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詩|ペンギン

彼岸だというのに大阪でも雪が降った。
厚着で首をすくめペンギンのようによちよち歩くと、
たくさんの人がわたしを追い越していく。
気ばかりが急く。

切羽詰まってあっぷあっぷしてしまうことがよくある
大人になったらもっと何事にも余裕が持てると思っていたのに、
手に入らないものをガラス越しに見つめても苦しくならないよう、
初めから終わりまで
ちゃんと適切な距離を持って眺められると思っていたのに、
いくつになっても鈍臭いのは治らないらしい。

若い頃と違うのは、
ここが足のつく浅瀬だとわかっていることだ。
立てるんだけどね、溺れているんだよ、好きで。
凍えているんだよ、ペンギンなのに。

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