中川功一/APS学長

経営学で、本当に会社は経営できるのか!?を、自分で検証しようとしている人の話。 htt…

中川功一/APS学長

経営学で、本当に会社は経営できるのか!?を、自分で検証しようとしている人の話。 https://www.aps-academic-power-to-people.com/

マガジン

  • 経営学者、会社を経営する

    経営学で、本当に会社が経営できるのか!? 正直、気になりませんか? 私は、気になる。…というか、これを証明しないと、経営学を教えてなんて、いられない! というわけで、学者として自分が一番大切だと思った問題を、自分で検証してみようと思い立っちゃった人の話。 楽しんで、読んでもらえたら幸いです!

  • 不易流行の経営学:ビジネスの今を知る

  • APS教育の理念と方法

最近の記事

やばい人事ワード「エンプロイアビリティ」(社畜力)

こんなことを書いたら人事の研究者/実務者に怒られちゃうかもですけどね… 人事管理分野に、エンプロイアビリティという概念があるんです。 Employ(雇用) Ability(技能) で、「雇用されるための力」と訳される。 この不確実な時代にあって、安定した雇用が約束されない中で、自分は雇うに足る人材だと納得させられるような能力、精神、行動特性、人柄を育みましょう…と。 厚生労働省とか、人事系のコンサル/メディア、大学のキャリアセンターとかが唱えている概念です。 何が

    • で、経営って何よ?それって、命を懸ける価値があるものなの?

      経営学で、会社が経営できるか!? そんな疑問から、大学を辞め、会社を起こすことにした私。 なんですけど、これを人生賭してやっていく上では、そもそも経営って何なのよ、ということをまずはっきりさせないといけません。 生涯じゃんけんに負けないことに、命を懸ける人はいないでしょ!? そりゃそうだと、皆さん思うでしょ? でも、経営って「じゃんけん」かもしれないじゃないですか。 ビジネスの成功なんて運。出したチョキが、たまたま当たれば勝てる。 そういうもんだとしたら、わざわざ

      • 失敗しちゃうかもしれないけどね!

        経営学者が、会社経営をしたら、どうなるのか!? 正直、気になると思いませんか? 私はめっちゃ気になる…。 大学学部や、ビジネススクール、企業研修やらで十数年。経営学を教え続けてきて、良い先生だ~と皆さんから褒めてもらって、有頂天になってたけど、本当に私の教えてることは正しいのか? そりゃあ自分は、「これが正しい」と信念をもって教えているけど、それとこれとは、別。 流行り言葉を使えば「なんかそういうデータあるんですか?」というやつです。 そう、学者たるもの、誠実な態

        • 海外トップジャーナル掲載!中川先生の新発見「乳母企業家」

          自分すっかり忘れていたのですが、イノベーション分野の海外トップジャーナルのひとつ、Technovation(テクノベーション)に掲載された論文がオンラインで掲載となっていました。九州大学の高田仁先生たちと書いた論文です。大学発技術が商業化されるにあたって、研究者と企業家とをつなぐ、また別のタイプの企業家的存在Nurturing Entrepreneur(乳母企業家)があることを、事例から発見した研究です。 例によって動画で説明もしていますが、改めてその発見を要約・説明してみ

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        • 経営学者、会社を経営する
          3本
        • 不易流行の経営学:ビジネスの今を知る
          42本
        • APS教育の理念と方法
          15本

        記事

          日本のホスピタリティの強みは「型」「道」「空気を読む力」。それは日本の課題とも表裏一体。

          最近は天目茶碗でいただく抹茶にはまっています。今泉毅先生作の窯変天目は本当に美しい。テレワークの中で、日常に彩を与えてくれる。コーヒーばっかりの生活に変化を与えてくれます。 そんなこんなで最近茶道のこととか学んでいるのですが、この「道」たるものが、どうやら日本的なマーケティングやサービスの極意「おもてなし」の鍵であるということを教えてくれるのが、関西大の名伯楽・佐藤善信先生がお弟子さんたちと執筆された「響創する日本型マーケティング」。 個人的にはものすごく刺激的に読んだ本

          日本のホスピタリティの強みは「型」「道」「空気を読む力」。それは日本の課題とも表裏一体。

          企業家は「リスク選好的」なのか

          タイトル写真は、企業家の行動理論:エフェクチュエーションの日本の第一人者、吉田満梨先生のポートレート作品です。吉田先生の弊スクールでの講義開講にあたり、受講生さんからご提供いただきました。この方、デンマークで子供たちに漫画スクールを開講されておりまして、そのスクール生が吉田先生の写真をもとにイラスト化してくれたんです。 吉田先生にも喜んでもらえたようで、良かったです!! そんな動きはエフェクチュエーションの教える企業家の第1行動原則「手元のリソースで何ができるかを考える」

          企業家は「リスク選好的」なのか

          「知ってる」と「使える」で評価が全然変わる経営戦略手法、アンゾフのマトリックス

          「知ってる」と「使える」の間には大きな隔たりがある…ということはよく言われますが、つくづく経営学という学問分野はこれが大きいと思います。そして不思議と「知ってる」のほうに教える側も学ぶ側もエフォートを割くのは、経営スクール学長として大きな社会問題だと思っています。 とはいえ。かくいう私も「知っている」にとどまり、過小評価をしていた理論があります。 1960年代、経営戦略論の祖のひとり、イゴール・アンゾフが成した「アンゾフのマトリックス」。 会社の成長戦略は4分類できる。

