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【映画感想】『BLUE GIANT』


上映前

原作未読、JAZZの知識も全くないが、父が大のJAZZ愛好家ということもあって、普段からJAZZが耳に流れ込んでくる環境で育ったため、この作品には以前から興味があり見に行くことにした。

上映スタートから少し日が経っていたが、シアター内はほとんど埋まっていたように見えた。前日に予約したときは同じ列に自分以外の予約はなかったが、左右に2人のおじさんが座っていた。自分の右2席隣りに座るおじさんはポップコーンをむしゃむしゃ食べていた。始まってから手を付けたのでは食べきれないぐらいの量だったので、その選択は正しいと思う。首を捻った先の自分の左5席隣りにいるおじさんは、劇場内で販売されている飲み物から出ることのないであろう「プシュ!!」という音を響かせていた。都合が悪いのでそのおじさんの存在は消去して、映画に集中しようと心に決めた。

演奏がとにかく凄すぎて


画像出典:https://bluegiant-movie.jp/visual.html

2時間という尺の都合上、主人公ら3人のバンド"JASS"はポンポンとステージを駆け上がっている感じは否めない(バンド結成から日本で一番の舞台で演奏するまで描かれているため)し、『THE FIRST SLAM DUNK』を見た後だと、CGで描かれるキャラの動きがどうしても少しぎこちなく感じてしまった...

だが、そんなの軽く吹き飛ばすくらい演奏が圧巻だった!!!!!

音に圧倒されるだけにとどまらず、演奏中の映像表現もこれまた引き込まれる。楽器にスパークのようなものがほとばしったりするのが演奏にドンピシャでハマっていたのが強く印象に残った。

ぜひ劇場で見てほしいので内容に関しての詳しい言及は避けるのだが、ラストの演奏は、キャラ一人ひとりがその演奏にかける”思い”だったり、地道な努力を積み重ねてきたことによる”成長”をダイレクトに感じることができたため、演奏中からエンドロールが終わるまでずっと号泣しっぱなしだった。

ポップコーンおじさんは鼻水がジュルジュルと音を出すくらいに泣いてたし、自分の中で存在を抹消していた缶プシュおじさんもずっと目を押さえていた。原作を知っている人やJAZZに造詣のある人なんかが見たらもっと感動が凄いんじゃないかと個人的には思ってる。

熱狂の炎は青色に


画像出典:https://bluegiant-movie.jp/visual.html

漫画やアニメなどで、「何かの目標に向かってひたすら進み続ける」キャラクターを見ると、少し胸が痛くなってしまう。それもそのはず、自分はそうような経験を全くしたことがないからである。「彼らは自分にとって眩しすぎる」。

だが、『BLUE GIANT』を見た後には不思議とそのような思いを抱かなかった。多分だけど、苦悩や挫折するキャラがいつつも、主人公の宮本大(ミヤモトダイ)はクヨクヨする瞬間なくずっと前を向いて目標に向かい続けている様子が、あまりにも美しかったからだったと思う。その純粋さは、自分に嫉妬の感情ではなく、「自分もなんでもいいから何かに日々取り組んでみよう」、という今まで体験したことのない感情を呼び起こしてくれた。

いつか自分が熱狂できる何かを見つけ、そして熱狂の炎が青色になったら、またこの作品を見たい。何年かかるかわからないけど。

それでは、また今度。


※ヘッダー画像出典:https://bluegiant-movie.jp/visual.html


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