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優愛の4年分

2020

初夏。プロフィールの「趣味 アイドル」ってのが面白そうで、六本木界隈でお会いいただいた。記念すべきファーストショット。

なんなんだよせっかく六本木で会ってるのに、貸し駐車場で撮り始めてしまったよ。すみません。

写真撮り慣れてる人なら彼女の髪でこの日の蒸し暑さがわかるよね。なのにたくさん歩かせてしまった。基本、私はモデルを歩かせる。

足繁く通ったデ・プレがミケランジェロに変わっていたことに衝撃を受けつつ(このミケも今や閉店)、ライカなど持ってもらったり。

このときはまだ学生だった優愛さん。いろんな話をする中で、また会いたいなと感じた。会いたい人が撮りたい人。

2021

次にお会いしたのが翌年の夏、コロナ禍の代官山。ルイカフェ行きたくて、優愛さんが似合うような気がしたのだ。

最初に会ったときと良い意味でイメージが違った。1年以上お会いしてなかったのに、1年ずっとお会いしていたような距離感だったのだ。

いいモデルさんは、会ったときにいい意味で裏切ってくれる。代官山ではすごく親近感を抱いた。ルイカフェでは話し足りなくて、ミケにもお連れした。そういえば六本木時代、広告代理店の女友達が仕事で悩んでいて、相談したいと電話がかかってくるたびクルマを飛ばして夜中にこのへんで会った。そんなことをつらつら思い出しながら。

なんだこいつさっきからカフェばっかり入りやがって。……と、私自身も思うのだが、まあそこは親がクラブとかカフェとかやってて幼い頃からお店空間が大好きだからとか、適当に言い訳しておくよ。カフェ撮りならまかせろ。……いやはや。

カフェだけじゃねえよ、本屋にも行ってるんだよ!笑

撮影って、おおげさな言葉をはめるとどこかに儀式性があると思うんだよね。その撮り手なりのね。私にとってはカフェがその一つ。ある意味、写真は二の次、三の次。っていう写真を大事にしたい。

写真家なんてシャレたもんじゃなくてただのポートレートおじさんだけどさ、いいんじゃない? そんなもんで。

2022-2023

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2022年は春からGOOPASSさんのメディア「MARSH」でフォトコラム連載が始まり、プライベートの撮影に多くの予定を割けなかった。2023年になると3月に吐血して緊急入院、4月に手術を経験。なんとか体が動くようになってきたので8月、学生時代に住み込んで写真を撮った湘南で優愛さんを撮る予定を組んだ。自分に近しい場所でしか撮りたくないから。でも、台風に邪魔されてしまった。よって2022年と2023年は一枚も撮っていない。

2024

市川。この街には20代の頃から3度住んだことがある。当時住んだワンルームの前から撮影を始めた。ここから大手町の銀行へ通勤していた。

そしてここは一番最後、20年前に住んでたアパートがあった場所。建て替えられてビルになってた。大家さん、お年を召された方だったからなあ。

生まれて初めて買ったデジカメのファーストショットを撮った、それと同じ風景に優愛さんを入れたかった。

何の意味があるの?って。写真に意味なんてなくていいんだよ。以前、某モデルさんを六本木時代に住んでたマンション前で撮ったらその写真をSNSで見たカメラマンからDMが来たんだって。「こんなとこで撮って意味わかんない。このカメラマンは君のためにならない」とか書いてあるんだって。別にモデルのためになりたくて撮ってるんじゃないよ。

モデルの機嫌とってどうするんだよ。空はこんなに青いんだ。それで十分じゃないか。そんなことつらつら話しながら江戸川の土手に出た。
そう。もうひとつ言えば、いいモデルは自分の機嫌ぐらい自分でとれるんだよ。カメラマンに依存してないんだよ。

互いに依存しないことが信頼関係を築くんだと思うよ。

楽しいね。

モデル撮影にロケーションは大事だけど、モデル撮影とかポートレートとかって考えるんじゃなくて人物写真は人物写真だと思っていて、どんなに良さそうなロケ地でも自分あるいはモデルに無関係な土地では撮りたくない。こだわりらしいこだわりのない自分にとっては、珍しいこだわりかな。

銀行員時代に当時お付き合いしていた女の子と別れ話がもつれてモメた場所。優愛さんはそんなどうでもいい解説を聞きながら笑ってくれて、「わかりました。ではここで撮って浄化しましょう」

ケーキでかいだろ。オフクロが元気だった頃こよなく愛したカフェで。
あっ結局またカフェだよ。しょうがねえなあ。笑

ぜひまた、お会いしたい。

model:優愛


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