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車いすの天才ホーキングを偲ぶ

下記記事で1月8日がスティーブンホーキングの命日だったことを知りました。

残念ながら日を超えて気づいたので当日に実際に声を聞くことが出来なかったので後日アーカイブ動画を視聴しました。
温かいメッセージなので、セリフも添えて下記に引用しておきます。

スティーブンホーキングです。
私は動くことが出来ず、話すためにパソコンを使わなければなりませんが、心の中では自由です。
私は心の中で宇宙を旅して回る人生を送ってきました。
私の目標はシンプルです。宇宙がなぜそのようになっているのか、なぜ存在するのか、完全に理解することです。
宇宙の基本的なルールとして、「完璧なものはない」というものがあります。完璧など存在しないのです・・・不完全さがなければ、あなたも私も存在しなかったでしょう。
ブラックホールも実際のところ黒いわけではありません。熱い物体のように輝き、小さくなればなるほど、その輝きは増します。
私たちはとても小さな存在です。しかし、とても大きなことを成し遂げられるのです。
人間の努力に限界などありません。どんなに悪い人生に思えても、生きている限り希望はあります。
勇気を持ち、好奇心を抱き、決意して困難に打ち勝つ。やればできます。

出所:上記動画


多くの方が知ってる通り、ホーキング氏は運動をつかさどる神経細胞が機能しなくなるALS(筋萎縮性側索硬化症)を患って、自分の声が出せなかったので、あくまで人工的な声です。

研究テーマは、上記でも触れている「ブラックホール」が中心でしたが、デビュー戦は「宇宙の起源」で、亡くなる一年前の2017年に下記で公開されています。

ようは、
膨張宇宙には特異点があることを一般相対性(重力)理論をもとに数学的に証明しました。

元々は、ロジャー・ペンローズと行った
「ブラックホール(特異点)は重力崩壊が起きれば形状によらず掲載される」
という共同研究の拡張です。

これでペンローズともども宇宙物理分野のスターダムに駆け上りました。
過去に少しペンローズについては触れたので引用しておきます。

ただ、この時には既にALSは進行し、書くことも話すことも難しくなってきます。

実は、2022年にホーキング展示会がイギリスの科学博物館で行われており、板書していた時期(1980年)の黒板も公開されています。

このころに、今でも仮説として受け入れられている、「ブラックホール放射」も提唱し、さらには「ホーキングのパラドックス」とも例えられる深遠な問題を提起し、今の量子重力理論に多大なる貢献をしています。
このあたりの経緯について興味のあるかたは、下記がお勧めです。

亡くなる直前まで精力的に研究し、亡くなる数年前に共著で完成した論文のテーマは、宇宙初期に起こったとされる「インフレーション」のメカニズムについてです。(発表は死後)

下記で、基礎的な解説込みで和訳本も出版されています。

多宇宙と書いているとおり、いわゆる「マルチバース(多元宇宙論)」を受け入れる中で、それが問題なく進行するメカニズムを提唱したものです。

書籍以外では、亡くなった後に解説した下記サイトがお勧めです。

ようは、
我々は多宇宙で局所的にインフレーション(急膨張)が起こっており、その発生過程をホログラフィー原理を導入することで数学的により緻密化した、
というものです。

ホログラフィー原理は下記でそのさわりを紹介しました。これもブラックホールとつながりがあります。

振り返ってみると、初期の膨張宇宙とその初期における時空の概念を数学を使って一貫して探求していった、とも見えます。

ホーキング氏はブラックホールの業績が目立ちますが、心の中にはそれも手段に過ぎず、冒頭動画のとおり、常に「宇宙を知りたい」という好奇心で一杯だったのだろう、と改めて感じました。

※タイトル画像Credit:Wikipedia

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