必ず間違うOCD家族5 (巻き込み行動が止められない理由)

巻き込まれがOCDの症状を良化させていかないことを、本人も家族も本能的に解っている。わかっちゃいるんだが、止めることができない。


なぜか。


それは、本来、人間に備わっている特徴というか、本能というか、生まれつき備わっている性質が、OCD(我々の敵)にとって都合の良いようにできていているからです。意識的に敵の仕掛けた罠を回避しないと、敵の思うつぼになり、本人も家族も長く苦しむことになるんです。


では、巻き込み行動をやってしまう、人間に備わる特徴とは何か。


それは


直感重視と短期利益重視

な思考回路を持つという、人間の特徴です。


この人間の2つの特徴がOCDにとって都合よく働いてしまう。人間は、己の①直感を信じすぎるし、②短期利益を最大化することに重点を置く生き物であると、多くの心理学、行動経済学の研究や文献が示していますよね。

直感に従うのは、もともと人間が肉食獣に襲われないようにしなければならない期間が何万年と続いていたので、草の影でカサカサ音がする、直感的に、逃げた方がいいときに、すぐに逃げだすやつだけが、生き残ってきた。なので、直感に従って、生き残った人の子孫が我々なのです。また、短期利益重視は、2か月後の3000円クーポン券よりも当日使える1000円クーポンを欲しがるように、根深く、私たちの思考を支配しているのは、みんな納得なんじゃないかと思います。

なので、ものすご~~~く意識して、自分の言動を制御しないと、直感的、短期的判断を下してしまうのだと思います。


では、OCDと対峙したときに、これらがどのように問題になるのか。


■直感重視
家族も本人も、本人が強迫観念に対峙したときに、直感的に、これしか選択肢がない気がすると思うのである。また、直感的に、大切な人が一人で苦しむより自分達も一緒に苦しんだ方が、良い気がする。直感的には、OCDの症状に苦しんでいる、強迫観念に駆られて強迫行為をしている本人(大切な家族の一員)を見て見ぬふりをするよりも、「大丈夫、きれいになったよ!」「さっき鍵はかけておいたよ」優しい声をかけ、苦しみを軽減してあげる方が、人道的に正しいに決まってるじゃないか。苦しみは家族で分割した方がいいに決まってるじゃないか!と思ってしまうのです。


■短期利益重
短期というのは、もっと言うと、「その場しのぎ」とも言えます。本人が汚いことをして、手を洗うのを待っていて、旅行の出発が遅くなるよりも、汚いことは変わりに家族が肩代わりしてやったほうが、たった今、今すぐ旅行に行けるじゃないか。いまのストレスを最小化するのが、家族みんなにとってのハッピーじゃないか。なんで、わざわざ苦しい思いをして、強迫行為を本人がしたり、それを待ち続けたりしないといけないんだ。というわけです。


うんうんその通り。と思っていました。20年以上。こういうロジックで巻き込み行為、巻き込まれ行為を肯定してきました。しかし、これは罠です。


罠なんです。



今回ははこのへんで。次回は

必ず間違うOCD家族6 (巻き込み行動と治らない雰囲気)




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