝要だ。それは「学習と成長」だと言えるだろう。

デロイトの調査によれば、ミレニアム世代の実に44%が、リーダーシップ開発の欠如を理由として離職を検討しているという。75ヶ国、4000名超の新入社員を対象としたPwCの調査からも、企業を評価する時の基準として、キャリア形成支援のための機会の充実度が重要であるとの示唆が確認できる。ここに社会的企業らの活路がある。

目的意識、チャレンジ、そして学習機会の三つに着目することで、ソーシャル・セクターは採用領域における競合優位性を高めることができるだろう。

具体的な施策を三つ提示したい。まずひとつは、社員に対して問いを投げかけ、課題解決に貢献するチャンスを数多く与えることだ。組織の課題の中でも喫緊で重要性の高いものを社員に対して開示し、誰が手を挙げて口を開くのか確認しよう。そして取り組みたいと希望したものが実際に課題を解決に至るまでのプロセスを支援しよう。部門を超えてチームを編成してもいい。彼らが自発的に取り組むのを支援し、振返りの機会を設けることで学習を促進しよう。

続いては情報の共有だ。情報共有を簡便にできるよう徹底的に仕組みをつくろう。社内の情報だろうが、社外のニュースだろうが関係ない。重要なのは情報の流れをたやさないことだ。非営利組織にとっては社外の参加費の高いカンファレンスに社員を送ることは簡単なことではないだろう。得た情報が社内でシェアされ、実務に活かされるかどうかもわからない。Living Citiesという組織では、社外のイベントに参加する条件として、社内のSNSに何を学び、組織にとって役に立つどんな知見をそこから引き出すことができるのか、共有することが課されている

最後は全階層におけるコーチングの実施だ。あなたの組織にあったコーチングのスタイルを探すか、開発するかして、活用しよう。上記の施策はいずれもお金のかかるものでは決してない。少しの時間と意志さえあれば実現できる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?