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夜の海をゆく

「その航路を行く人だけしか味わう
ことのできない旅愁でいっぱいだ」
椎名誠さんの帯の言葉。
ぐっとくる言葉です。
旅愁。

深夜航路。
タイトルだけでとても、
浪漫を感じてワクワクします。
日本全国の深夜便(0時から3時発)の
全14便を網羅した本です。

今読み始めたところなのですが、
はじめの一便は、青森↔函館。
夜の海を静かに行く航路の旅。
その情景を旅情豊かに綴る文章に
心がしん、と鎮まっていきます。

この章で印象的だったのが
作者さんが学生時代に聞いていた、
深夜ラジオの「ジェットストリーム」。
午前0時から始まるこの番組のナレーション。

遠い地平線が消えて、
深々とした夜の闇に心を休めるとき、
はるか雲海の上を
音もなく流れ去る気流は、
たゆみない宇宙の営みを告げています。

満天の星をいただく果てしない光の海を、
ゆたかに流れゆく風にこころを開けば、
きらめく星座の物語も聞こえてくる
夜の静寂のなんと饒舌なことでしょうか。

(「欧州編」『JET STREAM 』 旅への誘い詩集)

なんと美しい文章でしょう。
作者さんはこれを聞いて、
枕辺で想像を膨らませていたそうです。

午前0時を過ぎた船旅。
空をゆく飛行機ではなくとも
深夜の航路に広がる、
どこまでも闇夜と暗い海が広がる世界は
「ジェットストリーム」そのものではないかと
本の中で語っています。

まさに今、
夜に読むのにぴったりな本です。
いかがでしょう。
あなたは夜の静寂はお好きですか。

よろしければご一緒に。
満天の星、もしくは月が輝く
夜空を眺めながら。
夜の海を、ゆっくりと。
たゆたうように、航海してみませんか。

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ここまで読んでくださいまして、
どうもありがとうございます!









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