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言葉の川

英会話スクールの講師として働いていた頃は、

川底の石になった気分だった。


生徒さんは川の流れとなって、実際の生活で英語を使っている。

それなのに私は、これだけスマホ全盛の世の中で、

未だに2つ折りの携帯電話を使う人が出てくるテキストを使い、

同じフレーズを毎日教えている...


私も流れになりたい。今、使われている言葉に触れたい。


そう思い転職活動し、拾ってもらえたのが翻訳会社だった。


翻訳会社ではコーディネーターとして、

企業様から翻訳する文書をお預かりし、

適切な翻訳者を選定し、スケジュールなどを決める。

そこで私は、まさに今生まれつつある言葉に触れるようになった。


仕事を始めた頃、お客様からお預かりする文書で

しきりに使われていた略語が「SDGs」だった。

その時は、英訳の文書なのに

時々日本語の絵が残ってるから注意しなくては、

程度のことしか考えていなかった。


それが、翌年にはもう、テレビでも普通に

使われるようになった。


「3密」や「在宅勤務」など、次々新しい日本語が生まれ、

そして英訳も生まれていくのを目撃した。


オリンピックが延期になり、必死で手配した

関連文書が使えなくなってしまった。


私の仕事は、常に世の中の流れの中にある。

しかもかなり上流に。

新しい情報に触れられているのが、私はなによりワクワクする。


今の仕事では、自分の強みを活かせ、

弱みさえも武器になっていると感じる。


マルチタスク好き、飽きっぽい、英語できる、心配性、気遣いができる、

細かいことが気になる、観察力があり勘が鋭い...


自動翻訳が進化し続けており、私の仕事もいつまで続くかは分からない。

ただ、この仕事が続く限り、少しでも貢献できたらいいなと思っている。


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