ココカラビヨリ vol.9

「 憧れ 」

近づいたり、遠ざかったり。ふわりと優しいそれは、彼女をせっせと形作る。

profile.
長谷川 天音(はせがわ あまね)
九州大学経済学部 経済経営学科2年
鹿児島出身。数々のイベントに参加し、日本の様々なところへと足を運ぶ。今年度は会計の勉強に加えて、大学での経済の勉強を楽しむ予定。食べることが大好き。ココカラカイギでは、事務局を担う。愛称は「あまちゃん」。

以下、
聞き手:み(みさと)
話し手:あ(あまね)
とする。

300kmばかり遠く離れた福岡から
電話越しでのインタビュー。

み:どうぞよろしくね。
あ:よろしくお願いします。

み:まずは運営に加わるまでの経緯から。あまちゃんと空雅くん、そしてわたしは熊本で初めましてだったよね。

あ:はい。くまもと若者会議でふたりに出会って、やわらかい世界観がすごく好きだなあって。鹿児島で若者会議をすると聞いて、一緒にしたいなあって。
まさかこんなにはやく叶うとは思いませんでした。

みんなとのはじめましては遠隔、携帯上で。実際に顔合わせしたのは2月の終わりごろでした。

み:基本ミーティングは遠隔で、時々鹿児島まで足を運んでくれる、そんな関わり方。正直言うと、物理的距離に寂しさを感じたりはしなかった?

あ:特に最初のほうは、萎縮しちゃってたりもして。寂しさというより、自分のいない場所で色々決まっていくのが、ちょっと、こう、違和感みたいなものに感じたりもして。

み:そんなふうにココカラカイギに関わっていく中で、内側に起こった変化ってあるのかな。

あ:考える。話す。そして伝える。その過程を大事に出来るようになったかな。ちゃんと思考して、ひとに話すようになりました。
ココカラカイギは、みんな表現することが上手で。真剣に考えて、言葉を綴っていて。

み:そんなあまちゃんだから願えるものって?

あ:わたしがそうであったように、自分のことを知ろうとして、自分の考えていることを相手に伝えようとする楽しさ。知って、考えて、話すっていう楽しさを色んなひとに分かって欲しいなあって。

み:考える、話すに加えて、“知る”が加えられたね。

あ:それを楽しいと思うひともいれば、楽しくないと思うひともいると思うけれど、もしかしたら知らなくて楽しいと思えないひともいるのかなあって。

み:知らなくて楽しくないのなら、知って欲しい。
あまちゃんにとって、“知る”と“知らない”は大事な分かれ道みたいだね。

あ:知ってみたら楽しいじゃんって思うことが自分にも沢山あるから。

例えば高校1年のとき、わたしは全く文系に進もうだなんて思っていなくて、経済のことなんて全く知らなかったのに、今はこうやって大学で経済を学ぶことが楽しい。

今の夢中になれたり楽しいだったりは“知った”経験があるからかなあって。

み:人生楽しい?

あ:総じて楽しいです。ふふ。

み:まったくもって素敵だ。人生を振り返ってみて、あまちゃんを突き動かすものって何かあるかしら。

あ:(それこそ)色々知りたいっていう気持ちだと思います。知りたい、学びたいって。

み:その先には何があるのかな。

あ:上手く言えないけれど、色んなことを出来る自分がいる。なんでも出来るひと、プロフェッショナルになりたいんです。
そんなひとに、どこか憧れます。

み:もっともっと先にあるものってなんだろう。最終的には、田舎でカフェを開きたいって言っていたよね。

あ:(それより近い将来)かっこいい女性になりたいっていうのは思ってたりして。東京でばりばり働くとか、自分のやりたいことを成し遂げるとか、大きな仕事をするとか。
憧れるんだけど、それってずっと出来るわけではないじゃないですか。

自分のずっと積み立ててきたスキルがある状態で引退して、田舎でカフェを開いても、暮らしていけそうだなって。その(積み立ててきた)スキルがあるから。

最終的に好きなことをして生きる。
なんだろう。ばりばり働くことの集大成って、そこに在るような気がして。

ゆるく生きてそうで、実はそこに色んなスキルが散りばめられてる。自分の好きを詰め込んだお店を作りたいなあ。

み:人生の集大成。なるほどなあ。
それでは最後に、あまちゃんの大事にしているものを教えて欲しいな。

あ:暮らしを大切にしたいなあと思ってます。
暮らしを大切にすると、ほかの誰のものでも無い自分だけの時間が生まれる。

その時間は、色々考えごとをしたり、時には涙したりしてもいいなって。
嬉しくて泣いてもいいし、悲しくて泣いてもいい。よく分からないけど涙が出てきてもいいし、別に泣かなくてもいい。ひとりで笑い転げてもいい。

そんな場所が出来るのって、暮らしが大切にされているからだとわたしは思います。

み:基本である暮らしを大切にしてこそ湧いてくる、生きるエネルギーなのかもね。声を通してあまちゃんの想いを掬い取れました。ありがとう。

あ:こちらこそ。ありがとうございました。



以下、あとがき。

のんびりしてそう、暇そう。
そんな風に見られたいと話す彼女。
理由を聞いてみた。

あ:同じ仕事量をこなしていても、どうしても真面目やしっかり者っていうレッテルを貼られて。
(一方で)裏ではどんなすごい仕事をしていてものほほんとしているひとはいて。

わたしはそんなひとになりきれなかったし、未だになれないからずっと憧れなのかも。

容易に手が届かない“憧れ”だからこそ、
ずっとずっと追い続けられる。

それさえも楽しむ彼女に脱帽したお話。

writer みさと



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