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激闘の記憶8・西岡蓮太(にしおか・れんた/龍生塾) 「90年代中量級最強」吉鷹弘氏が認めた若きシュートボクシング王者の決意。「『SBは海人だけじゃない。西岡蓮太もいる』とアピールします」(2020年2月公開・テレ・マーカーPresents KNOCK OUT 無法島64kgGPインタビュー&試合動画)

*2月11日、大田区総合体育館で開催された「テレ・マーカーpresents KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1 無法島64㎏GRAND PRIX」の試合前インタビューと、試合動画、一夜明け会見の動画を公開します。激闘の興奮を再び!!

テレ・マーカーPresents
KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1

無法島 64kg GRAND PRIX 出場選手インタビュー

西岡蓮太(にしおか・れんた/龍生塾)

「90年代中量級最強」吉鷹弘氏が認めた
若きシュートボクシング王者の決意。
「無法島GPを獲って『海人だけじゃない、
SBには西岡蓮太もいる』とアピールします」


文・撮影 茂田浩司

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プロフィール
「WEST SIDE KID」
西岡蓮太(にしおか・れんた)


1999年4月11日、大阪府出身。21歳。
5歳から極真空手を始め、小学6年より龍生塾に入門。
2015年、16歳でプロデビュー。2018年、シュートボクシング日本ライト級王座獲得。
戦績:20戦16勝(6KO)4敗(2020年1月時点)。身長174cm。

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 西岡蓮太は、シュートボクシング(SB)が自信を持って無法島GPに送り込んできた「最強の刺客」だ。

 今、シュートボクシングといえば、RIZINで活躍する「ツヨカワクイーン」RENAのイメージが強いが、格闘技界では「次世代の男子シュートボクサーは逸材揃い」と評判だ。「中量級日本最強」の呼び声も高い22歳の海人(かいと)を筆頭に、二十歳前後に才能あふれる男子選手が揃う。
 西岡蓮太もその一人。一昨年は大月晴明、昨年は不可思と格上の相手に堂々の勝利。昨年12月の町田光戦では「居合いバックドロップ」でシュートポイントを奪われて負けるという、投げありルールが本業のシュートボクサーとして屈辱を味わったが、西岡はすぐに気持ちを切り替えたという。

「あそこで負けて、リセットできました。『もっと頑張らないとな』と思いましたし、その気持ちで無法島GPに出れるので、ちょっと勝ってきてる選手よりいいと思います。自分はこのトーナメントでは『美味しい方』だと思いますけど、今回は『こっちが食う気持ち』でいけるので、あそこで負けてよかった、と」

 5歳から極真空手を始めた。理由は「泣き虫だったから、親に道場に入れられた」ため。
「空手は本当にやってよかったです。元々気が弱いので、空手をやってなかったら小中高といじめられたかも(苦笑)。みんなに『空手をやってる』と知られていて助かった感じです」

 小学6年生の時、素手・顔面殴打なしの空手から、グローブを付けて顔面パンチありのシュートボクシング龍生塾に入門。
「テレビでK-1があると絶対に見てて、魔裟斗さんとか須藤元気さんとか『カッコいいな』と思って、それが大きかったです。ただ、空手からの転向はきつかったです。空手道場では一番強かったのが、龍生塾では一番ヘボくなるので(苦笑)」

 当時の西岡は同級生の中でも体が大きかった。そのことが、西岡の格闘技人生を変えた。
「同じくらいの年齢だと体重の合う子がいなくて、中1から試合は一般の部に出ていました。中3で身長も今ぐらい(174cm)あって、体重は増やして増やして減量なしで試合して65キロ級のベルトを獲って」

 西岡の成長ぶりを見て、その才能をさらに伸ばすべく、龍生塾の清水洋司塾長は西岡を吉鷹弘氏が主宰する「チーム吉鷹」に連れていく。
 吉鷹氏は、S-cup初代王者にしてラモン・デッカーら伝説の猛者と激闘を繰り広げた「90年代日本中量級最強」の人物。その吉鷹氏が競技や団体の枠を越え、関西の格闘家たちを集めて土曜日の深夜に練習会、チーム吉鷹を主宰している。ただ、練習が深夜2時まで及ぶこともあり「中学生はお断り」だったが、西岡の体格と動きを見込んで吉鷹氏は参加を認めた。

 以来、週に一度、立ち技や総合のトップ格闘家に揉まれながら、西岡は自分のスタイルを作り上げていく。独特のステップワークは自ら研究して考案したものだ。
「どうしたら自分のパンチを当てられるかを考えて、デミトリアス・ジョンソンやデラショーのステップを真似したり、パンチはメイウェザーやパッキャオを。KOシーンを繰り返し見て『どんなエサを撒いたのか?』『どうやってフィニッシュブローまで持っていったのか?』を徹底的に研究して、真似しました」

