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麹が存在するのは日本だけ?【散麹と餅麹】


麹が存在するのは、日本だけでしょうか?


麹は、
お隣の中国や韓国、インドネシア、マレーシア、ベトナムやタイ、ネパールなどアジア各国にも存在しており、麹のことをそれぞれ、「チュイ」、「ヌルク」、「ラギー」、「ルクパン」、「ムルチャ」と呼びます。

ただ、
日本の麹とこれらの国の麹は少し違います。

どんな違いがあるのでしょうか?


目次▼
・散麹と餅麹
・散麹と餅麹の始まり
・散麹を様々な調味料に発展させた日本の麹文化


・散麹と餅麹

日本の麹といえば、
蒸したお米などの穀物にコウジカビ、麹菌が繁殖した、粒状のもの。これを「散麹(ばらこうじ)」と言います。

一方、アジア各国の麹の多くは、主として麦類や高梁などの生の穀物に、クモノスカビやケカビというカビが繁殖した小さなお餅のような塊上のものであり、「餅麹(もちこうじ)」と呼ばれています。


・散麹と餅麹の始まり

日本の主食はお米。昔の人は、このお米を粒のまま、蒸したり煮たりして食べていました。これに日本の温暖湿潤な気候が結びついて、自然発生的にコウジカビが繁殖したことが日本の「散麹」の始まりだと言われています。また蒸すことでお米のたんぱく質の一部が変わってしまった状態のものを分解して繁殖できるのは、コウジカビの特徴のひとつでもあります。

一方、中国をはじめとするアジア圏は、麦類や高深が主食であり、それを粉にして、水で練って団子状にしたものを、包子、麺、饅頭のように焼いたり蒸したり煮たりして食べることが多い地域です。麦穂などの原料に大量に付着し、生育が特に早いクモノスカビは、これらの穀物を団子状にしたものに優先的に繁殖するようになり、これが「餅麹」の始まりだと言われています。


このように各国の麹は、
その土地の主食と調理法、その土地の気候風土、土地固有の微生物などが相まって生まれました。


・散麹を様々な調味料に発展させた日本の麹文化

それぞれの国では、麹を使って古くからお酒が造られていました。
日本では、この麹をお酒だけでなく、醤油や味噌などの沢山の調味料づくりにも巧みに利用してきました。

まさに日本の食文化である和食は、麹によって生み出された独自のものなのです。



世界各国、古くからその土地に根付く発酵食を紐解いていくと、古くからある食文化や気候風土、生活を垣間見ることができますね。


次回は麹菌も関わっている「お酢づくり」について。
お楽しみに。



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