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アーマード作文 AC6とわたし


アーマードコアとわたし

新作発売

2023年8月25日、全アーマードコアファンが切望した新作アーマードコア6が発売されました。いま思い出しても本当にうれしい、心がじんわりあたたかくなります。10年待ち続けた皆さん、あらためておめでとうございます。そしてありがとうフロムソフトウェア。感謝を!

出会いforAnswer

青春をACに捧げた人と違って私は後追いしたファンです。もう8年ほど前にforAnswerから始め、4、V、VDの4本を遊びました。そもそもロボットものに興味を持ったのが30手前で、それまではロボットの出てくるゲームはガンダムのやつかCMで時々見かけるスパロボシリーズしか知りませんでした。

そんな私がACforAnswerでリンクスとしてネクストACに乗り、そして今までのロボゲー観が変わりました。
国家解体戦争、世界を牛耳る超巨大企業、政治経済環境汚染など困難な問題が絡み合ってできた膠着状態の世界。1回英語にしてもう1回和訳したような重々しい言い回しのナレーション…。新しいSFと出会い、ときめきました。
重厚な雰囲気のストーリー、しかしゲームとしては軽快な遊び心地で、荒涼とした大地を見下ろしながら超高速で飛び回ってグレネードランチャーを撃っていました。お気に入りの曲『precious park』がBGMで流れると仕事中に好きな曲を流している体の傭兵ロールプレイが大変はかどりました。
『precious park』、いい曲です。粗くザクザクとした音が特徴的な前半と後半の浮遊感のあるギターのエフェクト。荒んだ環境とネクストの操縦し心地というわたしにとってのfAの印象がこの1曲に集約されています。

褒めないオペレーター、セレン・ヘイズ

これも新鮮な体験でした。ふつうは何かを達成したら「褒め」が与えられるものですが、fAのオペレーター・セレンはプレイヤーを全くといっていいほど褒めません。それくらいやってもらわないと困るだとか、私の教え子なんだから当然とか、そういうことしか言いません。ミッションで目標を全て撃破したらニンテンドーのゲームだったらファンファーレと花火と紙吹雪だしてるところですよ!

ところがこのオペレーターの冷たい態度が私にとってはゲームにより現実感を与えるこの上ないスパイスでした。私の幼少の成育環境境は決して良いとは言えないもので、褒められないことが普通でした。
そのため私の感性はひねくれてしまいました。過度な(普通の人にとっては当然の)「褒め」を嘘くさいとか白けるだとか思うようになり、そういうのを喜ぶのは"わかってない"奴らだと自分に言い聞かせたり、ねじくれた感性を"特別"だと思い込むことで自尊心を保とうとしたり…。このようなケチな思考で自分を慰めるいやしい人間として成長してしまいました。

この悲しむべき感性はセレンの厳しさを楽しむことだけにはプラスに働きました。もし最初に遊んだACが4だったら?4のオペレーターは優しいお嬢さんだったのでこんなにハマることはなかったかもしれません。
ACシリーズは、forAswerはそんなに人を選ぶゲームなのかというと、そういうことはありません。わたしが勝手に特別な気持ちを抱いているだけですので、この点だけご留意ください。

最新作AC6は序盤からハンドラー・ウォルターからねぎらいや気遣いという形で「褒め」が与えられるのでかなり暖かな職場になったなと思います。私も現在はこの感性を悲惨な人生の産物だと正しく認識し、ねぎらいを素直に受け止めよろこんでいます。もっとも人の温かさに触れればこそ、別離の苦しみも増すというわけです。仏陀の説く愛別離苦をゲームでも味わわなければならないとは。

ダリオ・エンピオという男

褒めてくれるのは「ユニオンは、あなたを高く評価します」のメッセージが印象的なインテリオル・ユニオン社だけなのか、というとそうではありません。fAにも「褒め」はあります。
敵対する勢力や傭兵からこいつはなんて強いんだというふうにワンクッション挟んだ形で褒められます。シリーズ恒例ですが「イレギュラー」として扱われるなどプレイヤーの強さを別格扱いすることがAC流の「褒め」なのです。

強いということはそれだけでいろんな勢力から頼りにされたり敵視されますし、個人からは妬まれたり、勝手にライバル視されたりします。fAで印象的なのがダリオ・エンピオという企業付きの傭兵のセリフです。彼は所属企業におけるナンバーワンを目指していて、実際僚機として雇うと積極的に仕事をする働き者ではあります。しかし剥き出しの野心と2番手の位置付けから会議において他の傭兵から軽んじられ、それに対し不機嫌をあらわにするような万年2番手の小物感が拭えない人物です。
プレイヤーは彼からもナンバーワンの証明としてのトロフィーのような扱いで襲撃を受けるのですが、撃退に成功し彼が死ぬときの言葉がずっと忘れられないでいます。

