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第5回「星野源とクレイジーキャッツ」

2023年6月28日にNHK総合テレビで放映された「おげんさんのサブスク堂」で、星野源さんと所ジョージさん、松重豊さんが植木等さんのことを嬉々として語っていました。星野さんは「小学生の頃、無茶苦茶暗かったので、植木さんの無責任男にあこがれてしょうがなかった」そうです。
星野さんが子供の頃見ていたのが、1987年10月21日から1988年3月23日までTBSで放送された「オヨビでない奴!」。高橋良明さんのおじいちゃん役が植木等さん、お父さんが所ジョージさんという配役で、無責任で飛び切り明るい家族の話です。

星野さんは芸能界デビュー後、くも膜下出血で入院されましたが、7枚目のシングル作品として復帰後の2014年6月に「Crazy Crazy」を発表。歌詞の中に、ハナ肇さん、植木等さん、谷啓さんの名前を散りばめたり、ミュージックビデオでは、クレイジー同様、白スーツにリボンタイで登場、苦しい時に支えてくれたクレイジーキャッツにオマージュを捧げています。

2017年1月21日から3月20日まで、植木さんの出身地である三重県立博物館で、「植木等と昭和の時代」という展覧会が大々的に開催されました。その展覧会の内容を紹介する冊子の中で、星野源さんが植木さんへの想いを綴っています(以下、要約抜粋)。
「オヨビでない奴!」では、ハナ肇とクレイジーキャッツの楽曲も劇中で使用されていました。「何て明るくて元気が出る歌声なんだ」。暗かった少年時代の僕は、その明るさ、高らかな笑い声で笑う植木さんという存在に励まされ、魅力に引き込まれていきました。
ジャズマンでありギタリストでもあるということを知ったのはそのすぐ後のことです。クレイジーキャッツというバンドの音楽性にも魅力を感じるようになりました。シャボン玉ホリデーなどの映像がテレビで流れると、バンド演奏からコントに突入する"間"のかっこよさにしびれました。
ある日植木さんのことを調べていくうちに実は物静かな真面目な方だということがわかりました。無責任という、ともすればそれまでの日本人が一番拒絶しそうな言葉を背負い、C調を貫いたキャラクターだったのに誰からも嫌われない国民的大スターになったのは植木さんが"品"のある方だったからなのだと気付きました。そして、あの明るい笑顔、歌声に触れるたびに「内気な部分があってもいいんだ」「たとえもの静かであっても面白いこと、フザけたことをやっていいんだ」と言われているようで、いつも自分の背中をそっと支えてくれます。
実は、三重の展覧会会場では、星野源さんのこうした植木さんへの想いの全文が写真入りでパネル展示されていましたが、何と私の「植木さんへのファンレター」という文章もパネルになり、星野さんのパネルの隣に飾られました。これは、子供たちにも自慢できる出来事だったので、家族みんなで展覧会見学を盛り込んだ伊勢志摩旅行に出かけたのは楽しい思い出です。この展覧会の模様については、いずれ紹介したいと思っています。

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