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#260 デラウェア

 お盆休みに長男の家族が帰ってきた。私と妻は、孫のそうたとりょうへいをつれて、いつも行くブドウ園にブドウを買いに行った。
 そうたとりょうへいが「ブドウ狩りがしたい」というと、おじさんは「いいよ」と言って、ブドウ園の中に私たちを案内してくれた。おじさんは、ブドウを包んでいる袋の底をを少し開け、おいしいブドウを探してくれた。ほどなくして、そうたとりょうへいは、おじさんに抱っこされブドウの房をはさみで切ることができた。

 彼は、おいしいブドウについて『粒が大きく、張りがあること。粒が均等で、房のかたちがよいこと。あまいこと等々』と、私たちに教えてくれた。

 彼は、最近のブドウ栽培について、気候に敏感な作物なので、最近の異常気候の影響を受けて、甘くておいしいブドウ作りが難しくなってきたこと。鳥やシカなどの被害が増えたこと。おいしいブドウを作るため、ブドウの品種やブドウの出来具合に応じて細やかな世話が必要なことなど話した。

 私たちは、それぞれひと房ずつ食べた。ひと房で満足だった。

 私たちは、「ありがとう。おいしかったわ。」といって、家で食べるブドウを買った。彼は「喜んでもらえてよかったわ。今年のブドウが終わったら、ブドウ園やめますねん。」と言った。「えっ。やめる⁈」と私たちが言った。
 「ブドウだけでは生活できません。だいぶ悩みましたけど、もう決めました。」と彼は答えた。

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