 門馬なみはや高校在学中にプロデビュー。ただ、困ったことも起きた。
「勉強は結構出来たんですけど、ほとんどの生徒が大学に進学する学校なので『進路、進路』とうるさく言われるんですよ(苦笑)。格闘家に集中したいと思ってたので『大学には行く気ないです』というと『迷うなら経営学部にいっとけ』と説得されたり(苦笑)。でも、お金が掛からないわけじゃないし、何の目的もない自分が負担を背負うのも違うかな、と思ったんで」

 「高校を卒業したら格闘技一本」という選択は、チーム吉鷹の影響もあったという。
「チーム吉鷹は、いい大学に行ってる人が多いんです。いい大学に行けば自分の行きたい会社に入れるじゃないですか。でも、結局『格闘技がしたい』って辞めたりする人を見てきたので。僕は格闘技に集中して、もし『無理だ』と思ったら格闘技を辞めて大学に行くこともできる、と思って」

 今は、家業のハウスクリーニングの手伝いや、スポンサー企業の広告モデルをしながら、格闘技に打ち込んでいる。
 一昨年にシュートボクシング日本ライト級王者となり、昨年からは不可思や町田光といった有名選手との対戦が続いているが、西岡が強く意識するのが「シュートボクシングの新エース」海人である。

「海人選手とは元々は同じ階級だったので、その時はライバル意識がかなりありました。ただ、今はだいぶ海人選手の体がデカくなって階級も違うので。団体の中ではライバルですけど、ちゃんと追いかけて、追い抜かなきゃいけない存在だと思ってます。
 今、シュートボクシングは『海人がずば抜けて強い』と思われてるんで『西岡蓮太もおるよね』となりたい。この無法島GPを獲ればだいぶ近づけると思うんで。とても大事なトーナメントです」

 昨年12月、西岡も参加した「無法島GP」組み合わせ抽選会がおこなわれた。トーナメントの組み合わせを見て、吉鷹弘氏はSNSでこうつぶやいた。

<西岡のため、団体のため、自身のプライドを掛ける時が来た。早速、全選手の解析に入ります>

 吉鷹氏の、精密な戦力分析に基づく「攻略法」には定評がある。かつて「シュートボクシングの強さ」を証明すべく、海外強豪との他流試合に挑んだ吉鷹氏が「西岡優勝」のために、無法島GP出場全選手を研究、分析し、それぞれの攻略法を考案して、愛弟子に託した。

「吉鷹さんから作戦は伝授されています。吉鷹さんはしっかりと先まで見てくれているので、あとは僕が作戦通りにやるだけなんです。負けたら、あれだけ考えてくれたことをパーにしてしまうのでそれは出来ないと思ってます。いいプレッシャーを貰ってますね(笑)。
 無法島GP出場が決まって、何人もの人に『テレビに出てたね、見たよ』と言われました。これだけ注目される舞台なので(町田光に)負けて、いったん落ちた名前を勝って取り戻してプラスに持っていけるいい機会。絶対に獲らないといけないと思ってます。
 無法島GPに勝って、シュートボクシングのチャンピオンと僕の強さを証明して、もっとみんなに知られて、注目される選手になります。ぜひ会場で見てください」
(了)

<2・11無法島GPの西岡蓮太>



1回戦で難敵・小川翔との僅差の接戦を制して波に乗った西岡。準決勝で鈴木千裕、決勝でバズーカ巧樹に勝利して堂々の優勝を飾り、優勝賞金200万円に加えて「テレ・マーカーベストファイト賞」の1位と2位に輝き、賞金45万円を手にした。

「テレ・マーカー ベストファイト賞」は全試合の中からベストファイト5試合を選び、第1位に50万円、第2位に40万円、第3位に30万円、第4位に20万円、第5位に10万円の賞金が授与され、賞金は対戦した両選手で均等に分け合う。

テレ・マーカー ベストファイト賞

第1位:第2部・第15試合「 無法島 GRAND PRIX 」64kg初代王座決定トーナメント決勝戦 西岡蓮太vsバズーカ巧樹
第2位:第2部・第3試合 同トーナメント1回戦 小川翔vs西岡蓮太
第3位:第2部・第4試合 同トーナメント1回戦 鈴木千裕vs与座優貴
第4位:第2部・第8試合 駿太vs栗秋祥梧
第5位:第1部・第4試合 浦林幹vs龍聖

2月12日、ブシロード本社でおこなわれた一夜明け会見。優勝した西岡蓮太と「無法島」作者森恒二先生。

安本晴翔と栗秋祥梧


次回大会の情報は

REBELS公式ホームページ


KNOCKOUT公式ホームページ


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