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「SNS採用」に今取り組むべき理由。オススメはYouTubeとInstagram

こんにちは。採用広報事業をやっているhypex代表の河合幸太です。

noteでの発信は久しぶりになりますが、人材業界に日々挑んでいる僕の「アタマの中」や最新の業界情報について、これから月1回のペースで定期的に書いてみることにしました。

  • 採用業界で働いている人

  • 自社の採用を担当している人

  • 人材業界に興味のある人

こんな方に読んでいただけると、お役に立てるんじゃないかなと思っています。

さて、10月のテーマは「SNS採用」について。

hypexは企業様の採用支援策の一つとして、SNS採用にかなり力を入れています(実績はこちら)。今回のnoteでは、これまでの経験をもとに「SNS採用に今取り組むべき理由」「採用におすすめのSNS」など、知っておきたい基礎知識やトレンドをお伝えします。


コロナ禍の影響でSNS採用が急速に広まった

まず、SNS採用とは何か。SNS採用とは文字通り「SNSを使った採用活動」のことです。主には、次のようなプラットフォームが活用されています。

  • X(旧Twitter)

  • Instagram

  • Facebook

  • Pinterest

  • YouTube

  • TikTok

  • note

  • LINE

そして、具体的な方法は大きく2つに分けられます。

①SNSアカウントを開設して採用活動をする
②SNS上に採用広告を出す

やっぱり大きい会社の方が予算もありますし、②のように広告をバンバン出す傾向があります。一方、中小企業はお金の勝負になると大変なので、①のようにアカウントを作って育てる方が多いですね。

hypexではどちらもお手伝いしていますが、今回は①をメインに考えることにします。

SNS採用が急速に広まったきっかけはコロナ禍でした。採用活動がオンライン化し、求職者の得られる情報が少なくなってしまったからです。

それまでは、面接の時に会社の雰囲気を知ったり、歩いている社員さんを見かけたりして、就職先を決める判断材料をいくつも受け取っていました。でもオンライン面談では、画面に映る顔とその周りしか見えません。これではなかなか感覚的な情報は得られず、決め手に欠けますよね。

そこで、求職者はリアルな情報をネット上に求めるようになりました。それに応じる形で企業側もネットに情報を出すようになり、SNSの活用が広がっていきました。

同時に、企業が参入できる場としてSNSが整ってきたという背景もあります。

例えば、YouTubeができたのは2005年。初期の頃は違法動画も多く、プラットフォームとしての質に問題がありました。そこから徐々にクリエイターが増え、2015年には登録者数が100万人を超えるYouTuberが多く登場します。サービス誕生から約10年かけて環境が整い、色々な企業が参入できるようになりました。

他のSNSも同様で例えばTwitterは2006年、Instagramは2010年から十数年の時間をかけて、少しずつ整備され、多くのコンテンツとユーザーが集まり、企業アカウントも数多く開設されています。

規模や知名度に関係なく、SNSなら平等に光が当たる

SNS採用(転職)は、求職者にも企業側にも大きなメリットと可能性があります。

求職者にとっては、これまで出会えなかった企業に出会えるのが大きなメリットです。従来の求人サイトは膨大な募集企業が掲載されているため、「給与」「職種」のような条件検索で企業へたどり着いていましたが、人生って「条件」だけでは決められませんよね。

例えば、家を借りる時も「家賃」「広さ」「駅から徒歩〇分」という条件で調べます。でも最終的には「この景色が気に入った」「落ち着ける環境だと思った」というように、条件の比較ではない“何か”が決め手になることも多い。仕事探しに置き換えると、カルチャーや雰囲気などです。画像や動画などテキストだけではないSNSならではの新しい接点があるのです。

企業にとっても、SNSをうまく活用できれば、合理的かつ本質的な採用ができます

従来の採用手法(求人媒体やエージェントなど)では、どうしても「お金をたくさん払った方が有利」なシステムになりがちです。でも、SNSはそうじゃありません。SNSの収益源は広告であり、ユーザーが長くアプリに滞在することが重要なので、いいコンテンツや役立つ情報が優先される仕組み(アルゴリズム)になっています。

だからこそ、採用予算の少ない企業でも、知恵を絞っていい企画や情報を出せば、素晴らしい人材と出会えるようになる。大企業にも小さな町のお団子屋さんも平等にコンテンツだけで勝負できるのが、SNSじゃないかなと思っています。

