2020年3月6日

私は、大学生3回生の時に1年間休学し、生まれ故郷のメキシコに留学をした後、バックパッカーとして世界一周をしました。
メキシコ留学時に級友から、ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカさんのお話をされました。 「一国の大統領なのに、持ってる財産は友人からもらったボロボロのビートルだけって人がいたらしいよ。給与の90%を寄付して、ウルグアイ国民の平均給与に近い月1,000ドルで生活をしたんだって！変な人がいるよね」
と言った内容でした。
それから、この話が気になり、彼のことをいろいろと調べることにしました。

2012年のブラジル・リオデジャネイロで行われた国連持続可能な開発会議でのスピーチの内容に、強く強く感銘を受け、彼にまつわる書籍や映画を片っ端から見ました。  
「ムヒカさんに会いたい」
そう思うのに、時間はかかりませんでした。

それから世界一周をしながら
“超格差社会”と言われている世界の状況を目の当たりにしました。
フィリピンのスラム街では、家とも呼べないアンモニア臭が漂う場所で家族と薄い布キレを分け合い寝ている家族に会いました。一方で、マカオのカジノでは何万ドルものお金を紙屑のように扱う大富豪がいました。世界的に裕福な場所となっている西ヨーロッパでは、高級ブランドのショッピング袋をぶら下げ歩いている人たちの道の脇には、凍える手を自分の息で温めながら物乞いをする人を見かけました。中南米では、学校に行きたくても行けない多くの子供達が今日も車の窓を拭いたり、お菓子を売って家計を支えている子とお話しをしました。

少しだけ世界の経済格差や発展の差を見ながら、ムヒカ氏の言葉が頭をずっとよぎっていました。
”貧しい人とは、お金がいくらあっても満足しない人のことだ”
“発展は、人類を幸せにするためにあるべきだ”
彼の言葉は、世界を見ていた当時の私には以前よりも響いて仕方なかったのです。

会いに行く目標は立てていたが、住所も連絡先も異国の知らない人間に会いにいくなんてやはり無謀だと思っていました。
ましては一国の元大統領です。
そんな時に背中を押してくれたのは父の言葉でした。

「会ってみたいなら、会いに行きなさい。もし会えたとしても、握手だけで満足したらいけんよ。インタビューさせてもらって日本の若者へ伝えなさい。」

と父は私に言ったのです。
元大統領にインタビューなんてできるはずがないと思っていたし、会えたらそれでいいと私は正直思っていた。しかし父の言葉で、奮起できたのは確かでした。

そして今年の２０１９年7月16日、インタビューの質問のメモ書きと少量の現地通貨だけを持ってウルグアイの首都モンテビデオでホセ・ムヒカの家を探しました。現地の人に助けられて、ムヒカ氏の家にたどり着きました。ＳＰらしき男性とお話しをし、ムヒカさんにお会いすることを許され、倉庫のような場所に通されました。中には六人ほどの中南米系の人がおり、その輪の中心には美味しそうにマテ茶を飲むムヒカ氏がいました。服は毛玉だらけで、髪にはしっかりと寝癖がついていました。元大統領の身なりにはとても見えませんでした。しかし、確かに彼はホセ・ムヒカさんでした。私は感動のあまり半泣きになってしまい最初は声が出なくて、自己紹介ができなかった。そんな私に、ムヒカ氏は微笑みかけ、「どうぞ、座ってください」と隣の席に座らしてくれました。そして、彼へインタビューができました。

彼と話していて記憶に残った言葉は
「国内総生産の計算ばかりして、人間の幸せの計算をしないのは間違いだ。それは非常に貧しいことだ。ある意味、日本に住む人よりアマゾンに住む人の方が幸せかもしれない」という言葉です。
また、日本の若者へのメッセージとしては
「学校は、就職のために行く場所ではない。幸せになる方法をトレーニングする場所だ。素晴らし人生とは、「生きる理由」を持ち続ける人生のことだ」と仰っていました。

日本にいると、本当の幸せはお金を稼ぐことのように思ってしまう。自分の身を削り、ロボットのように働き、環境を壊し、家や車のローンの返済に追われ、心の病にかかることは、きっと本当の幸せではないと思います。日本人は豊かさを、物やお金だと思い込んでいる人が多すぎます。ホセムヒカ氏は、私の知っている人物の中で最も世界の問題のことを考えていた人物であると共に、本物の豊かな生活を送った方でした。本当の幸せはお金でも、車でも、立派な家に住むことなんかではありません。残りの大学生活で世界が幸せになる方法そして「私の生きる理由」を全力で探しに行きたいと私は強く思っています。

そして、ムヒカ氏の言葉や、考えを少しでも多くの若者や日本人に伝えるためにこの展示を成功させたいのです。
長くなりましたが、ご協力お願いします🙇‍♀️

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