【書評】「虐殺器官」 伊藤 計劃
物語の面白さはもちろんのこと、作者である伊藤 計劃が本作を病床で書きあげたのち夭折したこと、2007年に書かれた近未来SF小説でありながら、当時にとっては近未来といってよい2020年代の現代世界における重要な問題を反映している予言的な要素もあり、伝説的なSF小説としても語られる本作。ようやく読む機会があったので書評を残したい。
世界各国で次々と起こる紛争と悲惨な虐殺。もともと平和を保っていたずのない地域でもなぜか惨劇が起こってしまう。そしてそれらの紛争を背後で操る謎の男ジョ