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「熱闘甲斐拳士」葵拳士郎(あおい・けんしろう) 山梨が生んだ2冠王は会社員との兼業ファイター。元同門の木村“フィリップ”ミノルと同い年で同日デビュー。「今の活躍はいい刺激。自分もいつかテレビに出てみたい」(6月9日 REBELS.61)

キックボクシング&ムエタイプロモーション REBELS(レベルス)
オフィシャルインタビュー

「熱闘甲斐拳士」葵拳士郎(あおい・けんしろう)

山梨が生んだ2冠王は、会社員との兼業ファイター。元同門の木村“フィリップ”ミノルとは同い年で、デビュー日も一緒。
「今の活躍はいい刺激になってます。自分も『葵拳士郎』の名前を大きくして、いつかテレビに出てみたい」


取材・撮影 茂田浩司


プロフィール
葵拳士郎(あおい・けんしろう 本名 勝俣郁弥)
所  属:マイウェイジム
生年月日:1993年10月1日生まれ、25歳
出  身:山梨県富士吉田市
身  長:170cm
戦  績:2010年9月プロデビュー。31戦15勝(3KO)12敗4分。INNOVATION&WBCムエタイ日本統一スーパーフェザー級2冠王者

↓ ↓「REBELS.61」大会トレイラー


1RKO負けの悪夢から復活し、王座防衛成功
「あんなぶざまな試合は二度と出来ない」


 5月16日、REBELS恒例の大会出場選手による公開記者会見がおこなわれた。会見後、REBELSスタッフがこぞって「きちっとしてる」「好青年」と絶賛したのが葵拳士郎だった。
 集合時間の30分前に会場入りした葵は、スタッフや会見場所となった伊原道場の伊原代表に挨拶して回り、ピシっとスーツで正装すると開始まで控え室で待機していた。
 物腰も柔らかく、さすが会社員との兼業キックボクサー、という感じ。この日も午前中は通常通り会社で業務をこなし、午後は会見に参加するためにわざわざ山梨から東京・代官山に駆け付けた。
「ずっと参戦したかったREBELSさんの大会で、日菜太選手たちを差し置いてメインイベントに選んでいただきましたし。やはり記者会見には参加しなくてはいけない、と思いまして」

 東京の選手と違って、地方で現役を続けながら、なおかつ国内トップクラスと戦ってチャンピオンベルトを獲得するためには様々な困難を乗り越えなくてはならない。葵も苦労しながらここまでキックを続け、すでにINNOVATIONとWBCムエタイ日本統一王座の2冠を獲得。今回の試合で3冠目を目指す。

 3人兄弟の末っ子。7つ上と3つ上の兄が空手をやっており、葵も5歳から空手道場に入門した。
「最初は嫌で、毎日『辞めたい、辞めたい』と思ってました(苦笑)。そのうちテレビでK-1を見て、ピーター・アーツとかが活躍しているのを見て『強くなりたい』と思って、兄は二人とも中学で空手を辞めてしまったんですけど、自分だけはずっと続けました」

 空手のジュニア大会で優勝68回、ジュニアキック18戦16勝の実績をひっさげて、高校2年、17歳になる10日前にプロデビュー。高校卒業後はプロキックボクサー、空手道場指導員、アルバイトという生活を続けた。
「アルバイトを2つ掛け持ちしながら指導と練習をする生活をしているうちに『これなら普通に働きながらキックボクシングを続けられるんじゃないか』と考えました。それで、4年前に自分の事情を理解して、受け入れてくれたアクセサリーの卸会社に就職しました」

 朝は7時起床。出社して夜6時まで仕事をし、夜7時半から10時まで練習をする生活。
「土曜日も仕事があって、完全な休みは日曜日だけですね。普段、会社ではアクセサリーを置く什器を作ってまして、大工さんみたいな作業をしてます(笑)。午後はアクセサリーを陳列したり、週2日は表に出て営業もしますし、出張で全国各地に行くことも多いです」

 キックボクサーとしての転機となった試合として、葵は昨年4月の新日本キックでの高橋亨汰(伊原道場本部。REBELS.61では「REBELSvs新日本キック対抗戦」で大谷翔司(スクランブル渋谷)と対戦)との試合を挙げる。

