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太陽系外惑星の発見が遂に5千越え!

NASAが3/21に、「太陽系外惑星」の発見が遂に5千個を超えたことを発表しました。

今でこそ珍しくないですが、太陽系外惑星は、実は20世紀末まではなかなか見つからない存在でした。
それが、わずか数十年で一気にその発見が広がりました。

一体何が起こったのか? 今回は歴史のストーリーを紹介したいと思います。

まず、「太陽系外惑星」は名前の通り、太陽系の外にある惑星を指します。
探索は1940年代から行われてましたが半世紀以上も1つも見つからない時代が続きました。

惑星は恒星のように光を発しないのと、恒星比較で小さいため、いわゆる天体望遠鏡で見つけることは極めて困難というのが1つの理由です。

惑星の検出手法ですが、当初は、周囲の恒星とお互いに及ぼしあう重力(引力)の影響でグラグラと位置がぶれる様子を観測しようとしていました。

何十年も成果が上がらない中で、1980年代から「ドップラー法」と呼ばれる新しい手法が取り入られました。
要は、「惑星自体の運動変化が及ぼす信号の変化を検知しよう」という方法です。

日常生活にたとえると、こちらに向かってくる救急車のサイレンがすれ違う際に高音から低音に変わるのと同じ原理です。

Credit:国立天文台 http://exoplanet.mtk.nao.ac.jp/instrument/ird

ところが、この手法でも10年以上成果が出ず、もう太陽系の外には惑星が存在しないのでは?という諦観ムードすら漂っていました。

そんな中、あるグループから発見のニュースが飛び込んできます。

ジュネーヴ大学の天文学者ミシェル・マイヨールさんが率いる研究グループが、ドップラー法でペガスス座51番星の周りを回る惑星ペガスス座51番星bを発見しました。

やや唐突感がありますが、実は彼らが専門外だったことが発見にも寄与していました。

宇宙は広く、やみくもに惑星を探すわけではありません。ある程度「常識的な」あたり付けをします。
釣りに例えると、慣れた人なら釣り場や潮の流れを見てどこに魚がいるかを見当をつけて釣り針を落とすイメージですね。

ここでいう常識とは、当然「太陽系モデル」です。

地球は1年、最も太陽に近い水星でも88日かけて太陽を周ります。
また、太陽に近い領域には主に岩石でできた地球のような小さめの惑星が、遠い領域には氷など巨大ガスをまとった木星のような巨大惑星が出来ます。

その太陽系モデルを元にして、大体のあたり付けをしていたわけです。

ところが、見つかった惑星の恒星周期はなんと「約4日」!
しかも、木星クラスの大きさで主星から約780万kmの距離(太陽と地球の20分の1)という、何もかも常識外のスケールだったのです。

彼らの専門が元々太陽系ではなかったことで、その常識を疑って今まで探索してこなかった領域にあたり付けをしたわけです。

その発見を受けて、他の研究者からも数年のうちに新しい系外惑星が見つかる入れ食い状態になり、2002年には発見数が100個を越えました。

さらには、新しい観測手法(トランジット法。下図)やその手法を元にした「ケプラー」と呼ぶ惑星探査機が登場し、現在の飛躍的な成果に繋がっています。

Credit: https://astro-dic.jp/transit-method/

特にケプラーは、見つかった5000個のうち実に過半数をしめます。
今は、同手法の探査機TESSが活躍し、そして2027年から新しい探査機が打ち上げられるため、今後も発見の数は増えると見込まれます。

最後に、NASAが5千越えを記念して制作したショートムービーを引用して終わりにします。
科学技術の偉大な発見にはなにがしかのドラマがあり、今後も興味深いものは発信していきたいと思います。

※タイトル画像はNASAサイトより

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