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自邸リノベ:質の高い小さな暮らし

ホテルではないけど、ホテルで学んだ考え方が大きく影響したプロジェクト。

先日、創造系不動産さんにお声がけいただき
自邸のリノベについてトークする機会があり
ちょうど自分達が計画していたことを
振り返る良い機会になりました。

同世代の自邸リノベ建築家のプロジェクトを見たり
様々な方と議論するなかで
ふと自分達の取り組みが

「あえて小さい住まいを選ぶことで、質の高い暮らしを実現する」

ことであることが見えてきました。

↑参考:自邸「ジマルーム」のHP

その観点は設計だけでもなく
物件選びも含めてそう判断したな...
と振り返ってみると感じます。


●予算の前提

・借入可能なローン内で実行する(リノベ込み)
・5年程度は住み、売却する想定とする

という設定をした。
この時点で総予算が大体決まる。
売却する場合は住む想定を決めることも重要だ。

その予算内でどこに住むか?
どの広さが良いのか?
どんなリノベするのか?

などなど、検討を進めていくことになる。

●「平米数、nLDK」を絶対条件にしない

このタイトルをより正確なメッセージで言い直すと
「“一般的に必要だと言われている“平米数、nLDKを疑う」。
もちろん「広さ」を考えないと決まらないことは当たり前。

ざっくり判断する上ではもちろん
nLDKや平米数はわかりやすい指標であるが、

そのざっくり精度で物件購入の判断するのは
コストにも大きく関わるので
もうすこし踏み込んで検証しても良いはず。

平米数という「床」に払う金額と
その他実現したいイメージを
具体的に比較してから判断したいところ。

平米数を諦めるということではなく
平米数では小さくとも、自分たちの生活スタイルを満たすための
設計の工夫は実現できる場合はあるし

必ずしも大きければ良いということもなく
コンパクトに住まう方が合う人もいる。

どうしても設計や暮らしのイメージをつける前に
物件を先走って購入してしまうケースは多いは勿体ないなぁ…と。
(そんな人に届け)

実際どんな工夫が可能なのか?については

・「個室が欲しい」
→本当にちゃんとした一部屋が必要?内容を詰めていくと1〜2畳程度の心地よい書斎でも良い

・「広いリビングが欲しい」
→窓の在り方や家具を含む高さ方向の設計の工夫で大きく変わる

・「収納が欲しい」
→ 本当に広さの問題なのか?高さ方向や家具の工夫で解決も可能

いわゆる広さが欲しいという印象と設計の工夫の一例

など、書き出すとキリがないので
詳細は「設計編」とかで記載できればと。
(自宅の例は上記記載したHP見ていただければ概要は記載してます)

●立地の良さ > 平米数

さて、実際の物件の絞り込みの話にうつると

私たち(30代夫婦)の考え方として
「なるべく都心部に住みたい」
というイメージがありました。

リセールしやすいという前提はもちろん
友人を招待しやすそう、気軽に街へ出れそう、など
自分たちの生活の質として優先順位は高い物。


この条件で「平米数」を同じ価格、立地の違いで比較すると


①40平米前半〜 1LDK  @徒歩7分 立地○
②50平米前半〜 2LDK  @駅徒歩6分 立地△

上記、実際候補に上がっていた物件の中から分かりやすい2つを抜粋

というようなものでした。
立地の要望を強めるほど
同等価格だと当然部屋は小さくなる。

「約10平米の広さ」と「希望の立地」を天秤にかけて
私たちは結果①の方針を選択することにしました。
(もちろん間取り、生活イメージを検討した上で。)

約10平米と引き換えに好みの立地を

●しっかりリノベ > 平米数

もう一つの私たちの目的は
「フルリノベーションを前提としたい」でした。

働き方や住まい方が変容しつつある今
住まいという日常空間を質の高いものにする必要があるのではないか

コロナを経験したことで、よりその価値観が進んだ気も

と、この数年の暮らしも踏まえ感じていた。
そのためにはある程度のリノベーション費の確保が必須。

希望の立地の中で、築年数など諸条件が同じ建物で
ざっくり平米単価(坪単価)を調べてみると
大体80~85万/平米(264~280万/坪)。


同じマンション内の他の部屋や
周辺をリサーチするとおおよそ価格が平米数に比例していた。
※もちろん、実際はいろんな指標で金額は決まっているので割高物件には要注意

割り切った考え方で整理すると
1平米小さくすれば90万確保。
3平米小さくすれば270万確保。
....

その分をリノベーション費用に当てがえると考えると
リノベとしては結構な費用です。

1平米の重みを知るためにざっくり試算
同じ予算での比較。


リセールを前提としているので
むやみにリノベ費用を掛け過ぎることはできないが、

しっかり検証しないまま、
結果リノベ費用(実現したい生活の質の高さ)を
諦めることになるのは避けたいところ。

90万(1平米換算)だけでもリノベ費用に置き換えると
結構な生活の質を上げることが可能。

・90万/42㎡=単価2万チョイの仕上げレベルUP
・オーダーキッチンへ変更
・水廻りバリューアップ
etc. . .

実際はここまで平米数以外が全く同じ条件で
比較することは無いと思うが
平米数という「床」に払っているコストの重みを認識しておきたい。
(そして割安は本当に正義だと実感)

●購入前に間取り,生活プランを検討するステップ

私たちは比較したときに
平米数よりも質の良い立地を、
平米数よりも質の良い空間(リノベ)を
と選択したわけだが、

物件購入前に生活イメージを固めた上で
小さな住まいの可能性を判断している。

物件確定(&ローン調整)の時点で
実質リノベにかけられる費用が確定するため
結構重要な判断。

物件購入は結構焦らされることもあり、ついついざっくりで判断しがち

同じ平米数の物件でも間口の幅や
窓の条件等によって、できるプランも左右されるため
その物件に合わせてスピーディな検証が必要となる。

ホテルの客室研究も沢山していたことで
ある程度までは限られた平米数でも
開放的なプランや機能性を担保できるということを
体感としても比較検証できたのは強みかもしれません。

訪れた客室のプランをデータとして記録(間口と平米数でプロット)

働き方、住まい方が変わりつつある今
住まいにもホテルのノウハウを活かすこともあり得ると思います。

ホテルは限られた空間の中で
お客様をおもてなしする為の工夫がされていますし
実際に泊まって体験することもできます。

実際私たちは購入時、上記の記録を参考にしただけでなく
設計中は実際ホテルに宿泊してその場で図面をおこしたり

工事が進んでいる間はちょうど引っ越しの事情もあり
3ヶ月程度ホテル暮らしをしていました。

ここから後の設計関連の詳細はまた「設計編」で記録できればと!乞うご期待。

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