また、昔は一度入社したら40年勤めるのが当たり前で、企業からすると「入ってしまえばこっちのもの」と、悪いところを隠して採用することも“合理性”がありました。でも今は「簡単に辞められる」時代です。転職にネガティブな印象もそれほどありません。

だから、会社の悪い面を隠して採用しても、結局すぐに退職すると採用・教育コストがムダになります。そうすると、採用後のミスマッチがないように、事前に一つでも多くの情報を知ってもらうべき、だし、情報を出すならいい会社にするしかなくなります。

そういう意味で、高頻度で情報を出せるSNSは相性がいいんですね。企業の状況は日々変わっていきますし、何年も前の採用サイトでは意味がありません。2020年の情報が載っていても、コロナ前とはもう状況がまったく違うわけですから。

コツは企業の「裏側」を見せること


SNS採用の成功事例は、だいたい2つのパターンに分けられます。

①エンタメ系の内容でバズる
②企業の「裏側」を見せて価値を届ける

①のパターンは、例えばTikTokでバズって、今まで知られていなかった企業アカウントに何十万人もフォロワーがついたりしていますよね。認知度を一気に高めたという点で、これもSNS採用の大きな成功だと思います。

ただ、SNSのバズ狙いはどの企業にもできることではありません。ベンチャーカルチャーで、挑戦的な風土の企業でないと挑戦しにくいでしょう。ということで、基本的には②の方で進めることになります。

例えば、弊社で支援させていただいている、地方の金属加工の企業さんがあります。

製造業は「きつい、汚い、給料が安い」みたいなイメージを持たれがちですが、実際に見に行くと、すごく設備投資されていて年収も高くて、いい会社なんですよ。でも、求人サイトに載せると製造業カテゴリに入ってしまうので、なかなかその求職者のフィルターを外せません。

そこで、実際の細かい職人技や加工の仕組みを動画にしてInstagramに上げました。すると、今まで全然見られていなかったものが、公開初日で1,000回以上再生されたりします。

スプーンの加工一つとっても「この製品を作っています」と情報を出すのと、加工の裏側をリアルに見せるのでは、伝わり方がまったく違います。100万回再生のようなバズり方ではなくても、興味がある人たちにちゃんと届く。SNSを使えば、自分たちの新しい魅力や価値を伝えられるんです。

こうしたSNSがもたらす効果は、主に次の2つが挙げられます。

①応募者数が増える
②内定承諾率が上がる

特に②は大きな意味があります。採用の最終段階では「どれだけ入社後の未来をイメージさせてあげられるか」が大切ですが、SNSでそれが伝われば採用担当者の話術に依存しません。事前に会社の理解が深まっていれば、歩留まりが上がり、採用成功につながります。

ただし、SNS採用は技術的なハードルが低いため「まず社内でやってみよう」と考えがちです。うまくいくケースは様々ですが、成果まで結びつかないのは以下のような要因が多いと感じています。

①リソースの確保が大変
②候補者視点がない
③アルゴリズムの変化についていけない

①に関しては、SNS採用のためのリソースを確保することって、想像以上に大変です。企画を考える人、動画を撮影する人、編集する人、投稿文を書く人……ちょっとずつ頭の使い方も違います。これを社内で1人で続けるのは、実際かなり難しいはずです。

そして②のように、一度「中の人」になってしまうと、社外からの視点を想像しづらい部分もあります。魅力的に伝えたいのに、外から見たら何もわからないとか、社員や社内の常識を知っている前提で話しちゃうとか。

③についても、SNSのアルゴリズムはどんどん変わっていくので、最新情報についていくのに困っているパターンも多いですね。

中小企業だと基本的に1人で担当することが多く、属人化も大きな課題です。SNS運営は続けることが重要ですが、担当者が辞めて発信が止まってしまうケースもよくあります。若手に任せている場合が多いため、SNSの感覚になじみのない世代が引き継ぐと、その後あまりうまくいきません。

感情を動かすには動画・画像系のSNSが効果的

ではここからは、このnoteを読んでくださっている方に向けて、すぐに実践できるアドバイスを考えてみたいと思います。

まずは、採用担当者の方へ。最初にやるべきなのは、採用サイトと同じ情報をSNSにも載せることです。それだけでも、自社を見つけてもらえる可能性が上がります。

というのも、採用サイトはスマホでは結構見づらいからです。スマホ対応のデザインになっていても、ヘッダーがハンバーガーボタン(≡←こういうの)になっていてPCよりも情報にたどり着けなかったりします。スマホで就活・転職活動をしている人は多いので、この対応が第一歩ですね。