          「知ってる」と「使える」で評価が全然変わる経営戦略手法、アンゾフのマトリックス

          4つの「ワーク」のバランス。

          石山先生と伊達さんの本『越境学習入門』(解説noteはこちら)に学びました、チャールズ・ハンディの4種のワーク。 有給ワーク(お金のため) 趣味や学習のワーク(自分のため) 家庭ワーク(暮らしのため) ギフトワーク(利益度外視で、誰かのため) この4つのバランスが、私たちの「働く」を幸せにするという考え方です。 これはいい考え方だなと思って、ちょっと前から、毎日の生活を変えてみることにしました。 というのも、会社設立以来、いかなる「働く」でも、つい利益と損で考えるよう

          4つの「ワーク」のバランス。

          マネジメントの定義:Getting things done through othersの源流を訪ねて

          日本でも世界でも、【マネジメントの定義】として広く知られている言葉があります。 【Getting things done through others.】 他人を使って、ものごとを成し遂げる事。 有名なこの定義ですが、メアリー・パーカー・フォレット(1865-1933)の言葉としてよく紹介されます。海外でも日本でも。 フォレットは、19世紀末に米国トップスクールを傑出した成績で卒業した当時屈指の才女でいらして、その後は行政やNPO組織のマネジメントに携わる傍ら、哲学と政

          マネジメントの定義:Getting things done through othersの源流を訪ねて

          キャリア理論の最先端「越境学習」とは何か。

          人事管理分野の第一人者、法政大・石山恒貴先生が先日『越境学習入門』を出版されました。テンポのよい文章と印象的な図で、誰しもに分かりやすく書かれた、越境学習のまさしく入門書。誰しもに越境学習を始めてもらいたい、そんな思いに溢れた本です! 動画で解説させても頂いたのですが、前向きにこれからの社会人人生を歩んでいこうとされている全ての方にとって、とても大切な内容だと思うので、簡単ながら解説させていただきます。 【越境学習とはホームとアウェーを往還することで起こる学び。】 社外メ

          キャリア理論の最先端「越境学習」とは何か。

          生え抜き日本人中年男性が、自己効力感を感じながら密な連携をとり、規律を重んじて働く…が日本企業の実態。(中川の研究紹介)

          先日、論文をひとつ発表しました。 中川功一・佐々木将人・服部泰宏・宮尾学(2022)「組織調査2020の概要と基本的発見事実」法政大学イノベーション・マネジメント研究センター ワーキングペーパー No.245. 全文はオンライン無料で閲覧することができます(こちらのリンクになります)! これは、中川が30名近いメンバーで進めてきた「組織調査2020」の概要をまとめたものです。総ページ数も63ページと非常に長く、その内容は、イノベーション、レジリエンス、働き方、戦略、組織

          生え抜き日本人中年男性が、自己効力感を感じながら密な連携をとり、規律を重んじて働く…が日本企業の実態。(中川の研究紹介)

          若手プレーヤーが経営学を学ぶ意味。

          先日。某所で入社2-3年目の若手の方々に「マネジメント研修」。 ここで起こる問題が、マネジャーの技能や考え方を、入社直後に学ぶことに、どのような意味があるのか?という問題。 私はこの点にごく明確な答えをもっておりまして、それを共有したいと思います。 若手プレーヤーこそ経営学を学ぶべき意味。それは、将来のマネジャーを育てるためというより、本人が今の仕事を自分の【働く】にするためです。 というのもですね… この研修では、「会社の経営方針を確認してみましょうー」っていうワー

          若手プレーヤーが経営学を学ぶ意味。

          組み合わせで発想する。

          先日、海外産業人材育成協会(AOTS)で、海外の方々に日本発のイノベーションの方法論を解説させていただきました。 AOTSさん 実は、日本型イノベーションには時代を問わずひとつの特徴があります。 一例を挙げてみましょう。 ウォークマン プリウス 任天堂Wii 漫画 AKB48 vtuber 大小さまざま、採り上げさせてもらいましたが(ちょっと恣意的笑?)、共通項は、「既存のものに、何かを付け加える、あるいは掛け合わせる」という点です。 (※皆さんがもしそれ以外の答

          組み合わせで発想する。

          ロシアを追い詰めていくのは戦略的には重大なミスだと思います。

          ロシアを非難し、追い詰めていく論調を、戦略論者として非常に憂慮している。 感情論的に。あるいは、我が国的な正義としては、ロシアが間違っているとするのは、まあ正しい。(さしあたって、正しいとしておこう。) だけども、世界の過去の歴史や、私達が獲得してきた英知を紐解くならば。 敵と決めつけ、徹底的に日独伊を追い詰めた先に何があったか。苦し紛れから同国内で国内世論や軍部が急進化、暴走。鬼畜米英と叫び、世界大戦に進んでいった。 一方で、私たちは、対話を試み、核戦争を回避し得た

          ロシアを追い詰めていくのは戦略的には重大なミスだと思います。

          三方良しというのは別にキレイゴトじゃない。

          先日、某所での新規事業育成の支援において、新規事業ほど三方良しを考慮すべきだという話をしてまいりました。 私の講演や講義などを聴いた方なら、ああ中川のいつものやつね、と思われてしまうところではありますが。機能するビジネスモデルの真髄は、やっぱりこれなんですよ。 三方良し。 近江商人の経営哲学のひとつとして知られる。 「商売において、売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方。 私はこれをより具体化して、ビジネスに関わるステ

          三方良しというのは別にキレイゴトじゃない。

          コーチングの科学的裏付け

          一部において急速に興味関心を高めているコーチングですが、これがもう一歩大きな動きにならないのは、科学的にそれがどういう原理に基づくものなのであるのかが定義されていないところにあるように思います。 コーチングが科学的な行為だと見られていないことが、アカデミアにおいては学術的調査対象に積極的にされない原因のひとつであり、実務界においても、エビデンスが弱いとみられてしまう原因だからです。 その意味でも、コーチングという有益な手法が世に広まるためには、コーチングを受けた対象の中で

          コーチングの科学的裏付け