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検察官の63歳から65歳への定年延長の必要性は検証されているのか

検察官の定年延長問題、内閣が恣意的に幹部検事の定年を伸ばせるところが問題点と指摘されており、それは全くそのとおりですが、全ての検察官の定年を今の63歳から65歳にすることには異論がない、とされています。

でも、本当に延長の必要はあるのでしょうか。

検察官の仕事の対象である刑事事件は、減り続けています。

2019年の犯罪白書によれば、基本的に犯罪の認知件数はずーっと減り続けています。

2019年 刑法犯のデータ 


2019年 特別刑法犯のデータ


定年延長してまで対応しなくてはならない仕事量の増加があるわけではなく、むしろ減っているのです(現に、東京地方裁判所の刑事事件を担当する部はどんどん減っていっています。)

さらに、検事は出世すれば出世するほどポストの数が少なくなっていく。それもあって定年前に辞職する検事が多いことは、法律家にとっては共通認識です。その辺りの内実はこちらの本にも紹介されています。

落合弁護士のnoteにもありました。


公務員全般の定年延長が提案されている理由は、厚生年金の支給年齢が段階的に65歳に引き上げられるので、無収入の空白期間をなくすため、と言われますが、そもそも63歳の定年まで勤め上げる人が少ない上に、そこまで勤め上げた人たちは検察官の俸給等に関する法律100万円を超える給料が受け取れます。


退職後は公証人になったり弁護士登録もできるので、全体の法改正をするほどの延長の必要性があるか、疑問です。定年延長によってどの程度の予算措置が必要なのか、そこまでのお金を掛けるニーズがあるのか、検討されているのでしょうか。定年延長した検察官に支払われる給与の原資は、言うまでもなく税金なのです。

論点増やして、議論を拡散させるつもりはないのですが、63歳→65歳への定年延長についてはスルーされているように思いました。少なくない税金が使われるのですから、その必要性についてもきちんと吟味すべきだと思います。


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