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いんよう!第8回「月旅行のパトロン」

2018年10月9日公開 23分


こういうタイトルにするとSF感が出てちょっとワクワクしますが、ZOZOTOWNの前澤さんがスペースX社の月旅行プロジェクトに参加するというニュースの感想を話しています。発表された直後に収録したものです。二人の感想が微妙に平行線なのも含めてお楽しみください。
ZOZOTOWNは数十億ドルを投資するとの情報もありますし、宇宙旅行は前澤さんが子供のころからの夢だという記事もあることを補足しておきます。

いんよう!概要欄




ここからは地引網の収穫です。薄い冊子を作るイメージで自分勝手にまとめています。






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「だいぶ、低体温です」



■固有名詞
人物
イーロン・マスク
ホリエモン
前澤友作
イニエスタ
イブラヒモビッチ
田村淳
西野亮廣
坂本龍一
村上隆


■目次
1. 先輩ぼやきからの「イーロン・マスクは有名か?」
2. 前澤、パトロンやるってよ
3. ザラッとするこの気持ちは何だろう
4. もろもろ腹立つ「いん」まるごと興味ない「よう」




 

1. 先輩のぼやきからの「イーロン・マスクは有名か?」

最初~4分54秒

よう:今日さあ、急いで家に帰ってきたんだけどさあ
いん:はいはいはい。お疲れさまです。はい
よう:あの、めちゃくちゃ雨降っててさあ
いん:えあ? あ、そうですか。ほーん。今も?
よう:いや、もうたぶんやんでるから、まあいわゆる典型的なゲリラ豪雨だと思うんだけど
いん:マジすか。あら。(笑)
よう:まあね、うん、それだけなんだけどさあ
いん:(笑)お疲れさまでした。いや、あ、じゃあちょっといいすか?
今日の話で、月旅行の話聞きました?
よう:なんかあのー、イーロン・マスクがやってる、スペースX社だっけ?
いん:そうそう。よくご存じで。さっきその話が流れてきたのを見て、一通り見ただけなんですけど、どう思いますかっていうのを聴いてみたかったんで、そのままその話をしようかと思うんですけど。
イーロン・マスクって、ちなみにそんなにめちゃくちゃ有名なんですか?よく名前は聞きますけど。
よう:有名なんじゃない?アメリカではすごく有名?日本でもちょっとそういうことに興味がある人は知ってる?ぐらいかなあ。


● 初めて民間人が宇宙旅行をするという発表するときに、ツイッターに日の丸を出していたので、みんなが好き勝手に予想していた。ぼくもホリエモンとかソフトバンクの人とか勝手に予想してたら、前澤さんという人が行くことになったと知った。そしたら何人かのフォロワーがえらく感動していた。自分が行くだけでなく、2023年に実現させるプロジェクトとしてアーティストを何人か招待して、芸術作品を作ってくれと依頼するらしい。「史上最高のパトロン〇〇(聞き取れず)」とか言う人もいる。(いん)

● メディチ家みたいな、芸術や化学の振興のために無条件にお金をだすみたいなものか(よう)

● よくメディチ家がすぐ出たな。どう思います?(いん)





2. 前澤、パトロンやるってよ

4分55秒~16分38秒


● イーロン・マスクはすごくよく言うと現代版エジソンみたいな人だけど、ちょっと人格に問題があるって叩かれてる。無謀なことを立ち上げる人ってエキセントリックな人格であるのは必然。月旅行が実現するんだなあという感想と、全体にあんまり興味がないという感想
月に行くというのは1969年に実現しているから、基礎研究者的な見方をすると、技術・コンセプトはできていてそれを汎用化している段階。リサーチではなくてディベロップメント。大変なことはわかるし、文明に対する寄与を考えると汎用化しないと意味がないから大事なことだとは思うけど、おれは実用化よりコンセプトに興味があるんだろう。火星に行く話のほうが興味ある。(よう)

● 今回盛り上がった人がいたのは、前澤さんがパトロン的なことをやるというところ。ぼくの想像力ではヴィッセル神戸の社長がイニエスタを獲ってくるとか、オイルマネーでイブラヒモビッチを獲るとか、そういうイメージしか追い付いていなかった。ところが初めての月への民間旅行をまるで世界を代表するように行って、しかも芸術家を連れて行って創作をする権利を与える、それをZOZOTOWNのプロジェクトとするみたいなことをやる。(いん)

