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ロボットの単独オペ成功と戦国時代へ

ロボットは、単純作業だけでなく高度な処理まで代行しつつあります。そんなことを再認識させられるニュースが流れました。

従来は人間のお医者さんの支援だったのが、今回は初めてブタの腹腔鏡手術(特に難しいのは腸を腸を結び合わせる作業)にロボットだけで成功し、それも人間より高い評価を記録したとのことです。

実はロボット手術は結構歴史は古く、実に1985年から始まっています。

大きな進展があったのは2000年、アメリカの審査機関FDA(Food and Drug Administration)が、Intuitive Surgical社の手術支援ロボット「ダヴィンチ」を承認したことです。

Credit:Intuitive社

隣で外科医師がモニターを見て行う作業を元にロボットが実行する遠隔型で、主に腹腔鏡手術で使われています。
ダヴィンチは米国だけでなく世界各地で採用が進み、2021年12月時点で世界で累積「1000万件」のオペを経験したそうです。この数は圧巻ですね。

日本は特に早期より(2000年)導入した国で、下記に日本ロボット外科学会が詳しく歴史や機能を紹介しています。

そんなダヴィンチですが、先行者実績による信頼もありますが、数千件にも及ぶ特許もあり、参入障壁はそこそこ高いものでした。ピーク時は世界シェア7割ともいわれています。

但し、特許は大体「20年」で期限を迎えます。つまり、販売当初の特許は既に切れています。
そういった背景で他メーカも以前より参入を進めており、特にこの数年は業界を超えた参入が進み、群雄割拠の時代に突入しています。

日本も、もともと注目していた分野で国内メーカが名乗りを上げています。

なかでも医療機器のシスメックスと産業ロボットの川崎重工業が共同出資した「メディカロイド」は有名で、2020年に厚生省から販売承認を獲得しました。

名前を「hinotori」といいます。2021年にいくつかニュースでも報道されたので、その1つを紹介します。

記事にもあるように、日本または病院固有の改善にも対応できるようなコンパクトさや拡張性を織り込んだのが特長です。

気になるのはまだ物理的には隣でオペをしており、そこに医師も行かないと実現できません。
もちろん将来的には、冒頭記事のように完全にロボットに委ねられる時代もくるのでしょうが、やはり安全&安心面で社会的に受容されるのは先になると思います。

その中間目標として個人的に期待しているのが、「5G」など高速通信インフラを活用して物理的に離れた病院での遠隔手術です。

既に下記記事のように実証実験を進めつつあるので、まずはこれを実現して、医者・患者ともに選択肢を増やせる時代が来てほしいです。

たとえ今後ロボット化が進んでも、医療従事者の方々へのエールと尊敬はこれまで以上に伝えたいと思います。

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