「勝って、勝って、最後に負ける運命か…。お前も同じだ。それまで精々浮かれているがいい。」

ダリオ・エンピオ/ACforAnswer内セリフ

皆さんも身に覚えがありませんか、自分の限界まで努力して頑張って100%以上の力を出し切ったのにそれを軽々と越えていく他人を見たときのめまいにも近い感覚。私はそれをこいつのセリフで思い出しました。それと同時に自分に向けられた呪いに近い言葉に困惑しました。口の奥にじわりと苦い味が広がる…。

おおダリオ、お前はもう一人の私だ…。努力して、努力して、それでも結果が出せないまま終わってしまう。わたしは他人を呪うようなことまでは言わなかったけれど、それは誰に、何に負けたのかすらもわかっていないからかもしれない。お前の気持ちは苦しいほど理解できる。燕雀いずくんぞ鴻鵠の志をしらんやとは言うけれど、遥か頭上を行くものたちには我々小物の存在など見えてすらいない。まさかロボットのゲームでお前のようなやつに会えるとは思いもしなかった。機体名トラセンド、超越。志だけは高く。

余談ですが、後の作品ACVでもダリオと同じ声優さんで何度か戦うことになる人物、警備隊長が出てきたときはとても喜びました。もう一度会えて(?)とっても嬉しかったので、あんたを困らせるために街や列車を襲う!!

AC6とわたし

「AC」だ!!

コントローラーを握って動かした瞬間そう思いました。ACを動かす感じは全然変わっていませんでした。スタート時の機体は決して性能が高く設定されてはいませんが、この、自由に地を滑りフワ~と機体を浮かす感覚…ちょっと忙しめのボタン操作…間違いなくACです。自分の身体よりずっと気持ちよく動かせる…踊るような気持ちでハンドラー・ウォルターと仕事を開始しましたが、とてもつよいヘリコプターのせいで3時間くらい残業が発生しました。
「隻狼」でいう体幹システムであるスタッガーシステムは攻撃を絶やさずに仕掛けて敵に負荷を掛けると大きな隙ができて大ダメージが与えられますよというものです。説明するのは簡単ですがそんなに性能の良くない内装でヘリまで飛び上がりパルスブレードで斬るっていうのは、久しぶりのおばさんにはちょっときつかったです。200時間近く遊んだ現在もミッションのSを取れていません。

バルテウスとわたし

フロム作品ブラッドボーンで序盤の敵にも関わらず多くのプレイヤーの壁となったボス敵、ガスコイン神父がいます。隻狼発売前にブラッドボーンがPS+でフリープレイに来たこともあって、今までフロム作品に触れたことがない人も気軽にDLできました。そして多くの人がガスコインに挑んだのですが、トロフィーからわかる突破率が44%台(記事執筆現在)です。
フリープレイ作品はとりあえずDLしておこうという人も多いですし一概には比較できませんが、AC6にも同じくらいプレイヤーの壁となった敵がいます。それがバルテウスです。

私はACが好きですがそう上手いほうではないので、先述の通りヘリに3時間ほどかかってしまったのですが、バルテウスはそれ以上に苦戦しました。泣いたりくじけたりする時間も含みますが8時間はかかっていると攻略当時のX(Twitter)に記録してありました。
ミサイルが花火みたいに半球状に射出されたかと思うと的確な射撃でグレネードを撃ちこんでくるバルテウス。しかもAPを減らすためにはまずバリアを剥がなければならない。今作は特定の脚部でないとランチャー系の武器は止まる必要があるのに、お前は軽々と撃ってきやがってよ!
ある程度ダメージを受けたら第二形態で火炎放射しながらぐるぐると暴れ始め、あっという間に焼かれてしまう。頼む、ヒノカミ神楽をやるのはやめてくれ…!
8月の終わり、バルテウスのおかげでPS5の排熱で汗を流しながら彼に挑み、泣いて悔しがる半裸中年女性が生まれました。

足し算で勝負する

前半の動きを理解し始めてミサイルカーニバルを軽微な損傷で済ませグレネード(修正前は弾速1200の設定だったそうです!)もアラートに合わせて体が動くようになりました。それでも神楽の火に1回触れてしまうとスタッガー状態になってあっという間にやられてしまう…。もう、アラフォーには無理なのかな…。