● 税金つかってやるとどうしても「紐が付く」から、フリーハンドでそういうことをするのはとても大事なことだとは思うけれど、すごく個人的な感情で言うと「勝手にやってくれ」としか思えない。なんでだろう。(よう)

● 広告やウェブマーケティングをやってる人はこの話に食いついているが、ぼくが気になるのは、そんなに激しくブランディングしてしまったら芸術家は果たして動けるんだろうかということ。カメラマン、画家、歌手を連れていくらしいが、ZOZOTOWNの前澤にパトロンになってもらって月を周回して帰ってきて、さあ作品を作れっていう状態で芸術家ってものを作れるもんなのかな、と。(いん)

● それはフリーハンドじゃないかも(よう)

● 日本人でこういう話をうまくやれるのはロンドンブーツの田村淳とかキングコングの西野とか、炎上上等みたいな名前を売る形で作品を届けられる方向に振り切っちゃってる人たちかな。(いん)

● 音楽なら坂本龍一とか。純粋なアーティストというよりも商業的なことをわかってる人のほうがいい気がする。おれから一個要求を出せるとしたら村上隆は連れてかないでくれってことだけかな。アニメ好きからは彼には恨みがあるからね(笑)(よう)

● 映画監督とかはどんな感情を得るのか見てみたい。前澤って人は自分の名前が歴史に残って、誰を連れて行って世界にアピールするかなっていう人選をどこまでやってから話に乗ったのか、とか誰がこの企画たてたのかとか、確かに盛り上がる場所はある。(いん)

● これで日本人ばかり連れてったら世界的には「ダセえな」って話になる。世界的なトップミュージシャンを連れて行くにしても、ただで招待すると言われても、その人たちだってお金は持ってるわけだからね。でもインスピレーションはもらえるから悪い話じゃないのかな。(よう)

● 果たして芸術家ってそういうの乗りたいのだろうか。一番話をしたかったのは現代でもパトロン制度ってありうるのかということ(いん)

● 映画はある。音楽も一部はいいとして、絵画もパトロンありなのか。うーん。(よう)




3. ザラッとするこの気持ちは何だろう

16分39秒~18分29秒

いん:とりあえず先輩にこのことどう思いますかって聞いてみたかったっていうのが一つあるんですけど、内心しゃべってて、こう、なんか、そこはかとなく出てくるこのイラつきはなんなんすかね(笑)なんか…若干ニュースに対するムカつきがあるのはなんでかなあっていう(笑)嫉妬じゃないと思うんだけどなあ
よう:あー、嫉妬じゃないんだね?うーーーーーん。なんだろうかなあ。えーとね、前澤さんが宇宙に行きたい、みたいな願望をずっと持ってる人に見えないからじゃないかなあ。
いん:(笑)うう。ああ。すごいわかる。
よう:べつにだから宇宙に行くことが目的なんじゃなくて、いま起きてるトピックスの中で一番盛り上がってるものの一つだから、ていう感じが…。もしかしたら違うかもしれないけどね。そういう印象をうけるからじゃないかな。
いん:あああああ
よう:オマエさあ、宇宙旅行興味ないよね?って思っちゃうからじゃない?もしかしたら子供のころから行きたいみたいな夢があったっていうのが出てくれば、まあじゃあカネあるし行ってくればいいんじゃないって思うかもしれないけど、自分とか会社のブランディングのために月旅行を使うんじゃねえみたいな、なんかさ、無駄に純粋な気持ちがあるんじゃない?
いん:わかる。で、先週の話と被るかもしれないけどそこで言いたいのは、炎上商法わかってやってるよっていうのと一緒で、当然そういうこと言う人いるだろうけど、それでも得を獲れるっていう当然計算してやってんだろうよっていうところまで含めてイラっとするんですよね。





4. もろもろ腹立つ「いん」まるごと興味ない「よう」

18分30秒~最後

● 前澤さんが月に行ったからって誰かが傷つくわけではないし、民間人が行くのは大きな一歩だし、そこに参加しようとするのはあらゆる面から正論だと思う。でも興味ないよね?っていう。それってオタク的発想なのでは(よう)

