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双極性障害を記録するアプリを開発した話

前回の記事から随分と時間が空いてしまった。
結果から書くと、以前noteを頻繁に更新していた時期に鬱転してしまい、文章が書けなくなってしまったのだ。

いや、正確には記事はいくつも書いたのだが、どれもネガティブで自傷をほのめかすような危なっかしい文章ばかりだったので公開できずにいた。

その後、無事に躁転したのだが、noteではなく別のことに興味が向いたので、そちらに取り組んでいた。

それはiPhoneアプリの開発である。

私は自分の双極性障害の症状を記録し、現在の状況を周りの人間に随時伝えるためのiPhoneアプリを開発した。

私にはアプリ開発の経験も知識も全く無いのだが(私はただのプロミュージシャンだからね)、私のIQ142の知能と躁状態のエネルギーを駆使して作り上げた。

P.U.L.S.E. ver.1

ホーム画面
症状入力画面
グラフ表示

アプリの名前はPersonal User Log of Symptoms and Experiences(ユーザーの症状と経験のパーソナルな記録)略してP.U.L.S.E.とした。

iPhoneアプリの開発なんて初めてのことだし、アプリを開発するためのソフトウェアは英語なのでとても苦労した……というのは嘘で、割と簡単にできた。

双極性障害はアルコール量とホルモン分泌のエラーに症状が起因していることに焦点をあて、症状の他に飲酒量と三大欲求を記録できるようにし、グラフで表示することによってその因果関係を観測できるようにした。

更にアプリで記録された内容は私の所有サーバー内にアップロードされ、ブラウザから周りの人間が症状を視覚的に確認できるような仕組みになっている。

これは以前、私の症状が強くなった際にとても危険な行為に及び命を落としかけたため、それを未然に防ぐための機能として取り入れた。

P.U.L.S.E. ver.2

私はこのアプリを毎日5ヶ月ほど使用した。その間に浮かんだ新しいアイデアや、アプリの開発に関するスキルの向上(特に何かの書物を読んだわけではないが、私は一度何かに興味を持つと何もしなくてもスキルが向上する)を活かして新しいバージョンのP.U.L.S.E.を開発することにした。

P.U.L.S.E.バージョン1ではまだ開発に不慣れだったが、バージョン2ではスマートで拡張性のあるコードを書いた。

ホーム画面
症状入力画面
グラフ入力画面(周囲の人間へシェアされる画面)
症状の詳細画面
症状の一覧表

改良点

バージョン1では症状は0.5刻みの-3〜+3の13段階、三大欲求と飲酒量は少ない・普通・多いの3段階だった。
しかしバージョン2では三大欲求と飲酒量を1.0刻みの-3〜+3の7段階とし、更に指針が日によってブレないように、入力時に現在の数値がどの程度のものが説明を表示するようにした。
例えば睡眠1で睡眠時間は8時間、睡眠2で睡眠時間は10時間といった具合だ。

更に過去3日間、過去7日間の平均値を常に算出し、現在の状態を安定期、鬱期、超鬱期、躁期、超躁期と自動で判別するようにした。

他にタグ機能を実装し、例えばライブや生配信の後なのか、楽しいことやネガティブなイベントがあったのかといった症状に関与すると思われる事象を記録できるようにした。
余談だが、私はライブでステージに立った後に症状が変動することが多い。

Koichi Hazard Level

そして躁鬱の症状スコア、躁鬱の混合状態か否か、前日からの症状変動量、気圧の傾向、飲酒量などからKoichi Hazard Level(交一の自傷リスク)を算出するようにし、それらは周囲の人間がいつでも確認できるように自動でシェアされるようにした。

最新のハザードレベル表示エリア

詳しくは割愛するが、このHazard Levelを算出する独自の計算式は少し複雑だが我ながら良くできている。

双極性スコアがハザードレベルへ与える影響のグラフ

双極性スコアは増えるにしたがって危険度が指数関数的に増えることから、ハザードレベルへの影響の上記のグラフのように計算に織り交ぜた。
更にここに飲酒量やその他の項目が複合的に計算される。

その他の機能追加

私は長い間、精神科へ通院していないが、将来的に私以外の双極性障害患者が利用することも見据えて、医療機関へ提出するための症状一覧表の出力機能も実装しておいた。

更にこれらの機能盛りだくさんのアプリを、この面倒くさがりな私がつい毎日記録したくなるように、症状の入力画面を好みのデザインにしたり、入力時にiPhoneが軽く振動するといった『楽しく毎日記録できる』仕組みを工夫した。

今後追加したい機能

これとは別に私はiPhoneのカメラレンズを指に押し当てることによって、血管の動きを観測し脈拍を計測する機能の原始的なプログラムを既に完成させている。
これを取り組み自律神経と脈拍を計測できる機能を追加したいと考えている。

他に追加したい機能としては三大欲求や飲酒量の傾向表示。そして躁鬱予報、つまり将来の自分の症状変動の予測だ。
そしてハザードレベルが50%を超えた時に周囲の人間にメールなどで通知を送信する機能も追加したいと考えている。これはすぐにでもできそうだけど。

最後に

私はこのアプリを使うことによって、既に自分の症状についての傾向や法則を観測し、症状に対する様々な対策を試している。(具体的には鬱状態を躁転させる為の実験を何度も繰り返している)

医者の友人にここまでやるのであれば医療機関への提供も検討するようにアドバイスを受けたが、このアプリは個人の非常にプライベートな情報を記録する。
更にこのアプリは私の所有するiPhone15proとiPad pro2020でしか動作確認をしていない。
当面の間は私専用のアプリとなりそうだ。

しかし、重度の双極性障害1型患者であり、かつ高いIQを持ちADHDも併発していて、デザインやwebもある程度こなせる私にとって、この双極性障害を観測するアプリの開発は、もしかしたら私の数多くある使命のひとつなのかもしれない。

とはいえ優先順位は音楽が一番だけどね。

私自身の双極性障害の研究は既に8年に及ぶ。
P.U.L.S.E.2を使用して更に症状に関する理解や、症状への対処法を発見したので、次回以降で私が暇になった時にでも書こうと思う。

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