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サリヴァン「テクノロジーの進展が採用にもたらすものとは」

テクノロジーにより日常的な採用業務の大半が代替されつつある中、戦略的な採用のあり方は今後どうなっていくのか。ジョン・サリヴァンの応えは「人材に関するコンサルティング」にある、というものだ。

国内でもソフトバンクやユニリーバが新卒採用業務にAIを導入したことがニュースになったが、簡単なレジュメ・スクリーニングの他、日程調整や候補となる人物のリストアップなども代替されてしかるべきだろう。HireViewというアメリカではメジャーな動画面接プラットフォームがあるが、あれはゆくゆくは撮影した動画の表情や声のトーンの変化等を分析したり、あるいは企業の合否判断の傾向と突合するなりして、一次面接の初期評価を自動で行うようになるだろう。

テクノロジーの進展を受けて、採用に携わるリーダーは選択を迫られることになるが、それは、変化を恐れて技術を遠ざけ前例踏襲に甘んじるか好機と捉えて抜本的な採用の質向上に取り組むかの2択だ。後者を選び、会社にとって人材に関する戦略コンサルタントの集団として採用担当部署を変革していかなければならない。

変革にあたり、サリヴァンが紹介する「取り組むべき8つの施策」の内、特に興味深く読んだもの、共感したものをいくつか紹介したい。

「才能発掘の機会にあふれた会社」の特定。市況の変化の激しさを鑑みれば、素晴らしい社員を抱えながら、混迷のさなかにある企業がいくつも存在することはおかしいことではない。業績の悪化、人員整理、予算削減等の時期を迎える企業は、優れたタレントを探しだし引き抜く先として魅力的だ。有事においてスカウトを送るべき企業がどこになるのか、早期に特定しネットワーキングをしておくべきだ。

「タレント・パイプライン」の構築。欠員が出てあわてて採用活動に取り組むのはプロフェッショナルのすることではない。事業を担当する上級管理職と協働し、今後必要になる人材についての展望を共有した上で、十分な数のタレントを特定し、一次スクリーニングにかけておき、必要な時に必要な数の候補者をすぐに推薦できるよう準備をしておくべきだ。

野球でいうところの「ファームチーム」にあたる会社の特定。長期的な視野に立った時、最も戦略的な採用戦略というのは、自社が属する産業において、自社よりも優秀な人材の獲得と育成に秀でた会社を特定することにある。「ファームチーム」とは、マイナーチーグのチームのことを指すが、ここでは、業界内で、自社に次ぐ立場にある会社で、一定人材採用力のある会社を指す。「ファームチーム」のメンバーはメジャーリーグのチームで試合をしたいと考えるものだが、同様のことがビジネスにおいてもある程度は言えるだろう。業界二番手の会社に新規に採用されたタレントを早期に特定して関係を構築し、十分に経験を積んだところで採用しに行くのが合理的だ

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