「高橋選手のハイキックで1RKO負けをしてしまったんです。自分がどうこうではなくて、応援に来てくれた人たちの『ああ……』という顔を見て、本当に申し訳なくて……。
 こんなぶざまな試合は二度と出来ない、と思いました。その次は昨年7月のINNOVATION王座の防衛戦が決まっていたので『これで負けたら引退だ』と決めて臨みました」

 元山祐樹(武勇会)との防衛戦は激しい打ち合いとなった。葵はパンチとキックをバランス良く当ててポイントを奪ったものの、元山のヒジを被弾し、右目を大きく腫らした。ドクターチェックも入ったが、5ラウンド終了間際に葵がバックブローでダウンを奪い、これが決定打となって判定勝利し、初防衛に成功。
「ギリギリでなんとか勝てました。自分は今まで、試合になると全体的に守る時間が多かったんですけど、あの時は『守りに入る理由』がなかったです。守りも大事ですけど『攻めないと自分は引退だ』と思うとがむしゃらでしたね。攻める時間を増やして、精神的に前向きにやれたんじゃないか、と思うんです」

戦っている時は本当に楽しいです。
超強い鈴木選手との試合でもまず自分自身が楽しみ、
見てる人にも楽しい試合をして、勝って、
サポートしてくれる彼女や応援してくれる人たちを笑顔にしたい


 6月9日(日)、REBELS.61のメインイベントで葵と対戦するのは、デビュー以来10連勝、そのうちKO勝ちが7という「倒し屋」の鈴木宙樹(クロスポイント吉祥寺)。公式インタビューでは早速『口撃』が。
「遠慮しないで言っていいんですか? 対戦相手の葵選手の試合を見たんですけど『全然上手くないな。これでチャンピオンなんだ』と思いましたし、自分の中ではラッキー、ぐらいに思ってます」
「葵選手は2冠王ですけど、自分は普段、8冠王のT-98(タクヤ)さんや強い先輩たちとバンバンやってるんで。全然、何ともないです」

↓ 問題の(?)鈴木宙樹インタビュー。

 これに対して、葵はあくまで大人の対応。
「インタビューを読みました。なんか言われてましたねー(苦笑)。でも、自分は基本的にイライラしたり、人に対してムカついたりとかも全然しないので。逆に、鈴木選手がああいう風にストレートにバンと言ってくれて、練習に身が入りましたね。『こんな風に言われてるんだから練習を頑張らないとな』って」

 葵は、鈴木を「格下」とは見ていない、という。
「キャリアは全然、自分が上ですけど、格下なんて思ってなくて。いつも言っていることですけど、たとえ防衛戦でも常に挑戦者の気持ちでいるので。鈴木選手がインタビューで言ってたのも、自分はKOも少ないですし、負けも一杯あるので言われても仕方ないな、という気持ちもありますし。今回、こうやってタイトルマッチで、いきなり勢いのある活躍してる選手とやらせて貰えるんですから、嬉しいし、勝つしかないですね」

 鈴木の所属するクロスポイント吉祥寺は、格闘技ジムとして日本有数の設備と、ムエタイ、ボクシング、フィジカルの専門トレーナーが常駐する豪華スタッフ陣を誇る。
「確かに羨ましい気持ちはありますね。自分より強い人の中で揉まれるのはいいことですし。だからって負ける気は全然ないです。人には人それぞれのやり方がありますから」

 今年2月「パンクラスレベルスリング1」で才賀紀左衛門と激闘を展開して『漢気(おとこぎ)の拳』を知らしめた浅川大立(ダイケンスリーツリー)も山梨県在住。「上のレベルになると東京に出ていく選手も多くて、なかなかスパーリングするのも厳しい」と嘆きつつも「練習環境に恵まれていようが自分次第。やるヤツはどんな環境でもやる」と言っていた。

 葵も、浅川と同じ考えだ。
「確かにスパーリングは難しいです。でも、対人練習は大事ですけど、相手が中学生だろうが、自分一人だろうが『練習できてない』はなくて、誰が相手でも何かしらの練習は出来るんです。だから『一緒に練習する人がいない』とか、仕事の忙しさを言い訳にしたくないですね。どんな状況でも、なんかの練習は出来ますから」