そのうえで、仕事や業界のユニークな部分を見せてあげるといいと思います。仕事の進め方とか、業界の用語とか、実際に働かないとわからないマニアックな話。そういった部分を、SNSを通じてリアルに伝えるのが効果的だと考えています。

また、採用業務に直接携わっていない方は、なるべく求職者と同じ行動をしてみてください。今はアルゴリズムがしっかりしているので、自分自身が転職活動をしていないとSNS上にも求人情報が出てこないからです。

転職活動中のつもりで、気になった投稿にいいねをしたり、求人広告をクリックしたりすると、SNS側に求職者として認識され、アルゴリズムで関連する情報が表示されるようになります。そうすることで、生きた情報をキャッチアップしやすくなりますよ。

なお、SNSは基本的に「フォーマット」と「情報の長さ」で整理できます(以下は主な分類です)。

SNSのトレンドが今後移り変わっても、こういった掛け算の部分は変わらないでしょう。もちろん、例えばVRのように新しいフォーマットが登場する可能性はあります。

弊社で今年1月にアンケート調査を行ったところ、各SNSに対する求職者の方の反応は以下の通りでした(調査対象者:270名/20-30代:67%、40-50代:32%、それ以外:1%)。

この結果を見ると、InstagramやX(旧Twitter)への注目度が高いことがわかります。誰でも始めやすい=コンテンツが集まりやすいのでアツイともいえますが、競争がどんどん激しくなっているのも事実です。

この中で今SNS採用に力を入れるなら、僕はYouTubeとInstagramをあえておすすめします。人の感情を動かす力が大きいのは、動画や画像だからです。

YouTubeは動画 × ロングと難しいのですが、本気でやるなら一番効果が期待できると思っています。TikTokも動画ですが、トレンドが激しすぎるのがデメリットです。Instagramのリールも同じようなアルゴリズムになり始めているので、それなら汎用性とユーザーの多いInstagramがいいかなと。

X(旧Twitter)も悪くないですが、採用にうまく活用できている企業アカウントはあまり多くありません。個人アカウントで発信すると属人化してしまいますし、コンテンツを「編集」して投稿する文化があまりないので、炎上のリスクもあります。

何よりテキスト × ショートの情報では、どうしても態度変容(認知から入社に至るまでの心理的変化)に限界があると感じています。活用するなら、他のSNSと組み合わせるなどの工夫が必要でしょう。

今後10年はSNS採用が続く、どの企業も始めるべき

今後5年〜10年ぐらいはSNSが主流の時代が続くと、僕は考えています。

今は採用サイトをつくるのが当たり前になっていますが、企業のホームページ開設が広がったのは2000年頃なので、そこから20年ほど経ったことになります。採用サイトの文化ができたのは、みんながGoogleで検索するようになったからですよね。

以前はレストランや旅行先を食べログやじゃらんで調べていたのが、現在ではSNSで探す人も多くなり、検索の場がSNSに移っています。今でもGoogle検索が活発なことを考えると、当面はSNSでの検索文化も続くという見立てです。

その流れを前提とするなら、将来のためにも企業アカウントを絶対につくって育てるべきです。というか、SNSアカウントがなければ採用できない時代がきっと来るとも思っています。今もし10年前、20年前に戻ったとしたら、採用サイトは必ず作った方がいいと考えますよね。それと同じ感覚です。

SNS=エンタメとして捉える人もまだまだいますが、最初はGoogleもYouTubeもそうだったように、プラットフォームの質も役割もどんどん変化するものです。しかも、コロナをきっかけに急速に流れが変わった。このタイミングでSNS採用に本気で取り組んだ企業は、今後ちゃんと伸びるんじゃないかなと思います。

ちなみにこれからは、AIも採用活動に大きく関わってくるはずです。情報収集も、分析も、企画も、人間より圧倒的なパフォーマンスが出せますし、なくてはならないものになることは間違いありません。

現時点では、AIを活用した質の高い採用サービスはIndeedぐらいでしょうか。でも、ここから色々な企業が追随していくでしょう。こうした動向も注視しておきたいところですね。

以上、参考になれば嬉しいです。

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