大澤真幸『思想としての〈新型コロナウイルス禍〉』#1

「いま、手洗いをしましょうとか、マクスをつけましょうとか、隣の人との物理的な距離を大きくとりましょうとか、そういう行動の上での心がけだけが強調されています。

もちろん、それは、当面、ものすごく大事なことです。しかし、そのことだけをいっていると、私たちの心がけだけで問題はすべて解決してしまうかのように錯覚してしまう。

確かに、このコロナの問題だけだったら、その効果は大きいでしょう。しかし、ことは、人間自然の関係の全体だとしたら、行動についての心がけということは問題の矮小化です。ことは、個人の行動ではなく、社会の構造の問題です。」

(大澤真幸『思想としての〈新型コロナウイルス禍〉』(河出書房新社編集部 著)より)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?