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「chatter 頭の中のひとりごと」から学ぶ”知恵”の話

心が澄み切っている状態を保つのは難しい。
一時的にできたとしても、ニュースやSNSで心にしこりができる。

この澄んだ状態でいられないだろうかと思い、「chatter 頭の中のひとりごと」を読みました。

心と距離を置いて感情を制御しようという内容。
どうすれば他人視点で自分を見ることができるか。要点は以下の通り。
・時間を置く。
・一人称を「あなたは」に変える。
・嫌な出来事を物語のようにして書く。
・今の苦痛は一生続くのかと考える。一生続くことはないと気づき、楽になる。
・他人を観察するように自分を観察してみる。

もやもやし始めた時にやってみると、驚くほど感情の波が収まりました。

イーサン・クロス氏の”知恵”の定義が好き

心の距離の置き方はもちろん為になったのですが、本書の知恵に関する記述が好きでした。

多くの人々は知恵は歳とともについてくるものだと考えている。それは長生きするほど、不確実な状況を多く経験し、そこから学べることが増えるから。
しかし、研究によって、人間は年齢に関係なく、心の声と距離をとることによって、知恵に基づく考え方をすることができることが分かった。

chatter 頭の中のひとりごとより一部省略

その知恵とは

不確実さが伴う問題に精神を用いて建設的に推論すること。例えば、自分の知識の限界を自覚する。又は様々な背景、そしてそれが時とともにどのように展開していくのか、他人の視点からはどう見えるか、それを踏まえて対立する観念を調和させる、といったこと。

chatter 頭の中のひとりごとより

本書のテーマである「心と距離を置く」を突き詰めると、感情だけではなく、認知行動さえも客観的に見ることができるということですね。
実際、心と距離を置くことができる人はメタ認知能力が優れているように感じます。

本書には「内部の視点」と「外部の視点」を対比させて、さらにわかりやすく解説されています。

内部の視点
自分が持っている情報にクローズアップして思考する。
自分を取り巻く環境に制限され、潜在的な障害の予測が不正確になりやすい。

外部の視点
起こりうる、あらゆる事態を想定し視野を広くする。
正確さがまし、障害を予見し、相応の準備をすることができる。

知恵の定義を調べたのですが、世界的にも明確に定義がされていないようです。
一般的に知恵とは、本書にもあるとおり年齢を重ねた人が持っているものと認識され、また知識を生かす能力とも認識されているようです。
しかし、”自分の知識の限界を受け入れる”のように心の動きにも使われます。
このような内省知能を使う場合や、人間関係に関する対人知能、ミスから学ぶこと、直感など測定しにくい知恵もあり、広い意味で使われているので定義しにくい現状のようです。

ソクラテスの”無知の知“。
間違いなく知性のある言葉だと思います。

しかし人を尊重する力、他者の理解力、制限や限界を認識する力など、測定できないために、このような知恵は社会的に重きを置かれていない。

学歴や資格などの知識を重要視する社会ですが、知識はただの点にすぎません。
知識を理解し、道理を理解し、知恵が発揮されてやっと形ができるのだからもっと重視される社会にならないかな~と思います。

そしたらきっと一人一人が自分を磨いて、感情的ではない社会になりそう。ストレス社会も少しは温和になるかな?

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