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コミュニケーションのヒント【自閉スペクトラム症とWAIS検査】

自閉スペクトラム症(自閉症やアスペルガー症候群)とは、他者視点の予測という能力が通常の人よりも著しく低いという脳機能の障害だ。

・自閉スペクトラム症と他者視点の予測

他者視点の予測というのは、他人の気持ちや立場を考えること。例えば会話する時には「これを言ったら相手は嫌がるかな?」とか考えることだ。

しかし他者視点の予測が苦手な人は、「こう言うと相手は嫌がるだろうな」という予測ができずに思っていることをそのまま口に出してしまったり、無自覚に人を傷つけたりしてしまったりして、結果的に人間関係を悪くしてしまうことがある。

自閉スペクトラム症は他者視点の予測の能力がどれほどできるか(あるいはどれほどできないか)という指標が診断の目安となる。全人口の約1%が自閉症スペクトラム症に該当するとされているのでほとんどの人は該当しない。

しかし、自閉スペクトラム症と診断されていなくても、他者視点の予測が苦手な人はたくさんいる(私もそうです)。日常生活の中では他者視点の予測が苦手な人に何度も出会うと思うので、他者視点の予測が苦手な人について理解し考察することは自分や相手が気持ちよくコミュニケーションを取るためには大事だ。

・他者視点の予測は脳機能で決まっている

他者視点の予測の能力はその人の性格や過去の経験に基づくものとは別で、生まれ持った脳機能によって決まる。だから、性格が悪いから相手の気持ちがわからないとか、過去に嫌な思い出があるから他人への配慮ができないというのとは別問題である。

普段過ごしている中で少し会話が成り立ちにくいなとか伝わりにくいなと感じる人がいた場合、「もしかしたら他者視点の予測が苦手な脳を持っているのかもしれない」と考えられたらその人を責めたり自分が嫌われてるんじゃないかと必要以上に考えを巡らせるのが軽減されるのではないだろうか。

・WAIS検査(知能検査・自閉スペクトラム症の精査鑑別)

WAIS検査はウェクスラー成人知能検査というもので、検査を受けることで知能指数すなわちIQが求められる(正確には偏差知能指数)。

また、自閉スペクトラム症の精査鑑別という目的で使われることもある。

自分の長所や短所なども知ることができ、今後のコミュニケーションや生活スタイルを決める際に参考になる。

検査は二時間ほどで、臨床心理士の方がいろいろな課題を出すのでそれをこなしていくというものだ。つみ木を紙に描かれた図と同じような形に組み立てたり、算数や歴史、社会についての質問に答えたり、数字を復唱したりする。

私もWAIS検査を受けたことがある(歴史の問題が全然答えられなくて恥ずかしかった)。

自閉スペクトラム症ではないとの診断で、その他のアドバイスは、短期記憶が弱いので指示や用事を忘れやすいので、「頭の中だけで処理せずメモを取ること」、「書いて覚えることを習慣化すること」などが望ましい。とか、短く簡単な言語指示の理解が困難だから、詳しく丁寧に説明を受けたほうが要領よく作業を進めることができる。といった特徴も教えてくれる。

・まとめ

他者視点の予測が得意かどうかは人が元々持っている脳の機能で決まっていて、人の性格や経験的な精神構築とは別物である。普段関わりのある人の中にあまりにも人の気持ちがわからないとか、他人に配慮していない人がいたらもしかしたら他者視点の予測が苦手なタイプなのかもしれないなぁと思いながら接すると対人関係のストレスが軽減できるだろう。



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