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「街中に恐怖が潜む…」巨像恐怖症を持つ私の日常

巨像恐怖症という言葉をご存知でしょうか。私はこの恐怖症を小学2年生の時に発症し、現在も恐怖症を抱えながら毎日を過ごしています。まだまだ馴染みがない巨像恐怖症について理解や認知を広められたらと思い、ずっと書きたかったこの記事を書くことにしました。過去の自分のことや、一番の弱点を公表するのは勇気がいりますが、何らかの恐怖症を持つ方も、そうでない方も興味を持つきっかけになればと思っています。

なお、このnoteでは巨像恐怖症の方にも読んで頂けるように恐怖を感じやすい巨像の画像は一切ありません。安心して読み進めて頂いて大丈夫です。

巨像恐怖症ってなに?

名前の通り、巨像を見ると恐怖心やパニックを感じる恐怖症のことです。「高所恐怖症」の人が高いところが苦手なように、大きな像やリアルな像が苦手です。

※巨像の画像を集めたページです。
巨像恐怖症の方は閲覧注意!! >>クリック

苦手な対象は人それぞれですが、私は上の画像を見ただけでも恐怖が襲ってきます。ちなみに身近なもので私が苦手なのは以下です。

動物の剥製や模型
牛久大仏
お台場ヴィーナスフォートの噴水
リオデジャネイロのキリスト像(リオオリンピックで何度も映ってた)

巨像恐怖症のやっかいな点は「自分では避けられない」というところです。高所恐怖症の人は、高いところへ行くのが事前にわかる場合がほとんどなので、回避することもできますが、巨像恐怖症はいつ・どこにあるか分からないので、店内の置物や街中のオブジェなど常に警戒する必要があります。

巨像を見るとどうなるの?

実際上記のような巨像を見たらどうなってしまうのか…
幼少期と大人になった現在でリアクションが違うので、それぞれ書いていきます。

幼少期
・巨像を見たら泣き叫ぶ
・一歩も動けなくなってうずくまる
・とにかく先には進めない(飲食店ならすぐに店を出る)
現在
・時々声をあげて驚く「キャッ」
・心臓がバクバクで固まって視線をそらす
・巨像がある空間に長居はできない
・何とか下や横を見ながら移動
(巨像がたくさんある場合はそれも無理)

テレビで巨像が流れた時は直視できないので、目をつむったままチャンネルを変えたり、家族に変えてもらったりしています。
つまり何度も大きなキリスト像が映るリオオリンピックは恐怖症が出やすかったので、ほとんど観れませんでした…

何で巨像恐怖症になったの?

きっかけは人それぞれですが、私は発症した小学2年生の時に旅行で剥製館を訪れ、その時に怖くなって泣き叫んだ経験から剥製が恐怖の対象となってしまいました。それ以降、剥製のみならず巨像も苦手になりました。私のように明確にきっかけがある人もいれば、突然怖く感じる人もいるかと思います。実際、私の兄弟は同じ剥製館で過ごしてもハシャいでいたので、個人の感じ方によっても変わるかと思います。

巨像恐怖症があることで辛かったエピソード

その1:修学旅行でギャン泣き
私が幼少期の頃は、巨像恐怖症なんて言葉も知られておらず、恐怖症自体の認知度もかなり低い時代でした。修学旅行で訪れた資料館で泣き叫ぶ私を見て、周りから笑われたり、先生からも諭されたり…自分でも何で怖いかも分からないのに、理解してもらえない苦痛を感じた瞬間でした。しまいには「怖がってかわいこぶってる」と言われ傷ついた記憶も…

その2:おじいちゃんの好きな蕎麦屋に入れない
私にとっては街のいたるところに恐怖を感じるものがあるので、場合によっては入れないお店もでてきます。食べたかったものや行ってみたかった場所へいけないのは悔しいですし、初めて行く場所には少なからず緊張します。幼少期におじいちゃんおすすめの蕎麦屋にいったのですが、店の中には大きな剥製が…もちろん入店できずお店を後にしましたが、「食べたかったなぁ」と周りから残念がられて申し訳ない気持ちになりました。

その3:怖さを試される
人は自分が恐怖を感じないものに他人が怖がっていることに理解がしづらいようで、「これは怖くない?」と巨像を見せられたり、「この前のこれは怖がってなかった」と疑念を持たれたりすることがありました。珍しい恐怖症ゆえですが、試されたり疑われたりすることはやっぱり辛いです。

ちなみに私の後輩で吹奏楽部のパーカッションに所属していながら、先端恐怖症がある子がいて、バチ(スティック)を持つのは平気でも、自分に向けられるのが怖く、指揮者の棒もギリ大丈夫(時々怖い)…といった話をしていました。なぜ彼女が吹奏楽部の、しかもパーカッションを担当しているのかは謎でしたが、たまに面白半分で友達にバチを向けられたりして怯えてたので、そういう遊びはやめてあげてねと声を大にして伝えたいです。

現在の付き合い方

今でも巨像恐怖症があることに変わりありませんが、巨像恐怖症との付き合い方には慣れてきて、前より過ごしやすくなりました。
特に私の夫や友達、家族は私が恐怖症をあることを理解してくれているので、パニックを起こさないように日々工夫をしてくれます。

そこで日頃の過ごし方を簡単にご紹介します…

・初めて行くお店は自分で食べログの内観写真をチェック
・巨像があったら、どこに視線をずらせばいいか教えてもらう
・店内や狭い空間は先に入ってもらって見てもらう
・「巨像」があったらどんな大きさや形なのか説明してもらう
(大丈夫そうだったら遠目から見てみる)

こうして理解してくれる人が周りにいることが一番だと思います。
逆に笑われたり信じてもらえなかったりすると「自分はこんだけ怖がっている」という感情がさらに恐怖を増幅させて、パニックが大きくなるように思います。

恐怖症がある=弱い人ではない

これは実際に恐怖症を持つ方へ向けた言葉なのですが、恐怖症があるからといって、心が弱いわけでも、何か問題があるわけでもないと思っています。
私も「会社を辞めて起業」という大きなチャレンジをしてきたり、色んな挑戦をしてきたりとかなり勇気のある決断をしてきました。
恐怖症があってもその人の人生や生き方に必ず影響があるわけではないので、堂々と生きてほしいです。そして周りの方も無理に治そうとするのではなく、恐怖症があっても受け入れる温かさで接して欲しいと思っています。

最後に

私は世の中から巨像をなくして欲しいと思っているわけでは決してありません。むしろ、歴史や宗教的に高く評価された巨像をしっかりと見れないことに申し訳なさもあります。(冒頭で触れた巨像にも心では尊厳の思いがあります…)ただ、この恐怖症や恐怖症自体により理解が深まれば、もっと多くの人が生活しやすい世の中になると思い、このnoteを書きました。
「巨像があるので、今回はごめんない」と店を出ることを受け入れてもらえたり、「巨像がありますか」と訪ねた際に嫌な顔をせず教えてもらえるだけでも、本当に何百倍も過ごしやすく生きやすいです。このnoteを通して自分が理解できない恐怖症を持つ人がいることや、巨像恐怖症という珍しい恐怖症を知るきっかけになれればと思っています。
最後まで読んで頂きありがとうございました!

▼筆者紹介
小島未紅(29)
ランジェリーブランドBELLE MACARON代表。 2018年11月にオリジナルランジェリー24hブラを発表。 SNSを中心に人気を集め、最高日商1000万円以上の売上を記録。 立教大学法学部卒。新卒でNTTグループに入社後、2016年に起業し、株式会社ashlynを設立。

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