あれはたしか、大学受験のとき。数2-Bの応用問題が難しくてほとんど解けなかったので数1-Aの計算をとにかく丁寧に早くやるという方法で乗り切りました。片方が100点近ければもう片方が50点くらいでも平均して数学は70点はあるという極端な理論です。これで数1-Aは満点をたたき出しました。2-B?40点かなんかだったよ。これが数学が不得意なこじかのやり方です。

…バルテウスもこれと同じことをすればいいのです。前半はリペアキットとAPを温存し、後半にヒノカミ神楽を踊られても耐えることができるようにすればいいのです。完璧な理論!通算何100何10回目の挑戦だったでしょうか、勝つときはあっさり勝ててしまうものです。ありがとうタキガワハーモニクス。やっと本編のストーリーが大きく動き出すところを見られました。

アップデート・バルテウス弱体化

クリア率などを見てフロムの人もよくないと考えられたのでしょう。1回目のアップデートでバルテウスは弱体化されました。具体的にはミサイルの誘導性能を低くして避けやすくなったこと、グレネードランチャーの弾速がかなり甘くなりクイックブーストで避けやすくなったこと、後半の火炎放射に当たっても一撃でスタッガー状態に陥らなくなったことでしょうか。

このおかげでバルテウスを突破できたという声を何件もSNSで見かけたので調整はよかったと思います。きっと久しぶりの新作でフロムの人もやりごたえのある敵をと張り切りすぎてしまったのだと思います。発売日から有給を取ってプレイに集中した傭兵たちはきっと満足する相手だったと思います。それはそれとして、序盤の敵にここまで苦労するとゲームそのものを投げ出してしまう人が多くなると思うので調整されて本当によかったと思います。
私は今となってはバルテウスの戦闘BGMや雰囲気が作中いちばんお気に入りですし、彼と過ごした時が最も「AC6」だったなと思い出深く残っています。

AC6プレイ面の所見

ミッション評価

弱体化の他にもいいと思ったことが幾つかあります。ミッションはプレイ内容でS~Dのランク付けがされます。それが今作は初攻略時はランク付けがされず、2回目以降の攻略のみ表示されるようになりました。これにより、ストーリーを楽しみながら進めているうちは点数を気にせずによくなりました。苦労してバルテウスを倒したあとにランクDって表示されたらちょっと凹みませんか?初攻略時は勝利の余韻に浸っていたいですし、純粋にストーリーを追うことを楽しんでいる人には水を差すことになります。私は些細なことを気にしてしまいがちなのでこれは集中するのにありがたいなぁと思いました。

オールマインドの初心者教習プログラム

傭兵支援システムのオールマインドさんは優しいので、新人傭兵には無償で教習を受けさせてくれます。そのうえ一定まで進めばパーツも無償で提供してくれます。ありがたいですね。
このプログラムでは操作が成功すると画面のボタン表示が白く光り確認できるのがとてもよかったです。AC6から始める人も突然戦場に放り出されるのではなく動きの名前や動作を覚えられるのでケアが手厚いなと思いました。

オンライン

3周攻略後オンライン対戦のネストにも参加してみました。PS2時代でしょうか、ACの対人戦はかつてリアル大会が行われたときに皆あまりにもACに本気すぎて一触即発の熱すぎるやつだったという話をトップランカーだった方のインタビュー記事で読んだので、1回雰囲気だけ見たらやめようと思っておそるおそる遊びました。
オンライン対戦システムとしてはテンポよく進み、トロフィーや実績には関わらないオマケ要素として誰でも気軽に遊べるように工夫されていました。一番いいなと思ったのはチーム戦で同じルーム(待機所)から出撃するメンバーが早いもの順で選出されて無作為にチーム分けされていることです。これならルームに人数が集まりさえすればたくさん遊べて待ち時間が大幅に減りますね。無限とも思われるマッチング時間にぐるぐるまわるアイコンを見つめ続ける必要はなくなりました。

AC6の登場人物とファンたち

なんといっても自由にメカを駆る操作感と美しいメカデザインなのは私の中で不動なのですが、それが世間でもウケるのかな…心配は杞憂でした。
フロムは主にソウルシリーズで知名度を上げエルデンリングは世界で1000万本の大ヒット作となったので、同じ会社の新作ということでACシリーズを遊び始めてくれた人も少なくないと思います。
プロモーションにもかなり力が入っていて首都圏の駅の柱じゅうにアドが並んでいたり、ラスベガスの巨大広告スクリーンで実写映像※が流れたり、ロンドンの2階建てバスがAC6の広告に包まれ「アーマードバス」になったり…。

