見出し画像

夏が終わるころ、ひとつのお別れがありました。
とはいえ、確信があるようで、ないのです。

私のマッサージ治療院に何年も通ってくださった、ご高齢の男性患者さん。

この夏に「なんだか調子が悪い」と、いくつかの病院を受診しているものの、「原因がわからないと言われる」とのこと。
やっとエコー検査をしてくださった病院が、精密検査をするようにと大きな病院に紹介状を書いてくれたそうです。

紹介状を持って総合病院に行くと、また基本的な検査をすると言われ、精密検査は予約のみだった、早くしてほしいんだけど。なんてお話をされていました。

ある、施術予定の日
「今入院してるんだよ。どうしても調子悪くてね…どこ行ってもなんだかわからないって言われるんだよなあ」と
電話をくださいました。

お大事にしてください、また退院されたら連絡くださいね。

その後、
どうしてるかな。
と思っても、こちらから連絡することはできず。


それから1か月くらい経ち
月に1~2回ご予約くださる別の患者さんのお宅に向かう途中
はっ とすることが起きました。

家族葬ホールの看板に、入院されていた患者さんの名前が書かれていました。

えっっっ。。。
少し珍しい漢字を使う方なので、たぶん、そう。

そーっと近づいて、遺影をのぞかせていただきました。
お若い感じの写真でしたので確信は持てずとも、そうだよな…と。

普段通らない道。
患者さんのご自宅からも少し離れた場所。

まさかここで出会うとは。

あー。。お知らせしてくれたんだな。と思いました。

どうしてるかな。大丈夫かな。という想いと
知らせなくちゃ、という患者さんの想いが結びついたのだろうと思っています。


それから数週間後
書類の整理をしている時に「もうこの方の書類は使わないかな…」なんて考えていたら
その方から着信が。

出ようとしたら切れてしまいました。
ご家族かな?と、すぐに掛けなおしても出ない。。。

あーご本人だったかな。

離れて暮らしていたご家族は、その患者さんがマッサージ治療院に毎週通っていたなんて、きっとわからないだろうと思います。
それに、もっとやるべきことが多くて、こちらにまで連絡は来ないでしょう。

だからご本人が知らせてくださったのですね。

さみしい夏の終わりになりました。
お線香をあげにいったり、お墓参りしたりもできませんが。
ふとしたときに思い出しては、
「最後までこちらのことを気にかけてくれて、ありがとう」と想っています。


私の仕事は、患者さんの最期にまで関われることはほとんどありません。
施設入居の方は、病院に入院される時点でマッサージは辞めますし
在宅の方は、施設入居や入院の時点でマッサージは終わります。

なので、その後をどうお過ごしなのかはわかりません。
たまに、お世話になった方には…と
葬儀を終えてからお知らせしてくださるご家族様もいらっしゃいますが。

今回のように、入院される1週間前までお会いしていて、入院中に電話をくれて、最後にお知らせしてくださったのは初めてでした。
うれしかったです。感謝の気持ちでいっぱいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?