 葵が、山梨県在住で2冠王を獲れたのもそうした信念があるからだろう。
 ちなみに、K-1やKRUSHで活躍する木村“フィリップ”ミノルは、同い年で、プロデビュー日も一緒の同期だ。
「プロになりたての頃は一緒に練習していて、その頃からハードパンチャーでしたよ。今は連絡を取り合うこともあまりないですけど、チャンピオンになった時とかは『おめでとう』とメッセージを送ると、向こうからも『俺もいつも結果を気にして見てるよ』って。それは素直に嬉しいですし、同じ日にデビューした彼が活躍しているのはいい刺激になりますね」

 鈴木戦に向けたプランはすでに出来ている。
「パンチ、特に右が伸びて来るので気をつけたいですけど、蹴りも上手いですし『オールラウンダー』ですよね。全体的に気をつけて、そう簡単にはいかない選手ですけど、3ラウンド目にはきっちりと倒したいと思っています。自分は、これといった技もなくて、KO勝ちも少ないですけど、下がらず、どんどん前に出ていく『気持ち』はしっかりと皆さんに見ていただきたいです」

 葵は、現在、上り調子だ。
 昨年7月の初防衛成功後、怪我でブランクはあったものの、今年2月のNJKFでは琢磨(東京町田金子ジム)に判定勝利し、WBCムエタイ日本統一王座奪取に成功し、2冠王となった。その陰には、交際している彼女の献身的なサポートがあった。
「彼女は普通に働いているんですけど、自分の食事のサポートをすごいしてくれています。前回の試合の時はすごく減量が順調に行ったんです。練習や試合でも『前よりも体力がついたな』と実感しますし、体作りは食からなんだと改めて感じました。家のことも色々とやってくれて、すごく感謝しています」

 REBELSでのメインイベント出場にも「特にプレッシャーはないです」という。
「正直なところ、プレッシャーはそんなに感じていないです。自分のモットーは『楽しむこと』なんです。自分が辛い顔や暗い顔をして試合をしていると、見ているお客さんに伝わってしまって、絶対に面白くないと思うんです。
 性格的には気性が荒いわけではないですし、人を殴ってどうのこうのもないんですけど(笑)、負けず嫌いですし、戦っている時は本当に楽しいです。それプラス、勝って、みんなの笑ってる顔を見たらなおさら『やってよかった』となりますね。
 今の夢は……、テレビに出たい、というのはありますね。元々、K-1をテレビで見て憧れて格闘技をやってきましたし、今、格闘技が昔のようにだんだん盛り上がってきて、KNOCKOUTさんも結構テレビでやっていますから。ああいうイベントが出来たことは自分にもいい刺激になっていて、ずっと『いつか出たい』と思っていました。
 そのためにも『葵拳士郎』の名前をもっと大きくしていきたいですし、応援してくれる人や支えてくれる彼女のためにも、今回はREBELSのベルトに挑戦する気持ちで、超強い鈴木選手との試合を自分自身が思い切り楽しんで、見てる人も楽しませて、その上で勝ちたいと思っています。応援、よろしくお願いします」

*このインタビューの4日後、山口REBELS代表のKNOCKOUTプロデューサー就任が発表された。「KNOCKOUT」出場を望む葵拳士郎にとって、益々、鈴木戦に向けたモチベーションがアップしたに違いない。

 また、6月9日(日)「REBELS.61」で行われる王者対決、KING強介(フリー)vs大野貴志(士道館新座ジム)が「MTM Presents 初代KING of KNOCKOUTスーパーバンタム級王座決定トーナメント出場者決定戦」となることも発表された。この試合の勝者が8月18日に大田区総合体育館で開催されるKNOCKOUT「KO CLIMAX2019」のワンナイトトーナメントの出場権を獲得。1回戦で江幡塁(伊原道場本部)と対戦することが決まった。




「REBELS.61」
2019年6月9日(日) 東京・後楽園ホール
開場17:00 本戦開始17:15

メインイベント(第13試合)
REBELS60kg王座決定戦
3分3回戦(延長あり)/REBELSルール

WBCムエタイ日本統一&INNOVATION
スーパーフェザー級2冠王者
「熱闘甲斐拳士」
葵 拳士郎
AOI KENSHIRO(マイウェイジム)
vs
「戦慄の右ストレート」
鈴木 宙樹
SUZUKI HIROKI(クロスポイント吉祥寺)


その他の対戦カードやチケットの情報は、
REBELS公式ホームページ
http://rebels.jp

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