※プロモーションムービーのこと。シリーズ恒例の実写と見まごうばかりの迫力あるムービーはACファンの間で実写と呼ばれる。新作が長らく出なかったのは惑星を一つ燃やす映像の撮影に時間がかかったためと考えられる。

豊かさが増した登場人物たち

ACシリーズはオペレーターがいることでソウルシリーズより情報量が多く、登場人物の口から世界について知り得ることがたくさんありました。セリフの少ない登場人物も実力派の声優さんが担当していて大作映画の吹き替え並みのクオリティの高さでした。
フロムの他シリーズでも短いセリフやテキストの中に登場人物の人物像が想像できるだけの情報がギュッと詰まっていて、その百数十の文字だけで彼らの魅力に夢中になる人は星の数ほどいました。かく言う私もその一人です。フロムの手掛ける人物に魅了されてきた人なら当然ACの人物にも魅了されるはずです。ACが愛されるポテンシャルは十分にあったんです。

AC6は過去作と比べて喋る登場人物もセリフ量も大幅に増え、これだけでほぼ上質な音声ドラマに仕上がっています。過去作は依頼人や企業のブリーフィングとオペレーターの話がほとんどだったのが、自分あてに依頼とは関係ないメッセージまで来るようになり、主人公といろんな登場人物の間に継続的な人間関係が生まれました。もう一方的に殺す・殺される関係だけではないのです。また登場人物同士の人間関係も色濃く伝わるようになっており、各勢力に所属する者同士のやりとりを聞けたり、上下関係や友好関係を想像しやすくなっています。

明確な登場人物の役割

「共に壁越えと行こうじゃないか」。ティザー映像で印象的なセリフとその時点で全身から尋常でないカッコよさを放っていたアーキバスコーポ所属ヴェスパー部隊第4隊長ラスティ。そんな彼がプレイヤーを「戦友」と呼んでくれて共闘したり助言を与えてくれたりします。これにより数多の女性だけでなく男性も彼に夢中になり、ラスティと自分との日々を妄想する「夢女子」になってしまいました。使命に燃えるハンサムなヒーローというのはいつの時代も人を魅了するのです。
ラスティ、こんなにもわかりやすくヒロイックな人物はACシリーズ初ではないでしょうか。彼にもほんのちょっと謎めいたところを残すのがフロム味ですね。

また同部隊のスネイルも悪役として大変わかりやすい嫌味や敵対行動をとってきます。企業などの集団とか社会システムそのものに立ち向かうというのはありましたが、個人としてはっきりと憎まれ役が登場したのもACシリーズでは珍しいなと思いました。
悪役がいることでプレイヤーはそれまでに溜まった敵愾心をぶつけられますし、それで得られるカタルシスは成り行きで戦う相手で得られるものとは一味違ってくるでしょう。突然やってきてわけもわからず戦ったバルテウスより、毎度駄犬とけなしてくるスネイルをやっつけたときの方がスカッとしたという人は少なくないと思います。X(Twitter)で「スネイルだけは気持ちよく倒せる」という旨のポストは何件も見かけました。
最も彼の悪役としての良さや上層部と現場の間での責任者という苦労する立場などを多くの人は理解している人が多いでしょうから、やはりスネイルもまたフロムの魅力的な人物なのです。

でもそれはただの勧善懲悪ものでストーリーが単純になっただけでは?というのは間違いで、AC6はSFとしてもっと重要な事柄がストーリーの根幹に据えられており、決して安直になったわけではありません。またわかりやすい役割の人物がいる一方で、突然ど真ん中に飛び込んでくる大穴の人物もいますし、脇役も癖の強い魅力的な人物がたくさんいてストーリーミッション全3周を楽しませてもらいました。

集団幻覚

AC6にて登場するコーラルはルビコン3特産の燃料だったり食用ワームを育てるために必要だったり、これのおかげで惑星間航行が可能になっている不思議物質です。映画『DUNE』のメランジ(スパイス)と似ていますね。物騒な話ですが中枢神経に作用するようで作中で覚せい剤のように使われたりもしています。

