アフターコロナのためのエチュード#06

申の刻下がりからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。

そこで、下人は、何をおいても差当り明日の暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

芥川龍之介「羅生門」

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