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社外発表で刺激を受けて成長を促進する(#12)

この記事の初出は、Software Design 2023年3月号です。

はじめに

「ハピネスチームビルディング」では、新しい技術・ツール・プラクティスを積極的に施行して、得た知見のアウトプットを繰り返して、チームで楽しく成長する事を目指しています。 今回は社外発表というアウトプットにチームの皆でチャレンジする方法を紹介します。

発表するメリットは多い

発表する一番のメリットは、発表するテーマについて深く理解できることです。
私の場合、「このテーマについては十分に分かっている。発表スライドも簡単に作れる」と思っていたとしても、いざ作り始めてみると理解不足に気付くことが何度もありました。
だから発表の準備を通して理解し直すことでやっと、人に説明できるレベルで理解することができました。
これは技術記事を書く時にも同じような事があります。
ただ、技術記事はめったにコメントがもらえないのに対して、発表の場合は必ずリアルタイムにコメントがもらえます。
「せっかくならポジティブなコメントがもらえるように役に立つ知見を伝えよう」と準備を始めると、技術記事を書いた時には見えていなかった粗が色々見つかって、理解の促進に繋がりました

それ以外にも、以下のメリットがあります。

  • 発表後のコメントで、関連する技術情報や助言などで新たな知見が得られる事が多い(ちなみに私もチームの皆も、嫌な事を言われた事はこれまでない)

  • リアルタイムで顔の見える社外のエンジニアから直接フィードバックをもらう事で新たな刺激がある

  • 自分とほかの人の発表を比較して、社内に閉じこもっていた自分がどれだけ「井の中の蛙」か思い知り、成長のきっかけになる

  • 発表すると、そのイベントの運営や参加者と仲良くなりやすく人脈を広げやすい(私は発表時に知り合った人を通じて、コミュニティの運営に入れてもらったり、別のイベントに呼ばれたりした)

このようにメリットがたくさんある上に、発表に対して「とても学びになった」「そのやり方を使わせてもらう」などの役に立った旨のコメントをもらえた場合は、とても嬉しくなります。
だから私は、イベントにただ参加するだけより、発表者になった方が100倍くらい楽しく感じました。

初めての発表でも大丈夫

私は社外発表を経験する前は「自分なんかが人様に何か教えるなんて無理」と思っていました
でも知り合いのエンジニアの方々が社外発表をやった話を楽しそうにしているのを聞いて興味を持ちました。
実際、初めての発表をした人の感想を何人も聞きましたが、「楽しかった、学びになった、良い経験になった」など、ポジティブな経験談ばかりでした。

初めての社外発表に申し込む時は、LT(ライトニングトーク)がお勧めです。
LTというのは、5分程度の短い時間で発表する形式のことです。
勉強会などで、数人のLTの発表者が次々に発表していく形式のイベントがよくあります。
イベントの探し方は、『connpass』というサイトで「LT」というキーワードでイベントを探すと見つかりやすいです。
興味のあるテーマのイベントでLT発表者を募集していたら、申し込みのチャンスです。

初めての時は「発表初心者だけど迷惑じゃないかな」と思うかもしれませんが、LTイベントを開催している管理者は「初めて発表する人が上手にできないかも」という事は織り込み済みなので大丈夫です。
そして、初めての発表は迷惑ではなく業界への貢献です。
1回目のハードルさえ超えれば、2回目以降の発表は容易にチャレンジできます。
実際に、私はそういう人を何十人も知っています。
そのように発表者が増加する事はコミュニティの活性化に繋がり、コミュニティの活性化は業界への貢献に繋がります。

ただ、初めての発表を数十人が集まる大きなイベントでするのはハードルが高く、なかなか発表機会が得られない場合もあります。
過去の私のチームのメンバーもその状態でした。
そんな人のために、私は、参加人数が少なくてLT初心者が集まるオンラインのLTイベントを毎月開催する『Serverless LT初心者向け』という以下のコミュニティを2020年から運営しています

発表経験0回の人が40人以上、ここで初めての発表を経験しました。 ここでなら失敗しても大丈夫なので、初めてのLTのチャレンジの場として、よろしければ活用ください。

私が開催したLTイベントの様子

発表準備のポイント

初めてのLTのテーマを決めるのは、なかなか難しいと思います。
もしテーマ決めに難航した場合、私がメンバーに勧めているのは、なんらかの技術を実際に使ってみて得られた知見を紹介することです。
その時に紹介する技術は、すでに世の中にある技術記事と重複する部分がありますが、それでも問題ありません。
大切なのは「自分なりの視点で、学びになった知見を話す」ことです。
聞き手の知識や経験によって、同じ発表でも、心に刺さる人と刺さらない人がいます。
その技術に精通している人の発表よりも、そうじゃない人の発表の方が、シンパシーを感じて心に刺さる場合だってあります。
だから、すでに世の中にある技術の紹介であっても、自分なりの視点で学んだ知見を発表すれば、その技術を扱うコミュニティへの貢献になるので大丈夫です。

次に発表スライドの準備方法を紹介します。
LTの発表スライドは、人によって様々な個性がありますが、その中でも無難な構成の例を紹介します。

  • タイトル

  • 自己紹介

  • 発表概要

  • 主題(技術の紹介)

  • まとめ

実際に上記の構成で作った発表スライドのテンプレートを、以下の私の記事で公開していますので、よろしければ参考にしてください。

なお、LTでの自己紹介は、なるべく簡潔にした方が良いです。
聴く人は発表者の詳細なプロフィールよりも、発表内容に興味を持つ可能性が高いですし、5分しかないので発表内容の時間を確保するためにも、自己紹介は簡潔に終わらせた方が良いと思います。

スライドのページ数については、5分間の発表でも人によっては10ページだったり30ページだったりします。
何ページだろうと、発表時間内に収まれば問題ありませんが、実際に話してみると思った時間で終わらない事があります。
よって、スライドができたら、必ず発表練習することをお勧めします。
私は、発表練習をやってみたら時間オーバーしていた事が何度もありました。
その際には、一部のページを削除するか、発表練習を繰り返してスムーズにしゃべれるように練習すると、発表時間内に収めることができます。

社外発表の勧め方

私はまず自分が何度か発表を経験し、それでたくさんのメリットを得た上にとても楽しかった事をチームメンバーに伝えました
その上で、発表しやすそうなLTイベントを紹介し、具体的に発表するテーマの候補を挙げ、発表スライドの準備も協力しました。
その結果、勧めた若手エンジニア6人全員が社外で発表してくれました。

発表後にヒアリングした中で印象的だったのは、それまでは「社外のエンジニアと自分を比較しようと考えたことがない」という状態だったのが、「社外の同世代のエンジニアから刺激を受けてもっと成長したい」と言ってくれた事です。

皆で発表にチャレンジする参考にしてもらえれば幸いです。


連載「ハピネスチームビルディング」の次回の記事はこちら↓

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