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アラオス「人材は潜在能力で見極める」

恒例のアラオスの紹介。数年前に作成した記事の要約を再掲したい。元の記事は、事例を交えつつの長めのもの。関心を刺激された向きはそちらにも当られたい。

一つ、アラオスに同意しかねる点があるとすれば、それはレファレンスの重要性の点。レファレンスはスクリーニングには利用できても、アセスメントには適さない。正しくレファレンスを行うことのできる人間は非常に稀であり、職務経歴書の内容に虚偽や誇張がないか、ということ以上の何かを元上司や元同僚、共通の知人に期待することは、アセッサーとしての責任放棄にも近い。

労働環境、職務内容の変化が複雑化し激化する中で、コンピテンシーに基づく採用には限界が出てきた。コンピテンシーではなく、新しいスキルを学ぶ潜在能力の有無が重要。

潜在能力の有無の指標は、①モチベーション(利己的でない目標達成のための固い決意)、②好奇心(新しい経験や知識の追及、自己変容への積極性)、③洞察力(情報の収集分析と知見の引き出し)、④愛着心(感情にも訴えかける説得力と信頼関係構築能力)、⑤意志力(逆境を跳ね返す気力)である。

採用における成功確率が高いと評判のアマゾンでは、①社内に熱心なリクルーターが何百人もおり、②人材評価を行うための充実した研修が整っていて、③多数の公認「バー・レイザー」(採用基準のハードルを上げる人)がいる。「バー・レイザー」は、採用とは別に本職がありながらも、人材評価のスキルが高く、自分とは無関係の部門の採用面接にも同席する権利を与えられた社員のことで、自分一人の反対で採用候補者を落とす「拒否権」も持っている。

優秀な社員の維持も重要である。給料をあげるだけでは維持できない。ダニエル・ピンク『イノベーション 3.0』では、特に知識労働者の活力は、①自分の人生を自由に決める「自律性」、②何かに熟達したいという欲求、③自分を超える何かに役立つ仕事したいという目的意識、によって仕事に取り組む活力を得る。

したがってスター社員には、それなりの給与を出したうえで、4つのTについて自治権を与えよう。①タスク(何をするか)、②タイム(いつするか)、③チーム(だれとするか)、④テクニック(どのようにそれをするか)の4つである。困難だが達成可能な課題を与え、集中できる環境を整備することが重要である。

832人を対象とした独自調査の結果、キャリアの中で潜在能力を開放するのに役立つ経験として、一番は「無理しないとこなせない仕事」で、「ジョブローテーション」と「個人的メンター」が同率で二位であった。


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