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「似ている曲」のペア3選―それは「他人の空似」か「オマージュ」か?

 はじめて聴いたはずの曲なのに、「あれ、このメロディー、どこかで聴いたことがあるような…」ということを感じたこと、ありませんか?

 それがよいかわるいかはさておき、音楽とか絵画とかって、小説よりもはるかに、過去にすでに存在しているものとの対応関係が露骨にわかりやすいと感じるのですが、いかがでしょう。

 ということで、今日は、「この曲とあの曲、なんだか似ているぞ?」とわたしが感じた曲のペアを紹介しようとおもいます。あるものは「双子」のように似ており、またあるものは、「親子」のように似ています。

 では、最初のペア。ドリームズカムトゥルーの「JET!!!」エイミー・ワインハウスの「ティアーズ・ドライ・オン・ゼア・オウン」

 聴いていただきたいのは、それぞれのイントロです。似ている、というよりも、ほとんどまったく同じ、といっていいほどの完全なシンクロニシティです。

 ドリカムの「JET!!!」がシングルとして発表されたのは、2005年11月。かたや、エイミー・ワインハウスの「ティアーズ~」が収録されているアルバム『バック・トゥ・ブラック』が発売されたのは、その翌年の10月。

『バック・トゥ・ブラック』は、その年のイギリスのヒットチャートのトップに立つほど売れた一枚ですが、さすがに、ドリカムの「JET!!!」との類似を指摘したイギリス人はいなかった…のでしょうか?
 これは単なる「他人の空似」か、それとも…いや、よけいな詮索はやめましょう。

 とはいえ、ドリカムだって、過去には他人の楽曲に「寄せた」ことがありました。それが、こちら。ドリカムの「決戦は金曜日」シェリル・リンの「ガット・トゥ・ビー・リアル」

 ドリカムの「決戦は金曜日」は1992年、シェリル・リンの「ガット・トゥ・ビー・リアル」は1978年。
 これは、「どことどこが似ている」というレベルを超えて、楽曲全体にほとんどおなじ遺伝子が組み込まれている2つの曲に感じられます。

 ただし、これら楽曲の類似はドリカムによる「パクリ」ではなく「オマージュ」であり、じっさいにベースの中村正人は、「ガット・トゥ・ビー・リアル」が「決戦は金曜日」の元ネタであることを明らかにしています。

 そのオマージュがはっきりと聴き手に明示されるのが、曲の終わり方。「決戦は金曜日」のさいごは、ホーンが「タタッタ タタッタ タタッタ タラララ」と吹いて終わりますが、これは、「ガット・トゥ・ビー・リアル」のホーンのフレーズをそのまま「引用」しています。

 ダンサブルなアメリカの名曲が、海を越えて、やはりダンサブルな日本の名曲へと「換骨奪胎」されたよい一例です。

 さて、さいごのペアはこちら。クラムボンの「シカゴ」マカロニえんぴつの「ブルーベリー・ナイツ」

 クラムボンは1995年に結成された、日本のスリーピースバンド。バンド名の由来は、みなさんご想像のとおり、宮沢賢治の「やまなし」から来ているといわれています。

 いっぽうのマカロニえんぴつは…すみません、わたし、あんまりちゃんと聴いたことはないんですよね。調べてみたら、結成されたのは2012年、「全年齢対象ポップスロックバンド」を謳っているようです。

 マカロニえんぴつの「ブルーベリー・ナイツ」は、先日たまたま、Amazon Musicで耳にしたのですが、そのイントロがあまりにもクラムボンの「シカゴ」のそれに「酷似」していることにおどろきました。

 同じJポップでここまで似かよっていてよいのだろうか…?とおもって検索をかけたら、やはり、多くのかたがその類似に気づいたようです。どうやらこの曲も、「シカゴ」への「オマージュ」としてつくられている模様。

「似ている曲」をテーマにして、わたしがパッと頭にうかんだのがこれらの曲でしたが、探せばほかにもわんさかあることでしょう。
 
 そういえば、レッド・ツェッペリンの名曲「天国への階段」にも「パクリ騒動」がありましたが、どうやら昨年にツェッペリン側の勝訴の判決がでていたようです。

 出版社につとめていると日々痛感しますが、著作権の問題には、なかなかシビアなものがありますね…。

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