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2023年東京ミーティングの顛末

先日Twitterに連投した内容に少し加筆して、noteにも残しておこうと思います。(個人の特定を避ける為、偽名や事実の曲解を少し含みます)

時差ボケだったのか前夜うまく眠れず、少し寝不足の状態で会場へ。場所の手配をしてくれた友人とカフェで軽めの昼食を取り、時間が来たので会場入り。思ってたより広くて、いい感じ。

集まった楽器は5台。そのうち裸ガット1台、5度調弦1台、f字孔の形が特徴的なギター型1台と、すでに何かがおかしかった。

時間に余裕も無いので、早速レッスン開始。裸ガットさんのレッスン曲は、ボッテジーニのゆっくりの曲。ここ数年で僕も僅かながらガット経験値を上げていたので問題なく対応し、てゆーかそもそもボッテジーニだって裸ガットで弾いていたんだし、ヴィブラートや弓速の癖について主に。また、長い呼吸でのフレーズの「引き延ばし方」など。

続いて、普段はエレベでインディーズバンドをバリバリやっているという方。シマンドルの30エチュードの一曲、16分音符が並ぶ部分はそこらの(イタリアの)プロ顔負けの完璧な音程とグルーヴ感。それらは崩さず、クラシック音楽ならではのスタイル解釈と、課題だったヴィブラート、更に歌い方について。

唯一の音大生参加者は、ボッテジーニの速い曲2曲。どっちが先生から出された課題曲でどっちが自分で選んだ好きな曲なのかが一目瞭然だったのが面白かった。こちらはフィンガリングやハーモニクスの選択など細い所から組み立てていく。最後は「いかに短い準備で最高テンションの歌心まで持っていくか」。

ちなみに僕は楽器どころか弓すらも持参せず、受講者さんの物をお借りするスタイルを取っています。これには実は理由があって、出てくる音って結局は多くの部分を「身体の使い方」や「メンタルの設定の仕方」に左右されるよ、という側面を強調したいからなのです。特に僕のように数年に一回、全く継続性のないレッスンをする場合、狙うのは受講者さん自身で何かに気付いてもらうこと。その際、「でも先生の楽器はオールドだから」とか「やっぱり弓のクオリティが・・・」とかいう考えはノイズにしかならない。

さてお次は誰も先生には習ったことがなく、自分で勉強して弾いているという、とある伝統武術をやっている初学者さん。僕から見ればすごくしっかり基礎が出来ているので「これでいいんでしょうか」「はい、いいですね」という問答が続く。聴講の数人からもセカンドオピニオンをもらうが、ポジティブなものばかり。話を聞いてみると、自分で色々なソースから工夫しながら情報収集をしつつ勉強しているそうで、もう「初心者さんは先生に付くのがベスト」という時代は古くなりつつあるのかな、と考えさせられました。もちろん人それぞれでしょうが。

最後は5度調弦さん、東欧作曲家のゆっくり楽章。アマチュアとは思えぬ高い完成度の演奏、僕は5度調弦はほとんど弾いたことがなかったので1番線以外はフィンガリングをアジャストするのに必死。でもこの明るい響きも、確かに一つの魅力ですね。「完璧」を打ち破る大切さ、心は「こめる」ものではなく「こもる」ものだという言葉遊びなど。

聴講参加者も、コントラバスに関係ない人から、とある筋を代表するようなマエストロまで様々。基本的に、言いたいことがある人は遠慮なく発言してもらえる雰囲気つくりに努めました。なんと7時間ずっと聴いていてくれた若者もチラホラと。つまりはそこまで退屈な会ではなかったんだろうと、ひと安心。

一時帰国を決めた今年の頭から手探り、手作りで立ち上げた企画でしたが、本当に参加者に恵まれた会となりました。勝手に東京はアウェイだと思っていましたが、コントラバスを愛する気持ちの前では地域なんて関係ないんですね。関わってくれた皆々様に、心より御礼申し上げます! 

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