#73 花のお寺

土曜日の午後、私と妻は息子の家族と長谷寺に行った。お寺に着く直前に夕立がやみ、強い西日が差していた。

登廊(のぼりろう)といわれている、長い石の階段を少し上り始めたところで、りつはこけて頭を打った。はやたは、階段横の水路の沢蟹を探しながら登廊をのぼっていた。夕立の水が流れた後の水路の石の間から、沢蟹が顔を出していた。

色とりどりの鉢のアジサイがおかれている階段は、絶好の写真のスポットになっていて、好みのアジサイのところで人々はポーズをとっていた。

私と妻は本堂の十一面観音にお参りしている間に、はやたとりつはあっという間に観音さんを通り過ぎ、本堂の前の見晴らしのいい舞台のところで私たちの来るのを待っていた。その後、みんなでお守りを買いに売店に行った。

帰り道でも、いろいろな色や形をしたアジサイを見ながら歩いていたが、はやたは、いろいろな角度からアジサイを見てまわっていた。

15メートルほど先のほうから「いた~」と大きなはやたの声がした。「見つけたで~」。アジサイの葉っぱの裏に、小さなかたつむりが隠れていた。

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