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ポートレート撮影会で学んだこと

写真には大きく分けて2つある。
それは「うまい写真」と「いい写真」だ。

前半で「うまい写真」について解説をする。一言で言うと「うまい写真」とはイコール「撮る技術」のことだ。まずは技術の話をする。

写真で大切なのは、光と構図だ。太陽(光)を被写体の正面から当てた位置関係を「順光」、後ろから当てたものを「逆光」、そのどちらでもない中間の光を「斜光」「サイド光」と言う。光については上記の「どの角度から撮りたいのか」を意識するだけでバリエーションが生まれる。

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構図については、真ん中に見せたいものを置く構図が基本になる(日の丸構図という)。また、人が人物の写真を見たときにはまず「顔」、特に「目」をみる習性がある。
そのため、顔を出さないパーツ写真を撮るときは「見せたいものを真ん中に置く」ことが特に大切だ。

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次にコミュニケーションについて。風景写真などと違って、ポートレートは人物を撮る。そのため、被写体(=モデルさん)とのコミュニケーションが大切になってくる。

コミュニケーションは大きく分けると、「会話」と「具体的な指示」だ。はじめて会うモデルさんとはうまくしゃべれない人が多い。そこで当たり障りのない会話の引き出しを持っておくと撮影中に会話が詰まったり、焦らなくて済む。会話はモデルさんの表情が変化させる効果がある。

無難な質問として、食べ物(ごはん、飲み物、お菓子)や、動物(犬派ですか、猫派ですか)の話題は少なくとも用意しておくと良い。
(今日晴れましたね、今日は何食べましたか、など)
このような会話をきっかけにコミュニケーションを取る。

次に「具体的な指示」だ。
会話と指示は常に相互の関係を持っていて、「手を上げてください」などの指示で体の姿勢・ポーズを固めた後に、「会話で表情を変える」という順番を意識すると良い。指示についても、撮影当日に行きあたりばったりにならないように、引き出しの量を多く持っておくことが大切だ。

モデルさんの立場になって考えてみると、モデルさんがカメラマンに問うているのはおしゃべりが上手いか下手かではなく、「撮った写真がいいか、悪いか」である。モデルさんは撮影のために移動時間やメイクする時間を取って現場に来てくれている。当然、その結果として期待しているのはいい写真が撮れることである。
また、撮影中モデルさんは「カメラマンのイメージに近い表情をしたい」「どうしたら良いポーズができるか」といったことを考えてくれている。

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コミュニケーションをどう取って良いか分からない悩む人が多い。モデルさんとカメラマンの間にある唯一の共通の話題はなにか。それは「写真」だ。
具体的には「こういうふうに撮れてますよ」というふうに、画面を見せてあげることでコミュニケーションになる。

カメラマンが表現したいことは言葉ではどうしてもうまく伝わらない。つまり、モデルさんの頭の上には常にハテナマークが浮かんでいると意識すると良い。撮った写真の画面を共有することで共通したイメージができ、うまく意図が伝えられることが多い。

以上が「うまいポートレート」についての説明だ。

後半は「いいポートレート」について解説する。
いいポートレートとは何か。それは人に見せて「いいね!」と言われる写真だ。具体的に言うと、「共感」をしてもらえる写真がいい写真だ。ではどのように共感を生み出すか。それには2つある。

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1)ストーリーがある
1枚の写真を見たときにストーリーを感じられるものは、共感を得られやすい。ストーリーは表情+被写体+背景という要素の組み合わせで構成されている。
・表情(泣いてる、笑っている、など)
・被写体(身につけているファッション、制服、など)
・背景(ストーリーが感じられるもの、海、など)
最近は背景がドラマチックだとバズりやすい。

2)被写体との関係性がある
被写体との関係性については、先にイメージを決めてから撮影に望むと良い。(他人→→友達→→片思い→→恋人)のように、どの関係性にいるのかを撮る前に決める。例えば「女友達」のような関係性が決まったら、次は「女友達と一緒に海に行くなら何をするか」や、「部活帰りに飲むポカリスエットはどんな感じか」など妄想を広げていくと、撮影当日に用意する小道具も決まりやすい。

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関係性の作り方として、カメラマンと被写体の位置関係が大きく影響する。例えば、公園のベンチに女の子が座ったときに正面から撮ると関係性が「他人(カメラマンと被写体)」で終わってしまうが、ベンチの横に座って隣から女の子を撮ると「恋人」っぽく撮れる。

また、恋人とベンチに座ったときに食べるものといったら何だろうと考えてみる。女子高生が帰り道にゴディバのチョコは食べないよなとか、恋人だったら肉まんを食べるかなとか、じゃがりこを食べるのは女友達同士って感じがするなど。そうすることで小道具が決まってくる。

◯◯というシチュエーションで△△な瞬間を撮るぞ、という大枠を決めておく。また、撮影したいシーンリストを作っておくことで、漠然と撮るよりもストーリー性がうまれる(=撮れ高が増える)

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感想とまとめ
個人的には、「ポーズを指示してから会話で表情を変化させる」「表情+被写体+背景と関係性の組み合わせでストーリーを作る」という点が大きな学びになった。ただモデルさんをきれいに撮るのではなく、そこに関係性をイメージさせることで、カメラマンとの距離感を表現することは、今後どんどんチャレンジしていきたい。

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