● 看破された。これをもって今後のウェブマーケティングとかいうのも腹立つし(♪キーンコーンカーンコーン)教会も腹立つ!ただ腹立つ話であと10分ぐらい喋れるけどまあいいや。何も悪いことはないし、叩きたいわけでもないけれど、若干のプチイラつきが残った。(いん)

● ホリエモンという人が露悪的な人だけど、それだけに「まあホリエモンだしな」という言い方もできる。前澤さんのことはよく知らないけどまっすぐというか、白か黒かで言うと白側の人間だと思う。芸能人と付き合ったりするのも含めてイラっとするのは、嫉妬も含んでいるのでは。(よう)

● 「新時代の新しい広告戦略を見る思い」みたいなのを見ると「ああ、こういう広告に乗りたくねえなあ」と思う。(よう)

● イニエスタ獲ってくるような直接的な投資は回収が目に見える。これは直接金銭を回収するわけではないけれど、ブランドイメージを確立することで、長期的に見るとトータルで回収できるんじゃないか、というもう一個上のレベルのことをやっている(よう)

● しかもアーティストのパトロンをすることで名前を同時に売ってるという感覚がどうにも昔から好きじゃない。(いん)

● アートをビジネスにするなっていうのは危険だよね。経済的な基盤は必要だから、お金を出してくれてかつ条件が付かないならそんなにいいことはない。(よう)

● こういうもやもやした議論まで含めて計算済みでやられているかと思うと腹立つ、というのが今回のぼくの結論(いん)

● そんなの偽善だろ、というツッコミもパワーでねじ伏せていく感じがする。だからおれはトータルであんまり興味がない(笑)じゃ、興味がないということで、今週はこの辺で。(よう)





****** 感想 *****

★ ヤ先生は誰かが無邪気に大きなお金を出すという行為や、お金にモノを言わせて札束で頬を撫でるようなシタゴコロにものすごく敏感という印象です。先生がとても気を付けているところでもあるのだろうと思う。

★ この件はそういえばどうなったんだろうと思っていたら、去年の12月に発表になっていた。全然盛り上がってなかった気がしますがどうなんでしょうか。

★ 前澤氏、バスキアの絵画を購入したときに「バスキアが宇宙に行ったらどんな絵を描いただろうか」と思って今回のプロジェクトを思いついたらしいけれど、それを想像したからと言って本当にアーティストを連れてって「ねえ、どう?どう?」とやる感覚はだいぶズレてる気がする。「連れてってもらう」時点で表現ではなくなるのではないだろうか。知らんけど。

★ パトロネージを単なるカネのばら撒きではなく文化の支援と考えるなら、話題作りの文化活動は世間の評判を目当てにした寄付行為に過ぎないと思うのです。それはそれで悪いことではないけれど、短期的に成果の見えないものがパトロネージだと思うので、まあ今回のこれは単純に前澤氏の道楽ということでよいのではないでしょうか。氏がこれからもこの方々に無条件でお金を出し続けたらまた変わってくるだろうし、アーティストの方々がお金をめぐって前澤氏とだまし合ったりせめぎ合ったりしたらおもしろいし、その相互作用こそがまた創作のエネルギーとなることもあるだろうし、そこまでいけばパトロンになったと言ってもいいかもしれません。アーティストの方々も、すぐじゃなくて40年後くらいに宇宙がにじみ出てくる作品を発表するくらいだとおもしろいですね。

★ メディチ家も高利貸しで得た黒いお金の洗浄目的で芸術家を擁護した、と言われているし、秀吉は利休を死なせちゃったし、パトロンってそんなにきれいなものではないところがたまらないところでもあります。

★ いんよう!にしては珍しくちょっと噂話的なふわっとした話題でした。この回に関してはどうにも「あの話が出た回ね」という印象がつかなくて、どうしてだろうと思っていたけれど、二人ともあまり熱がこもっていないからですねきっと。でもカフェでだらだらしゃべってる感じは好きです。そして興味ないと言いながら先輩の思考の高度なこと。

参考文献:「企業は文化のパトロンとなり得るか」福原義春 1992 求龍堂


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