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サガミワン・ガールズ

1週間くらい前のこと。
暑い日だったね。藤沢駅。東海道線を降りて、小田急線に乗り換える。明日からは外出のときも、ジャケットやネクタイをやめよう。
暑い風が吹いていた。

藤沢とか、鎌倉、逗子っていう場所は、常夏の町なんだよ、ぼくのなかで。いつも夏。太陽が近くて、少し先の景色はもやもやと揺れ、なにより時間の流れがゆっくりしている。
このあたりに来るときはいつも夏。浪人のころ授業をサボって海に来たのも夏の終わり。藤沢本町では8月しか遊んだことがないし、逗子マリーナでの夏休みも暑い日だったよ。
戌年ゲルマン男の家で冬にBBQをしたこととか、そうぶんの先生と藤沢で飲んだのは桜の季節だったけど、そんなことは都合よく記憶を書き換えればいい。

小田急線のホームで各駅停車の電車を待っていると。ひとつ忘れていたことを思い出した。
ぼくは、ラブリー・ガールとかいう女の子と鎌倉に来たことがあった。大昔のことだ。
そんなラブリー・ガールも今度結婚するとか。
いまは忘れてしまったたくさんの話をした、女の子。
ぼくは、ラブリー・ガールに、「会いたいなあ」と思えないことを、これから先、ずっとずーっと、君が思うよりもかなしく思うだろうね。

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