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【書評】坂口恭平『お金の学校』--流れを滞らせない

 お金は汚い。お金は持っている人は悪い人。みたいな思い込みがある人は多いのではないか。かつては僕もそうだった。でもお金を嫌う人はお金に嫌われる。だからお金が集まってこない。
 坂口恭平はお金の定義を変える。お金とは何かをして、楽しくて楽しすぎてつい相手の人が払ってくれちゃうものだ。楽しさが流れていると、一緒にお金も流れ込んでくる。
 そしてこの流れは、人と人との間だけに存在するのではない。人と自然や、自然と自然とのあいだにも存在する。経済は人間だけのものではないのだ。とすれば、楽しく楽に流れを作ることが大切になってくる。
 めんどくさくない。難しくない。ハードルが低い。頑張りすぎない。人工的にせき止めない。こういったことがすごく大事で、そうして楽に楽しく流れを作り、どんどん速めていくことが必要だ。
 そう考えると、以前のアナログ文化よりも、今のインターネットを基盤としたデジタル文化の方が流れにうまくフィットするように思える。そしてまた、デジタルと触れ合いながら、同時に自然の中に出ていく、というのも大事な気がする。
 素直な気持ちで、肯定的に、気前良く、という坂口の教えは、決定的に真理を捉えていると思う。こんなふうにして、みんながお金に対する考え方をちょっとずつ変えていけたらいいなぁ。

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