そこんとこ俺たちは違うぜ ルビコンの恵みをナマでイッとるからな
パチパチ弾けて 脳みそ幸せだぜ

通信記録:ドーザーの妄言 抜粋

元々フロム作品は最小限の情報で最大限に事物を魅力的に見せるのが上手いので、多くの人が思い馳せながらファンアートなどの二次創作に取り組んでいました。その想像力が力を持ちすぎて突飛なものや二次創作者本人の趣味を全開にしたものを「ブラッドボーン」の本来見えないものが見えてくる不思議な力にちなんで啓蒙が高いなどと形容されていたのですが、AC6の場合ドラッグとして使われるコーラルがその役割を果たしています。
コーラルをキメすぎ想像力が天高く飛翔した人々は企業のマスコット、アーキバスの「アーキ坊や」、ベイラムの「ベイ太郎」、果ては豊満な胸が自慢のイメージガール「大豊娘娘」などさまざまな非公式設定を誕生させました。これらは一見本設定のように扱われていますが本作には全く出てきません。このような状況はいつのまにか(コーラルによる)集団幻覚と呼ばれ、創作がさらに創作を呼び続けています。

アーキ坊やとベイ太郎の創作で良いと思ったことがあります。敵対企業である2体が殴り合いなどユーモラスな喧嘩のイラストが生まれたことで、どの企業がどこと敵対していてレッドガンとヴェスパーや傘下の企業がどっちの勢力についていたかがマスコットのおかげでわかりやすくなったという声を耳にしました。
民生品など作っていなさそうな企業にマスコットは必要か?という意見も散見されましたが、幅広い理解や事柄の把握のためにやはり必要だったのでしょう。

炎を絶やさないで

今まではほとんどのプレイヤーが男性だったのがソウルシリーズからの参戦や評判を聞きつけてくれたのか女性プレイヤーもかなり増えている印象です。たまたまニコニコ動画で10年前のファンメイドのAC動画を見たところ、その、まぁ、なんというか男子学生の悪ノリのようなものもたくさんあり、ほとんど男子校だなと思いました。動画という編集に良いPCが必要だったコンテンツだからたまたま偏った結果だったと思うことにしています。

全くいないというわけではなかったでしょうが、人間の約半数は女性ですし私は過去4作プレイして楽しかったのでファン層の拡大の余地は広かったわけです。AC6のファンアートやポストをX(Twitter)で独自に調査したところ、女性やソウルシリーズからのプレイヤーと思しき人たちが多数、いえ、ものすごい数確認できて感動しています。10年前、登場人物との朝ごはんを想像するつぶやきがあったか?なかったでしょう。それが今ある!!

いろいろなファンアートや妄想および集団幻覚を拝見し、想像力が力強く羽ばたいているなと感じたものがあります。これはコーラルだけではない、持って生まれた立派な翼の力だと思いました。一つ紹介させてください。
みんな大好きな悪役スネイルはV.(ヴェスパー)Ⅱ(第二隊長ね)で第一ではありませんが、第一隊長がほとんどただの熱心なACプレイヤーのような人物描写であり、しかも改造をうけていない生身の人間です。片や仕事に熱心すぎる改造人間、片や無邪気に戦闘を楽しむ自由人。この対比だけで2人の人間関係がたくさん想像されています。2人は一言ずつしか言葉を交わしていないのに!
私は純粋に人の想像力ってすごいなと思い、まぶしさや憧れすら感じました。

男女問わず、ACのファンは大きく増えました。私はメカ愛好家ですので、軽逆の美しさが話題にならないことが寂しくないといえばウソになります。しかし今は人物のドラマとしての面に大きく注目している人も愛機に乗り続けるうちに感化されていき洋服のコーディネートのことを「アセン」と呼んでしまう、それくらいACそのものに夢中になってしまう人もいつかきっと出てくるはずでしょう。この私と同じようにね。


そして人が集まることの宿命でもありますが、集団幻覚の熱狂に付いていけない、一部創作がマナー的にいい気持ちをしないものもあるという意見も見かけました。それでも長い冬を経験した身として言えることは人が話題にしないとあっという間に忘れ去られていきます。これは根強いファンと良いものを作り続けてきたフロムソフトウェアの熱意により回避されましたが、幅広いファン層がいることはとても大切です。これが次回作に繋がるの力になるのは明らかです。お店に行列ができているから並んでみるという人は、思っているよりかなり多いのです。

発売一か月を過ぎて私が思うのは、この熱が冷めないでほしいということです。歴戦の傭兵も、新しく始めた人も、どんな形でもいいので、今のこのACが好きという気持ちをどこかで燃やし続けていてください。そうすればきっとまた新しい知らせが聞けると私は思っています。この炎が消えることのないよう、私は願い続けています。



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