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国内通信キャリアの宇宙への取り組み

衛星通信は、近年どうしてもSpaceXのStarlinkが話題を持っていきがちです。
実際現時点で3500基超と地球全体の4分の1を占める規模にまで膨らみ、今後もなんと42000基まで打ち上げる計画を公表しています。

他にも同じく地上へのブロードバンドサービスを提供する競合として、Amazonが進めているProject Kuiper(カイパー)が将来3200基超、OneWebは約650基(長期的には1万基)の衛星を打ち上げる計画を発表しています。

では、国内で衛星通信サービスへの取り組むは皆無かというと、いずれも粛々と取り組んでおり、今日は主だったものを紹介してみようと思います。

まず、分かりやすいところから触れると、KDDIは既にSpaceXのStarlinkと提携し、そのサービス提供を開始しています。
Starlinkの日本サービス提供がどう影響するのかが分かりませんが、今のところはKDDI網がカバーできていない領域を補完する位置づけです。

次に前述のOneWebですが、実はこれにはSoftbankグループが出資しており、実際それを通じた通信サービス構想を発表しています。

OneWeb含めたSoftbankの宇宙通信構想をNTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)と呼んでいます。

OneWebのほかに、HAPS(High Altitude Platform Station)という用語が使われています。
これは地上20km付近の成層圏に通信の役割を担う飛行物を打ち上げる方法です。宇宙空間には国際的な定義が決まっていませんが、大体地上80km-100km以上を指すことが多いため、細かくは宇宙ではありません。

NTTグループ(の移動通信を担うNTTドコモ)は、このHAPSに絞って同じような超高度からの通信サービスを提供する予定です。

無人飛行機の開発はエアバスが担います。名称はゼファーで、エネルギー源が太陽光です。航空機内での高速通信や山間・離島など、従来サービスが行き届きにくいサービス提供を目的としています。

最後の楽天モバイルですが、これはHAPSでなく衛星開発のAST SpaceMobileと組んで、直接スマホと通信できる衛星通信の実証を進めています。つい最近、低軌道衛星を使うモバイル通信の実験用免許を取得したことも正式に発表されています。

この試験衛星のアンテナが全開したことによる気になる記事がありました。

ようは、
大きく(64平方メートル)かつ明るくて(2等級に近いレベル)天体観測に影響があるという指摘が入った、
という話です。

上記から展開するアニメーションも引用しておきます(タイトル画像もここから引用)

これは衛星特有のリスクですが、今後同規模の通信衛星が100基上がる予定だそうで、これからも科学団体からの声が高まるかもしれません。

勿論楽天だけでなく、衛星事業共通のリスクで、以前にもそれに関して投稿したこともあります。

環境が宇宙になったことで、より従来と異なるステークホルダーが登場する典型的な例ですが、対話は忘れずに持続可能な事業に育っていくことを願っています。

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